例年になくプロ野球人気が高まっている2009年シーズンも、いよいよ終盤に差し掛かってきました。今回は8月9日、日曜日の夕方5時開始のナイターの様子をお届けします。
この日の蚕室野球場は、同じスタジアムをホームグラウンドとするトゥサンとLGのソウルダービーでした。
蚕室野球場の最寄り駅、ソウル地下鉄2号線・総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅の改札口付近には、このように3人のトゥサンの選手たちと写真を撮れるミニコーナーがあります。2009年からトゥサンはソウルメトロ(地下鉄1−4号線を運営)と業務提携を結び、電車内の液晶ビジョンでトゥサンの選手たちが出演する車内でのマナー向上を呼びかけるキャンペーン映像を流すなど、ファンの拡大に努めています。
ソウルは東京、大阪などと比べ日が沈むのが遅く、夏でも午後5時ごろはまだ日差しが強烈で、日よけの少ない蚕室野球場のスタンドには、試合開始前でもあまり観客は座っておらず、屋根に隠れた内野の最上段の通路や球場内の通路で暑さを避けていました。LG主催のこの日は、「サマークリスマス」と銘打って、8月なのにサンタクロースの格好をしたチアガールやマスコットたちが、試合前にグラウンドで何らかのイベントを行っていました。
いよいよ試合開始です。蚕室野球場のバックスクリーン中央のオーロラビジョンは、8月になって新しいものに取り替えられ、さらに迫力が増しました。
内野席は1塁側がLG、3塁側がトゥサンファンに赤白はっきり分かれ、熱い応援合戦が繰り広げられています。
LGのチアガールたちが、季節はずれの「まっかなおはなーの トナカイさーんーはー♪」のメロディー(歌詞は韓国語版)に合わせてダンスを踊っています。
続いてトゥサン側の応援席です。
ダービーマッチを戦っているのは選手だけではありません。
試合中の余興として、LGファン、トゥサンファンから美女が1人ずつ選ばれ、まばたきしたら負け!のにらめっこ対決(?)をしていましたが、応援団長の判定により引き分けに終わりました。
2009年シーズンから、LGの主催試合のみ蚕室野球場では「Xゾーン」という可動フェンスによるラッキーゾーンのようなものが設置されました。
この球場は従来両翼99m、左・右中間117m、センター125mとかなり広く、非常にホームランが出にくい野球場として知られています。LGは球場を狭くすることでホームラン数を増やし、観客に楽しんでもらおうという趣旨でXゾーンを設置したようですが、8月23日現在LGのチーム本塁打数は117本(8球団中6位)と特に多いほうではなく、チームも投手力の弱さがたたって7位に低迷しています。このXゾーンは敵を利することにもつながっていますし、2009年シーズンの例年にない本塁打の乱発(2008年は2ケタ本塁打を記録した選手が全体で22人だったが、2009年シーズンは8月23日現在すでに44人)にも一役買っています。この試合もパク・ヨンテク(LG)の2本塁打を含め、4本のアーチが描かれました。
さて、試合のほうですが、序盤から点の取り合いとなる熱戦で、9回裏LGがイ・デヒョンのライト前にぽとりと落ちるタイムリーでサヨナラ勝ちしました。
2009年シーズン、トゥサンは2位、LGは7位(8月23日現在)とここ数年と同じく、蚕室のライバルは上位、下位と明暗が分かれています。順位に関係なくこのライバル対決は盛り上がり、2009年シーズンはこれまであと1試合を残して12勝6敗とLGが大きく勝ち越し、トゥサンの足を引っ張っています。ですが、一度この2チームが上位を争い、蚕室野球場で激しい戦いを繰り広げるところを見てみたくもあります。
(文責 : ふるりん)