2008年シーズンは史上初の外国人監督ロイスターの指揮のもと、公式戦3位と例年にない好成績を残し、釜山だけでなく全国各地の熱狂的なファンたちが球場に押しかけ、プロ野球の観客動員数に最も貢献したロッテ。ただ、主力選手の好不調がそのままチーム成績に直結していたため、好不調の波が激しく、またサムソンとの準プレーオフでは経験不足を露呈し3連敗に終わった。選手たちが一回り成長したであろう2009年シーズンこそ、17年ぶり3度目の韓国シリーズ優勝の期待が高まる。
【投手陣】
（先発）
◎ソン・ミンハン、ソン・スンジュン、△チャン・ウォンジュン、イ・ヨンフン、チョ・ジョンフン
（中継ぎ）
△カン・ヨンシク、イム・ギョンワン、ナ・スンヒョン、キム・イリョプ、ペ・ジャンホ、△キム・イスル
（抑え）
アドキンス
注 ： ◎は2009年WBC韓国代表、△は左腕
2008年チーム最多の12勝をあげたソン・ミンハン、ソン・スンジュン、チャン・ウォンジュンの先発三本柱が健在で、イ・ヨンフン、チョ・ジョンフンを加えれば8球団一の先発投手陣が完成する。しかし2008年はリリーフ陣が手薄で、また絶対的守護神の不在が響き逆転負けを喫することも少なくなかった。また左腕不足も顕著である。またもや2008年チーム最多登板(64試合)のカン・ヨンシクに負担がかかるかもしれない。そのため若手投手の台頭が望まれる。
課題の抑えには、新外国人アドキンスが起用される予定だが、不安要素も大きい。そのため抑えも先発もある程度こなしていたが、メジャーリーグへの夢を捨てきれず、カーディナルスとマイナー契約を結んだベテラン右腕チェ・ヒャンナムの不在が響くかもしれない。
【打撃陣】
（ベストオーダー）
１．キム・ジュチャン（一）
２．イ・イング（中） △
３．チョ・ソンファン（二）
４．イ・デホ（三） ◎
５．ガルシア（右） △
６．ホン・ソンフン（指）
７．カン・ミンホ（捕） ◎
８．ソン・アソプ（左） △
９．パク・キヒョク（遊） ◎
（控え）
×チェ・ギムン、パク・ヒョンスン、チョン・ボミョン、パク・ナムソプ、チョン・ジュヌ、△パク・チョンユン、チェ・マンホ
注 ： ◎は2009年WBC韓国代表、△は左打者、×は両打ち。
北京五輪で活躍した巨漢イ・デホ、2008年打点王となりチームのムードメーカーだったガルシア(元オリックス)が健在で、その2人の後ろを打つ選手として強打で知られるホン・ソンフンがトゥサンからFA移籍し、打線に厚みが増した。ソン・アソプ、イ・イングの伸び盛りの左打者も注目される。また、2008年軍から除隊され3年ぶりにチームに復帰し、打率3割、30盗塁を記録したチョ・ソンファンが、前年同様の成績を残せるかもチームの浮沈を握っているといえよう。
そのほか攻撃的なトップバッターのキム・ジュチャン、強打の捕手カン・ミンホなど魅力ある選手は多いが、王者SKなどと比べ控え選手の層が薄く主力選手が不調のときにそれをカバーしきれる人材が弱いのが相変わらず難点だ。2軍から飛躍してくる有望な若手の台頭を待ちたい。
示範競技では開幕10連勝など絶好調で首位で終えたロッテ。これが栄光への幕開けなのか、それともお得意の春先だけ好調で、ファンたちが夏場になると「秋にも野球をしよう」と懇願するようになってしまうのか、当然熱狂的なファンたちは前者であることを願っているはずだ。シーズンを通して優勝争いを続ければ、例年以上に釜山の街はロッテ一色に染まることであろう。
【本拠地】
釜山・社稷野球場
韓国第2の都市・釜山(プサン)は野球の盛んな都市として知られ、野球好きな釜山市民の期待を一身に受けるロッテの本拠地・社稷(サジク)野球場は、チームが好調だと3万人の大観衆で球場が埋まり、韓国随一と呼ばれる熱狂的な応援が見られる。8年ぶりにポストシーズンへ進出した2008年は年間21回の満員御礼を記録し、1年間の球団観客動員数の新記録(約138万人)を更新した。
ファンたちは新聞紙をちぎってボンボン状のふさを作り、試合後半になると配布されるオレンジ色のビニール風船を振り回すか頭にかぶるなどして、世界でも類を見ない独特の応援風景を作り上げる。また終盤には「釜山港へ帰れ(プサンハンヘ トラワヨ)」、「釜山のカモメ(プサンカルメギ)」などのご当地ソングが歌われ、雰囲気を盛り上げる。また釜山や周辺の慶尚南道出身者の多いソウルでも、蚕室野球場のロッテ戦の際は3塁側内野席のほうが、ホーム応援席の1塁側内野席より盛り上がっていることもある。
近年社稷野球場は8球団一の観客動員数を受け、新しいグッズショップのオープンなど施設の拡充を図っている。2008年オフからは内野席の改装工事に入り、2009年シーズンからは韓国の野球場としては初となるエキサイティングシートも設置される（料金は25000ウォン）。また、2008年週末の試合は満員御礼が連発したこともあり、これまた初となる内野席の全席指定席制（料金は7000ウォンと2008年までと一緒）が導入され、観戦する際は注意が必要である。
(改装工事が進む社稷野球場。)
(満員の社稷野球場。)
［交通アクセス］
釜山地下鉄3号線・社稷(サジク)駅下車徒歩5分、総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅下車徒歩8分。
KTXや長距離列車が発着する釜山駅から社稷駅まで、地下鉄1号線に乗り蓮山洞(ヨンサンドン)駅で3号線に乗り換え30分弱。また、ソウル、大田方面からのKTXの列車は、終点の釜山駅のひとつ手前で、地下鉄3号線と接続する亀浦(クポ)駅で停車するものもあり、総合運動場駅まで15分程度でアクセスできるので、野球場へ直行する場合はこちらがお勧めである。総合バスターミナル近くの釜山地下鉄1号線・老圃洞(ノポドン)駅からは同じく蓮山洞駅で乗り換え、30分弱。
球場の周囲はちょっとした繁華街となっていて、食堂なども多いが、釜山でも最大級の繁華街、西面(ソミョン)へは地下鉄3号線と1号線を乗り継いで20分程度で到着する。西面のロッテ百貨店釜山本店には、ロッテジャイアンツコーナーが最近新設され、ユニフォームやＴシャツの関連グッズを買えるようになった。
（文責 ： ふるりん）
