　　第8回　LGツインズ - DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

　名将キム・ジェバク監督体制となって2年目の2008年シーズンは、シーズン序盤に出遅れ浮上できず、勝率3割台で屈辱の2年ぶり2度目の最下位となった。オフにはFAでSKからイ・ジニョン、ヒーローズからチョン・ソンフンと2人の大物野手を獲得し、戦力補強に努めた。長い間観客動員数1位の座を守っていたが、2008年は成績の低迷で同じ蚕室野球場を本拠地とするライバルのトゥサンにも抜かれてしまった。2009年シーズンはキム・ジェバク監督にとっても勝負の年であり、人気ナンバー1球団の座を奪回すべく、7年ぶりのポストシーズン進出が至上命題となる。

【投手陣】

（先発）　
◎△ポン・ジュングン、オクスプリング、シム・スチャン、イ・ボムジュン、チョン・ジェボク、チョン・チャンホン
（中継ぎ）
キョン・ホンホ、キム・ミンギ、パク・チチョル、△オ・サンミン、△キム・ギョンテ、イ・ジェヨン、チェ・ドンファン
（抑え）
ウ・ギュミン

注　：　◎は2009年WBC韓国代表、△は左腕

　2008年シーズンは、先発の柱として期待されていたパク・ミョンファンの故障による早期離脱もあり、チーム防御率が8球団中最悪の4.85と、投手陣はリリーフ陣を中心に壊滅状態だった。その中でも元メジャーリーガーのポン・ジュングンは、チーム最多の11勝と左腕エースに成長した。2009年WBCでの日本戦での好投も記憶に新しく、エースとしていっそう充実した内容が求められる。だが、ポン・ジュングンに次ぐ10勝をあげた外国人右腕オクスプリング(元阪神)は、ひじ痛で開幕1軍から外れることになった。層が厚いとはいえない先発陣において、イ・ボムジュン、チョン・チャンホンなど若手の役割がいっそう重くなった。
　リリーフ陣は頭数こそそろっているが、質は高いとはいえない。有望な若手が少ない中、パク・チチョル、キム・ギョンテなど他球団から移籍したベテラン選手たちに期待がかかる。抑えにはサイドハンドのウ・ギュミンが、2008年シーズンの不振から立ち直ることが期待され起用される。2008年よりも状況は改善されたが、決して余裕のある陣容ではないため、継投策は慎重にしたい。
(オ・サンミンは2008年オフの不正賭博疑惑により、開幕から5試合出場停止。)

【打撃陣】

（ベストオーダー）

１．イ・デヒョン（中）　△
２．アン・チヨン（左）　　
３．イ・ジニョン（右）　◎△
４．ペタジーニ（指）　△
５．パク・ピョンホ（一）　　　
６．チョン・ソンフン（三）　
７．パク・キョンス（二）　
８．チョ・インソン（捕）　
９．クォン・ヨングァン（遊）　　

（控え）
キム・ジョンミン、チェ・ドンス、イ・ジョンヨル、パク・ヨングン、パク・チョンホ、△パク・ヨンテク、ソン・インホ、△イ・ビョンギュ

注：　◎はWBC韓国代表、△は左打者。

　イ・ジニョン、チョン・ソンフンと他球団の主力級2人を加えたことで、打線は厚みを増し、パク・ヨンテク、チェ・ドンスなど2008年までの主力がベンチに追いやられてしまいそうだ。WBCに2大会連続で出場した韓国を代表する外野手、イ・ジニョンへの期待は非常に大きい。強肩を生かし、広い本拠地・蚕室野球場でのライトの守備でもファンを沸かせるはずだ。ただし、その蚕室野球場は、2009年シーズンからフェンスを設置し、センターを5m狭くしフェンスも低くした(トゥサンの主催試合では設置されない)。長距離打者が少ないチームだが、ホームラン連発でファンを沸かせられるであろうか。
　サードがなかなか固定されなかった中、現代やヒーローズで活躍したチョン・ソンフンの加入も大きい。かつて指揮下にあったキム・ジェバク監督の下で、チームを上位進出に導いてほしいところだ。韓国2年目を迎えたペタジーニ(元読売)も、38歳という年齢もあり本塁打はあまり期待できないが、勝負強い打撃で主軸としてポイントゲッターとなるであろう。また軍から除隊された若手の大砲パク・ピョンホにも注目したい。久しぶりに強力打線が形成されそうだ。

　示範競技で7連勝し2位で終え、チームには久しぶりの上昇ムードが漂っている。有望な若手はあまり多いとはいえないが、現代を4度の韓国シリーズ優勝に導いたキム・ジェバク監督は、2009年こそ自分が現役時代の大半を過ごしたチームを、優勝に導くことができるであろうか。

【本拠地】
　ソウル・蚕室野球場

　韓国最大級の野球場は、ＬＧのみならずトゥサンの本拠地でもある。前身のMBC青龍の時代からソウルを本拠地としていることもあり、｢ソウルの地元球団｣というカラーを前面に押し出しているのはＬＧのほうだと言えよう（トゥサンは前身のＯＢが1982年の発足時から84年まで、大田を本拠地としていた）。試合中にもよく「ソウル賛歌」が流されるし、よく球場のアナウンサーが「ソウレー　チャジョンシム（ソウルのプライド）！ＬＧツインズ！」と高らかに叫ぶこともある。ただ、近年の成績低迷でトゥサンに観客動員数で負けてしまうことも出てきたため、今年こそ同じ蚕室のライバルのトゥサンに勝ち上位に進出したいという気持ちは強まっていることだろう。
　ちなみにトゥサン−ＬＧ戦の際、どちらがホーム側でもＬＧが1塁側、トゥサンが3塁側のベンチやロッカーを使用する（応援席はどちらかの主催によって1塁側と3塁側が入れ替わるので要注意）。毎年5月5日の同カードは、ソウルの野球ファンを二分するダービーマッチということで大いに盛り上がり、球場全体が赤のＬＧファンと白のトゥサンファンに分かれ、他国のプロリーグの試合にはない独特の雰囲気となる。