DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  8月11日 ロッテジャイアンツ−キアタイガース(光州・無等野球場)

 2009年シーズンもいよいよ終盤戦となり、キアが7月末からの11連勝もあり、8月は20勝4敗という驚異的な成績で首位を独走するようになりました。そのため例年になくキアの試合に観客が集まり、本拠地・光州のみならず、8月22,23日のSK戦では、ビジターにもかかわらず首都圏にある仁川・文鶴野球場は2試合連続で入場券が完売しました。そして8月28−30日のトゥサン戦では、首位攻防戦(27日までトゥサンが2位)だったこともあって、ソウル・蚕室野球場は3試合連続で入場券が完売し、ビジターの3塁側キア応援席はこれまでになかったような熱気に包まれました。しかもこの8月下旬の上位2チームとの6試合を、ビジターだったにもかかわらずすべて勝利し、30日現在で2位SKとのゲーム差は5.5もあり、公式戦優勝、そしてキアタイガース(2001年7月球団創設)としては初めての、前身のヘテ時代を含めると1997年以来12年ぶりの韓国シリーズ出場をほぼ確実にしつつあります。

 8月11日、この当時9連勝中だったキアの試合を見るため、本拠地・光州の無等(ムドゥン)野球場を訪れました。



(野球場も含めた無等競技場正門。以前は横の窓口で入場券を売っていたが、今は野球場の窓口で購入する。)


(無等競技場の裏門。光州高速バスターミナルはこちらのほうが近く、徒歩15−20分程度。)

 キアは2日前の9日のSK戦で、9回2アウトランナーなしからキム・ウォンソプの逆転サヨナラ満塁本塁打で9連勝となり、11日は火曜日の平日であっても大勢の観客が野球場に押しかけるかと思いましたが、あいにくこの日の光州は昼過ぎに大雨が降り、試合が行われるかどうかは微妙な状況でした。僕が野球場に到着した17時ごろは雨こそ上がっていましたが、依然として雲行きは怪しく不安を抱かせるものでした。

 野球場の3塁側内野席入り口付近に、キアのグッズショップがありますが、地方球団ということもありあまり品揃えはよくありません。快進撃が始まったのが7月になってからですから、新しいグッズの製作などが間に合わないのでしょう。2010年シーズン以降に期待します。


 試合開始間もない18時を過ぎても、小雨が降り続き、マウンドやベース周辺はビニールシートに覆われていましたが、予定通り18時半に試合は開始され、胸をなでおろしました。


 ところが2回表途中から雨が強くなり、試合はいったん中断します。僕や友人たちは内野席から避難し、さっさと帰途に着く観客も少なくありませんでした。このままノーゲームになるかと不安になりましたが、にわか雨だったようで次第に雨足は弱まり、30分ほどして試合は再開されました。



(打席に入る前のイ・ジョンボム。)


 試合は3回裏、プロ2年目で大きく成長した外野手ナ・ジワンの18号3ランでキアが先制します。キアの先発ヤン・ヒョンジョンは、2回表から3回表まで5者連続三振を奪うなどすばらしい投球を続けます。また、ロッテの先発チャン・ウォンジュンもナ・ジワンの一発以外は大きなピンチを招きませんでした。

 この日は雨模様だったこともあり、普段だったらもっとにぎわっているはずの1塁側キア応援席も、チームの快進撃にもかかわらずやや寂しい雰囲気でした。

 ちなみに、3塁側にはユニフォームを着て応援するロッテファンの姿もちらほら見かけました。



 左腕ヤン・ヒョンジョンは8回表1アウトで球数の関係もあってか無失点でも降板し、ソン・ヨンミン、ユ・ドンフンと2人のアンダースローの右腕がロッテ打線を抑え、3−0で勝利しキアが2003年以来6年ぶりとなる10連勝を飾りました。ですがあまり観客がいなかったことで、久々の大型連勝もどこか盛り上がりに欠けました。

 この無等野球場は老朽化が進み、熱心なファンたちの間からは新球場建設を求める声も上がっていますが、行政側は計画を先送りにしていてまったく具体化していません。7月25日、11年ぶりにこの野球場で開催されたオールスター戦でも、このような古びた施設の野球場で、全国の野球ファンが集まるような試合をやっていいのだろうか、という厳しい意見も聞かれました。この試合でも内外野に屋根がないだけでなく、売店などの設備もあまり充実していないので、雨が降っても観客たちが雨宿りできる場所がなく、不便さを感じさせました。2009年のキアの久しぶりの快進撃が、チームの久しぶりの優勝以外に野球熱が高い光州のファンたちの夢をかなえさせてくれるといいのですが。
 ともあれ、今後キアが韓国シリーズなどポストシーズンへ進出した場合、この無等野球場はここ10年ほどにはなかった熱気に包まれることでしょう。9度の韓国シリーズ優勝を達成した前身のヘテタイガースの輝かしい歴史が詰まったこの野球場で、キアは新しい歴史を刻み、光州の街に久しぶりの栄光をもたらすことができるでしょうか。

(文責 : ふるりん