DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2019 WBSCプレミア12・スーパーラウンド 韓国代表 展望

2連覇、2020年オリンピック野球出場に向けた熾烈な戦いは続く

 

 2019 WBSCプレミア12において、オープニングラウンドCを3連勝と順調に1位通過でスーパーラウンドへ出場する韓国代表。オープニングラウンドよりも相手のレベルが上がり、2015年大会に続く2連覇、2020年オリンピック野球出場権獲得のためには熾烈な戦いが待っている。

 オープニングラウンドCの3試合では15得点、1失点と圧倒的な力の差を見せ付けた。特に投手陣はカナダ戦の1失点のみで一度もリードを許さなかった。初見の投手と多く対戦するため得点しにくい野球の国際大会では大きな強みである。先発登板したヤン・ヒョンジョン(キア)、キム・グァンヒョン(SK)、パク・チョンフン(SK)はスーパーラウンドでもそのまま先発を任されると思われる。リリーフでは2試合に登板した左のチャ・ウチャン(LG)、右のイ・ヨンハ(トゥサン)の起用が大きく試合を左右すると思われる。僅差の点数で終盤リードした際の抑えでは、150km/h以上の速球を投げるチョ・サンウ(キウム)が起用されるであろう。

 オープニングラウンド3試合を通して2番キム・ハソン(キウム)、3番イ・ジョンフ(キウム)、4番パク・ピョンホ(キウム)、5番キム・ジェファン(トゥサン)、6番ヤン・ウィジ(NC)、7番キム・ヒョンス(LG)の左右の打者を交互に並べた打線が固定され機能した。1番打者は6日のオーストラリア代表戦と8日のキューバ代表戦がパク・ミヌ(NC)、7日のカナダ戦がミン・ビョンホン(ロッテ)と変動があった。本塁打はなくとも切れ目のない打線となっていた。オーストラリア代表戦、カナダ代表戦と無安打に終わったパク・ピョンホがキューバ戦で2安打と復調を見せてきた。

 固定されなかったのは主に三塁手で、チェ・ジョン(SK)が故障で代打1打席のみの出場だったため、ファン・ジェギュン(KT)とホ・ギョンミン(トゥサン)が状況に応じて起用された。スーパーラウンドでは相手投手陣のレベルが上がるため、オープニングラウンドとは違う作戦や打順が求められる。キム・ギョンムン監督の柔軟な起用に期待したい。

 

 

 

 11月11日、初戦の相手は2015年大会の決勝で対戦したアメリカ合衆国代表である。オープニングラウンドAでは開催国のメキシコに敗れ2位通過であるが、MLB(メジャーリーグベースボール)傘下の有望なマイナーリーグの若手や、経験豊富なベテランを融合させたチームは優勝候補の一角として位置づけられる。3試合で10本塁打と長打力が光るが、会場が標高1500m以上のメキシコ・グアダラハラ郊外で打球がよく飛ぶ条件のため差し引いて考える必要がある。だがジョー・アデル、ロバート・ダルベック、アレク・ボームといった25歳以下のマイナーリーグの有望株がそろう打線には十分な警戒が必要だ。先発予定のヤン・ヒョンジョン(キア)の力投に期待したい。アメリカ合衆国代表の投手陣は不安が残るが、MLB通算275試合のベテラン左腕クレイトン・リチャード、日本プロ野球オリックスで活躍するブランドン・ディクソンなどベテランがリリーフとして好投すれば、ひっくり返すのは容易ではない。韓国代表戦ではまだMLBでの登板経験がない25歳の長身右腕コディー・ポンスが先発予定である。

 翌12日の台湾戦は、2020年オリンピック野球出場のために、このスーパーラウンドでも重要な試合である。台湾代表はオープニングラウンド2位通過のため1敗と不利な状況からスーパーラウンドをスタートする。台湾代表の先発は、2018年アジア競技大会の韓国戦で先発し6回途中1失点で勝利に貢献した呉昇峰や、オープニングラウンドのプエルトリコ戦で7回無失点と好投した張奕、2017年から2018年にMLBタンパベイレイズで11試合に登板した胡智為のいずれかであると予想される。打者は王立、陳俊秀、朱育賢、林泓育など台湾プロ野球で活躍する選手が中心で、日本プロ野球北海道日本ハムに在籍する王柏融などがこれに加わる形となる。過去国際大会の対戦を見ても、台湾との対戦はアジアのライバルとしてこのスーパーラウンドでも特に重要な対戦として注目を集めている。韓国代表の先発はキム・グァンヒョン(SK)が予想される。一方で、韓国代表の選手たちが不慣れな海沿いで風が強い千葉マリンスタジアムでのプレーが大きな不安要素でもある。

 中2日空いて15日のメキシコ代表戦であるが、オープニングラウンドでは開催国の地の利が生かされ、大方の予想を裏切って1位通過となった。韓国代表戦の先発は2012年に10試合のみキアで登板した40歳を目前にしているベテラン左腕オラシオ・ラミレス、台湾プロ野球・統一で活躍する右腕ライアン・ベルドゥーゴなどが予想される。リリーフ陣には2019年までMLB通算496試合登板を記録した右腕フェルナンド・サラスなどがいる。オープニングラウンドではエフレン・ナバーロ、マット・クラーク、クリスチャン・ビヤヌエバの3名の日本プロ野球経験のある選手たちが活躍したが、このうちクリスチャン・ビヤヌエバは故障で離脱した。他にはサンディエゴ・パドレス傘下のAAAで活躍した内野手エステバン・キロス、過去にMLBに出場経験のある捕手アリ・ソリスなどが警戒すべき打者である。韓国代表の先発は、中南米諸国に少ないアンダースローでオープニングラウンドではキューバ戦に先発したパク・チョンフン(SK)と予想される。

 スーパーラウンド最終戦の16日の日本代表戦は開催国との対戦という大一番となりそうだ。2015年大会準決勝での劇的な逆転勝利と因縁もある。それ以前の3試合の結果次第で戦略も変わってくると思われ、現時点での予想は非常に難しい。17日の決勝進出がかかった対戦となる可能性もある。

 

 いずれにしろ、4試合ともにどのチームも必勝体制で臨んでくるため、大会2連覇、2020年東京オリンピック出場への道のりは非常に険しい。2008年北京オリンピック9戦全勝、そして2019 WBSCプレミア12オープニングラウンド3連勝と、ここまで負け知らずで勝ち進んでいるキム・ギョンムン韓国代表監督の手腕に期待するしかない。

 

(文責:ふるりん