DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  プレーオフ : NC−LG 展望

 2011年プロ野球9チーム目の新球団として創設され、2013年に一軍へ初めて出場し、2014年から3年連続でポストシーズン進出と短期間で成果をあげたNCダイノス。しかし過去2度のポストシーズンは、若いチームゆえの経験不足で、2014年はLG、2015年はトゥサンと公式戦では下位だったチームに敗れてしまっている。

 2度あることは3度あるとつい考えてしまう。NCは公式戦2位で、対戦するLGは4位だった。力関係ではNCのほうが上とは言えるが、短期決戦では何があるかわからない。また経験は一朝一夕で身につくものでもない。そしてNCには不安要素がある。公式戦で4年連続2ケタ勝利、2016年も12勝を記録したイ・ジェハクが個人的事情で不在となったのだ。そして2年連続40本塁打以上を記録した外国人打者のエリック・テームズも飲酒運転発覚による出場停止で、第1戦のみ出場できない。
 だが、NCはともに2ケタ勝利をあげたハッカー(13勝)、スチュアートの外国人投手2人が健在である。また3人目以降の先発要員としてリリーフから先発に転向し2ケタ勝利を記録したチェ・グムガン(11勝)、先発もリリーフも任せられるイ・ミンホ(9勝)などがいるため、先発の頭数が足りないということはない。リリーフ陣は右のキム・ジンソン、ウォン・ジョンヒョン、左のイム・ジョンホが中継ぎで、抑えはイム・チャンミンが基本的な起用であった。しかし公式戦終盤はイム・チャンミンが不振に陥り、不安が残る。そのため左のク・チャンモ、右のチャン・ヒョンシクといった最近一軍に定着した若手もプレーオフに出場登録された。正捕手キム・テグンにはイ・ジェハク不在の投手陣をどのようにリードするかという課題がつきつけられている。
 打線は3人とも100打点以上、3人合計で94本塁打を記録したテームズ、パク・ソンミン、ナ・ソンボムの中軸の破壊力はプロ野球10チーム中屈指である。パク・ミヌ、キム・ソンウクなどがチャンスを演出し、中軸が返す攻撃パターンが確立されている。40本塁打で初の本塁打王となったテームズが出場停止処分により第1戦を欠場するが、その代役として経験豊富な左打者のチョ・ヨンフンの起用が予想される。またベテランのイ・ジョンウク、イ・ホジュン、ソン・シホンといった経験豊富な野手もいるが彼らも先発出場が中心となり、代打の切り札となる頼りになる選手が少なく、主力が不調に陥った時の打開策が弱いのが気がかりだ。


 ワイルドカード決定戦、準プレーオフを勝ち上がってきたLGは、外国人左腕ハフが好調でここまでの最大の功労者となっている。リュ・ジェグク、ソーサ、ウ・ギュミンなど先発投手がそろっているのはこれからの戦いにも大きく作用するはずだ。LG打線はオ・ジファン、ユ・ガンナムなどが好調であり、パク・ヨンテクやチョン・ソンフンなどの経験豊富なベテランもいるが、NCと比べて攻撃力は落ちるため、少ないリードを守り切る好調なリリーフ陣の役割も重要となってくる。
 NCは出場できない主力の穴を埋めきれず、LGはこれまでの勝った勢いで一気に韓国シリーズまで進出するのではないか、というファンの期待も膨らんでいるが、普段の公式戦より1試合の重みが違うポストシーズンもいよいよ3段階目となると、疲労という見えない敵と戦わなければならなくなってくる。ネクセンとの準プレーオフを10月17日第4戦で終え、18日から20日まで移動も含めて3日間試合がなく休めたとはいえ、10月9日の公式戦終了から10日以上休んでいるNCに比べ、選手たちのコンディションには不安が残る。LGは早い段階で決着をつけたいだろうが、NCとて容易に膝を屈する相手ではない。


 2016年シーズンの公式戦ではNCがLG相手に9勝6敗1分けと勝ち越している。果たして2年前の準プレーオフで敗れた雪辱を晴らし3度目の正直で初めてポストシーズンを勝ち抜き韓国シリーズ初出場を果たすのか、それともLGが返り討ちにして14年ぶりの韓国シリーズ進出を成し遂げるのか。グラウンド外での騒動を吹き飛ばす熱戦を期待したい。