DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  3月2日、いよいよ1次ラウンド開幕  緒戦オランダ戦の先発はユン・ソンミンが有力

 野球世界一決定戦として3度目の開催となる2013年WBC(ワールドベースボールクラシック)は3月2日、いよいよ開幕を迎える。
 韓国代表は2月11日ソウルに招集され、キャンプ地、そして1次ラウンドの開催地である台湾へ移動し、2月中にプロ野球新球団NC、台湾の軍隊・実業団チームとの6試合の練習試合をこなし、調整に努めてきた。緒戦の相手は欧州の強豪・オランダで、2日20時半(日本・韓国時間)より台中洲際野球場で開始される。開幕前日の1日、韓国代表は台中洲際野球場で最後の練習を行った。


【2013年WBC 韓国代表】

監督 : 75 リュ・ジュンイル(サムソン)

投手(13名) : 21 オ・スンファン48 チャン・ウォンサム23 チャ・ウチャン(以上サムソン)、11 パク・ヒィス66 ユン・ヒィサン(以上SK)、18 ノ・ギョンウン(トゥサン)、38 チョン・デヒョン91 ソン・スンジュン(以上ロッテ)、28 ユン・ソンミン26 ソ・ジェウン(以上キア)、1 ソン・スンナク(ネクセン)、17 ユ・ウォンサン(LG)、57 チャン・ウォンジュン(警察庁、元ロッテ)

捕手(2名) : 20 チン・ガビョン(サムソン)、47 カン・ミンホ(ロッテ)

内野手(8名) : 36 イ・スンヨプ7 キム・サンス(以上サムソン)、8 チョン・グヌ14 チェ・ジョン(以上SK)、13 ソン・シホン(トゥサン)、16 カン・ジョンホ(ネクセン)、52 キム・テギュン(ハンファ)、25 イ・デホ(オリックス)

外野手(5名) : 50 キム・ヒョンス(トゥサン)、9 チョン・ジュヌ31 ソン・アソプ(以上ロッテ)15 イ・ヨンギュ(キア)、35 イ・ジニョン(LG)

注 : ( )内は2013年シーズンの所属先。数字は背番号。


 2006年大会はパク・チャンホキム・ビョンヒョン、2009年大会はチュ・シンスなど米国メジャーリーグの選手が参加したが、今大会チュ・シンスは2012年オフにクリーブランドインディアンスからシンシナティレッズへトレードで移籍したことで、メジャーリーグの春季キャンプを重視するため出場を辞退した。また北京五輪優勝に貢献したリュ・ヒョンジンもハンファからロサンゼルスドジャースへ移籍したため、同様の理由で辞退した。
 そのため、過去の大会と比べて選手が小粒に見えてしまい、また、優勝しても兵役免除の対象にならないと定められているため、選手のモチベーションが上がらないのではないかと不安要素が大きい。また、ここ数年の国際大会に出た選手を中心とした選考のため、やや新鮮味に欠けている。

 その好例が4番候補として、2012年日本プロ野球パシフィックリーグ打点王イ・デホ(オリックス)、キム・テギュン(ハンファ)、そして北京五輪以来4年半ぶりに代表へ復帰し精神的支柱としての役割も期待されているイ・スンヨプ(サムソン、元オリックス)の3人である。彼らは全てファーストで、誰か1人を指名打者にしてもすべて起用することはできない。また、2012年韓国で本塁打打点王の2冠王に輝き勢いのあるパク・ピョンホ(ネクセン)はイ・デホキム・テギュンと守備位置が重なり右打者であるため、最初から選外となっている。
 この中で4番はイ・デホとなることが予想される。その場合2006年WBC北京五輪など過去の国際大会で韓国を勝利に導く一撃を放ってきたイ・スンヨプが、代打の切り札として起用される。また近年プロ野球公式戦での成績は振るわないが、過去の国際大会で輝きを放ってきたキム・ヒョンス、強打のショートとして注目を集めるカン・ジョンホが得点源となる。

 チャンスメーカーとしてはイ・ヨンギュ、チョン・グヌの国際経験豊富な2人が起用され、正捕手は打撃優先でカン・ミンホとなるであろう。内野のキム・サンス、外野のソン・アソプ、チョン・ジュヌなどの新顔も、今後の国際大会を考え経験を積ませるため起用しておきたい。

 
 投手陣は近年の国際大会で活躍した左腕リュ・ヒョンジン、キム・グァンヒョン(SK)、ポン・ジュングン(LG)がいないため、名前で相手を圧倒できない。だが国際経験豊富な右腕ユン・ソンミンが先発の柱となり、緒戦のオランダ戦での先発が確実視されている。そのほかは2006年大会の経験者ソ・ジェウン、2012年最多勝左腕チャン・ウォンサムが先発として起用されると見られる。
 なお、過去の大会と同様投球制限があり、今大会は65球となっていて、先発が5回まで投げられない公算が高い。そのため中盤のロングリリーフ要員が勝負の鍵を握る。候補しては右だとソン・スンジュン、ノ・ギョンウン、左だとチャ・ウチャン、チャン・ウォンジュンがあげられる。
 リリーフ要員は経験豊富な選手が揃っている。国内最高の守護神とされるオ・スンファン、特有のアンダースローで初見では打ちにくいチョン・デヒョンが軸となる。左のワンポイントとして注目されているのが、2012年SKで活躍したパク・ヒィスである。再度ハンド気味のフォームから鋭い変化球を投げる。
 

 過去の大会と比べ、今大会の1次ラウンドは緒戦が欧州の強豪オランダ、アテネ五輪準優勝のオーストラリア、そして過去に何度も韓国と死闘を演じてきた開催地で宿敵の台湾と、非常に厳しい組み合わせとなっている。特に日本プロ野球セントラルリーグで2年連続本塁打王となったバレンティン(東京ヤクルト)、メジャーリーグ通算434本塁打アンドリュー・ジョーンズ(東北楽天)など強打者が揃い、国際大会で好成績を残しているオランダとの緒戦に全力を注ぐことが至上命題だ。オランダの先発はコルデマンス、マークウェルといった国際経験豊富な投手が予想される。
 もしオランダに敗れ、4日第2戦でオーストラリアに勝ったとしても、5日最終戦に開催地台湾と2次ラウンド進出をかけて戦うのはかなりの難題となる。過去の国際大会の輝かしい戦績と比べ、前評判が決して高いとは言えない2013年の韓国代表であるが、これまでの経験を活かしまたもや世界をあっと言わせる快進撃を見せてほしい。