DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第4回 サムソンライオンズ

 2005,06年と韓国シリーズで2連覇し黄金時代を築いたが、ここ2年連続で4位に終わり、かつての王者の面影は薄くなった。しかし2008年は投打ともにある程度世代交代に成功し、12年連続ポストシーズン進出の豊富な経験を生かし、戦力的に劣勢とされたロッテに準プレーオフで3連勝し、トゥサンとの準プレーオフでも善戦するなど一定の成果をあげた。5年契約の最終年となるソン・ドンヨル監督(元中日)にとっても勝負の年となる。


【投手陣】

(先発) 
ペ・ヨンス、ユン・ソンファン、エルナンデス、クルセタ、チョ・ジンホ
(中継ぎ)
◎チョン・ヒョヌク、△クォン・ヒョク、アン・ジマン、△チョ・ヒョングン、△チャ・ウチャン、キム・サンス、チ・スンミン
(抑え)
◎オ・スンファン

注 : ◎は2009年WBC韓国代表、△は左腕

 2008年シーズンは先発投手陣の層が薄く苦戦した。ひじの手術のリハビリから復活しつつあるかつてのエースのペ・ヨンス、軍から除隊された2008年は初の2ケタ勝利をあげたユン・ソンファンが先発の軸となる。これにエルナンデス、クルセタの新外国人2人が先発陣に加わることになったが、示範競技で結果をあまり残せていない。2008年もオバミュラー(元オリックス)など3人の外国人投手が1年を通して戦力にならなかっただけに、首脳陣としても頭の痛いところだ。
 反対にリリーフ陣は層が厚く、左右のバランスもいい。特にWBCでもロングリリーフとして活躍したチョン・ヒョヌクには、大いに期待がかかる。2008年はチーム最多の53試合に登板し、復活を印象付けた。先発が長い回を投げられなくても、粘り強い投球で勝ちを拾い2ケタ勝利を記録した。対左用の中継ぎはクォン・ヒョクが軸で、左の先発がいないためこれまで中継ぎとして活躍してきたチャ・ウチャンが先発に転向することも構想されている。WBCでもあまり内容がよくなかった3年連続セーブ王(2006−08年)の守護神オ・スンファンは、プロ入り後4年間休みなく登板し続けてきたため、これまでの疲労がたまり球威が落ちているのではないかと心配される。万が一の場合に備えて、投手陣のやりくりが巧みなソン・ドンヨル監督の手腕が問われる。


【打撃陣】

(ベストオーダー)

1.キム・サンス(二) 
2.パク・ハニ(中) △
3.チェ・ヒョンウ(右) △ 
4.ヤン・ジュンヒョク(指) △
5.パク・ソンミン(三)
6.チェ・テイン(一) △
7. パク・チンマン(遊) 
8.チン・ガビョン(捕) 
9.ウ・ドンギュン(左) △ 

(控え)
キム・ジェゴル、シン・ミョンチョル、チョ・ドンチャン、ヒョン・ジェユン、△ホ・スンミン、キム・チャンヒィ、カン・ボンギュ

注 :△は左打者、×は両打ち。

 2008年シーズンは新人王チェ・ヒョンウ、パク・ソンミンなどの若手野手の台頭で、数年前と大きくスタメンが入れ替わった。ソン・ドンヨル監督は、キャンプや示範競技で好成績を残した大型高卒新人のキム・サンスを、開幕戦で1番打者に起用すると公言した。もしレギュラーに定着すれば、2008年はチーム盗塁数最下位(59個)と機動力を欠いていたサムソン打線にはこの上ない起爆剤となる。他にもウ・ドンギュンやホ・スンミンなど有望な若手も控えている。
 その一方でショートのパク・チンマン、正捕手チン・ガビョンなど守備の要となるベテラン選手も健在だ。注目すべきは5月で40歳になる大打者ヤン・ジュンヒョク(史上最多の通算2202安打)で、あと1本でチャン・ジョンフン(現ハンファ打撃コーチ)の持つ個人通算本塁打数(340)に達する。ひょっとしたら4月4日、本拠地大邱でのLGとの開幕戦で、タイ記録、そして新記録達成の瞬間が見られるかもしれない。
(なおチェ・テインは、2008年オフにインターネット上での不法賭博にかかわったとして、開幕から5試合の出場停止処分を受けた。) 

 2009年のサムソンも、投打ともに他球団を圧倒する戦力はない。ただ、野手を中心に大きく世代交代を推し進め、ベテランと若手が調和すれば上位に進出し、ポストシーズン進出記録を13年に伸ばし、黄金時代の再来も夢ではない。脈々と受け継がれる勝者のメンタリティに衰えは見られない。


本拠地
 大邱・公設運動場野球場
 
 大邱(テグ)は韓国南東部にある人口250万人以上の韓国第4の都市である。周囲を山々に囲まれた盆地に位置し、夏は大変暑く冬はかなり冷える。新羅の首都として栄え、古代の遺跡が豊富な観光都市・慶州(キョンジュ)へはバスで1時間程度かかる。
 電子製品を中心に世界的な企業となったサムソングループであるが、同グループ発祥の地ということでサムソンライオンズ大邱を本拠地としている。1982年の球団創立以来チーム名や本拠地の変更はなく、大邱やその周辺地域を中心にファンが多い。普通ホーム応援席といえば1塁側だが、この球場は夕方西日が差し込みまぶしいということで、3塁側内野に応援席がある。周囲は大邱の中心街からやや離れ工場の多い下町の雰囲気が漂い、長年地元ファンに親しまれてきた球場ではあるが、近年老朽化が激しい。
 レフトスタンドにはヤン・ジュンヒョクの安打数など、数々の通算記録を表示するボードも設置されている。また、スタンドは内外野とも外側にサムソンの選手の名前1人1人を書いた旗が多数飾られ、お目当ての選手の旗を探すのも楽しい。またマスコットのライオンを模した(?)マスコット3体はユニークな動きが多く、試合前やその合間のパフォーマンスも要注目である。



[交通アクセス]
Korail大邱地下鉄1号線大邱駅北口から徒歩15分。ソウル、釜山からの超特急KTXはほとんど東大邱駅に停車し、大邱駅には停車しないため要注意。高速バスターミナルも近い東大邱駅から大邱駅までは地下鉄1号線で5分程度。なお球場周囲はバスの便が少なく、中心繁華街の中央路(チュンアンノ)からはタクシーを利用したほうが便利。

(文責 : ふるりん