DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  5月5日 SKワイバーンズ−ロッテジャイアンツ(釜山・社稷野球場)

 5月5日は韓国でも日本と同じく「(オリニナル)子どもの日」の祝日です。そのため毎年この日はデーゲームで試合が開催され、小学生以下が割引料金や入場無料となるなど子どものためのサービスが各球場で実施されることもあり、毎年大変な人出で賑わいます。例年になくプロ野球熱が高まっている2009年シーズンのこどもの日は、4球場で入場券が売り切れとなりました。
 管理人は今回、熱狂的な応援で有名なロッテジャイアンツの本拠地、釜山・社稷野球場をロッテファンのユウさんと訪れました。この日の釜山はとても天気がよく、朝ソウルをKTXで出発し釜山駅に着くと、オールドユニフォームを着たロッテファンの姿がちらほら見られました。

 地下鉄で社稷野球場へ向かう場合、最寄り駅の1つに3号線の総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅があります。この駅の構内には、ロッテジャイアンツの選手や歴史を展示したコーナーがあり、観戦前に一度ご覧になることをお勧めします。(なお、近くの社稷室内体育館を本拠地とするプロバスケットボールの釜山KTFマジックウィングスの展示もあります。)なお、隣の社稷(サジク)駅からも野球場まで歩いて行くことができます。


 球場前は大変な人出で、広場の前にはこんなステージもあり、応援用の短冊を作る新聞を売る出店も。


 試合前に是非訪れておきたいお勧めのポイントが、球場に併設された「ロッテジャイアンツ野球博物館」です。入場無料で、館内にはロッテジャイアンツの歴史を彩るスター選手の写真や実使用のユニフォームなどが展示してあるそうです。今回管理人とユウさんは試合終了後に見学しようとしたら、ちょうど閉館したところでした!シーズンオフの期間にも時間は短いですが開館しているそうです。


 僕とユウさんはチケットを受け取り、球場内へ入り、観客席へ入る前にグッズショップへ足を運びました。この球場は場内と場外の2箇所に大きなグッズショップがあり、その規模と品揃えは日本プロ野球の本拠地球場のものと比較しても遜色はありません。さすが韓国トップクラスの人気球団といわれるだけのことはありますが、このようなマーケティング展開はつい最近始まったものであり、今後どのような新たな商業戦略を取るのか注目したいところであります。


 さて、管理人とユウさんは1塁側のエキサイティングシートへと足を運びました。日本ではよく見られるようになったグラウンドとほぼ同じレベルで観戦できるエキサイティングシートですが、韓国ではここ社稷野球場で2009年シーズン初めてお目見えしました。しかし1席25000ウォンと通常の座席の3倍前後の価格のため、人気はいまひとつだそうです。この日は入場券が完売していたため、このエキサイティングシートもぎっしり埋まっていました。エキサイティングシートの観客にはグラブとヘルメットが無料貸出しされますが、その際は身分証明書が必要です。


 試合前には「子どもの日」らしく、子どもと選手が触れ合うイベントが。


 


 この日のSK戦は、前回の対戦時にビーンボール騒動があったため、因縁の一戦として大変な注目を集めていました。騒動の主であるSKのパク・チェホンが打席に立った際、地鳴りのようなブーイングが浴びせられ、SK戦で頭部に死球を浴び戦線離脱した主力選手チョ・ソンファンの応援歌が、まるでレクイエムであるかのようにファンたちの中から沸き起こりました。万が一の事態に備え、球場には多数の警官が詰め掛けていましたが、翌6日のSK戦で1塁側エキサイティングシートから不審者がグラウンドに乱入する騒ぎが起こってしまいました。


 試合はSKの先発キム・グァンヒョンの調子がよく、ロッテの打者たちが簡単に打ち取られてしまい、SKはロッテのエラーなどミスをつき着実に得点を重ね一方的な展開となりました。それでも28500人と発表された大入り満員のロッテファンたちは、熱い声援を送り続けます。




 結局ロッテは4−0で完封負けを喫してしまい、SKの選手たちは激しいブーイングを浴びながら勝利のハイタッチをかわしました。熱心なSKファンもこの試合を観戦したかったでしょうが、このような状態ではとても危険で、遠征をあきらめたのではないでしょうか。

 
 試合後、球場の外にはロッテの選手たちを一目見ようと、正面の通用口には長打の列が。

 球場近くには、こんなロッテの選手たちの似顔絵がプリントされた(おそらく球団非公認の)Tシャツを売る露天まで出ていました。


 この社稷野球場は、野球が盛んな釜山の熱気が一点集中していました。熱しやすくさめやすい韓国人の気質を象徴するような球場でもあるのですが、チームの成績に関わらず熱心なファンたちの心をつかんで放さない、韓国を代表する野球場として、より魅力あるスタジアムへと変貌することを期待せずにはいられません。


(文責 : ふるりん