DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第6回 LGツインズ

「長期低迷から抜け出すには?」 
2010年成績 : 57勝71敗5分け(公式戦6位)
チーム総合採点…40点

 パク・チョンフン新監督を迎え、ヒーローズからイ・テックンをトレードで獲得し、かつての主力打者イ・ビョンギュが日本プロ野球・中日から復帰するなど、打線が大幅に強化された2010年シーズンは、8年ぶりのポストシーズン進出が期待された。しかし課題の投手陣の強化は進まず、不安材料は大きかった。

 3月27日、敵地・大邱でのサムソンとの開幕戦で、先発の新外国人投手ゴンザレスは打たれたが、ショートのレギュラー定着が期待された若手オ・ジファンの本塁打などで逆転し、最後は新外国人投手・岡本(2011年から東北楽天)が韓国初セーブを記録するなど、7−5で勝利した。だがその後2度の3連敗もあり、開幕10試合で3勝6敗1分けとスタートダッシュに失敗した。だが4月14日のサムソン戦から22日のネクセン戦まで6連勝し、勝率5割を超え4位浮上し、長期低迷からの脱出を願うファンたちを期待させた。好調の理由の一つに、課題だった抑えに岡本が定着し後ろが安定したこともあった。
 4月25日には12勝9敗で3位に浮上し、SK、トゥサンの上位2チームに追いつこうとしたが、5月1日のSK戦で3−21と大敗するなど投手陣が崩壊し、翌2日まのSK戦で4連敗し4位に後退すると、5日のトゥサン戦から8日のキア戦までまた4連敗、11日のハンファ戦から15日のロッテ戦まで今度は5連敗となってしまい、14勝22敗1分けの7位と一気に転落してしまった。そしてこの低迷の責任を取らされる形で、開幕から6連敗と勝ち星のなかったゴンザレスは退団となり、新外国人左腕投手デュマトレイトと契約した。
 5月16日のロッテ戦から21日のトゥサン戦まで4連勝し、6位に浮上し調子を上げてくると、26日のキア戦はオ・ジファン、イ・デヒョン、イ・テックンなど主力打者の活躍で20−3と大勝した。5月29日のネクセン戦から6月2日のロッテ戦まで4連勝し、5位浮上で勝率5割は目前だったが、3日のロッテ戦からまた4連敗するなど浮き沈みが激しかった。その後一進一退を繰り返し、ロッテとの5位争いも抜きつ抜かれつで決め手を欠いた。6月後半から7月初めにかけて4位争いをしていたキアが16連敗で転落してきても直接対決がなく、6月30日のネクセン戦から7月4日のロッテ戦まで4連敗するなど、勝率4割台半ばで5位にとどまり上位進出が厳しくなってきた。
 7月後半になると、パク・ミョンファンの離脱もあってもともと手薄だった先発投手陣のやりくりに困るようになり、7月17日のサムソン戦から22日のトゥサン戦まで5連敗となった。オールスター戦後、7月28日のSK戦を前にして、LGからはイ・ジェヨン(投手)、クォン・ヨングァン(内野手)、チェ・ドンス(内野手)、アン・チヨン(外野手)、SKからはキム・ソンギュ(投手)、パク・ヒョンジュン(投手)、ユン・サンギュン(捕手)の4対3の大型トレードが成立し、戦力補強に努めた。そしてトレードされたばかりのクォン・ヨングァンはSKの選手としてLG戦に途中出場し、延長10回表勝ち越しとなる押し出しの死球を選んだと思ったら、守備についたその裏自身のエラーにより古巣にサヨナラ勝ちをプレゼントするという独り相撲を演じてみせた。しかし翌29日のSK戦から8月3日のキア戦まで5連敗し、直接対決に敗れたこともあり復調してきたキアに抜かれ6位に後退した。
 8月半ばになると4位争いからも遠ざかり、2011年以降を見据えた戦いに方針転換し、岡本に代えてキム・グァンスを抑えで、SKから移籍してきたパク・ヒョンジュンを先発で起用し、イ・ビョンギュ(背番号24)に4番を打たせるなどした。9月はじめにはキアの調子が落ち勝率4割3−4分台で5位争いをしたが、再び5位に浮上することはなかった。LGのほうがキアより試合消化ペースが遅かったため最後まで望みはつないだが、結局9月25日のサムソン戦で引き分けたことで公式戦6位が確定した。
 シーズン終盤話題を呼んだのは、2007年以降3年連続で盗塁王となっていたイ・デヒョンと、キム・ジュチャン(ロッテ)の盗塁王争いだった。ロッテは試合消化ペースが速かったため、9月19日時点でキム・ジュチャンは盗塁61個とイ・デヒョンに5個差でトップだったが、LGの残り試合数が多くイ・デヒョンが盗塁を重ね、24日のSK戦で3盗塁して63に伸ばし、キム・ジュチャンを抜いてトップに立った。キム・ジュチャンは公式戦最終戦となった25日のネクセン戦で3盗塁して65とし、同日サムソン戦で2盗塁したイ・デヒョンと並びシーズンを終えた。しかしイ・デヒョンが意地を見せ、翌26日の公式戦最終戦となるサムソン戦で1個盗塁を決め、シーズン66盗塁とし4年連続単独盗塁王の座を死守した。だがこの試合も1−6で敗れるなどいいところがなく、LGは不本意にも8年連続ポストシーズン進出失敗という史上最長の不名誉な記録を更新してしまった。

 LGが上位に進出できなかった原因として、5位キア(13勝6敗)、7位ネクセン(10勝9敗)、最下位ハンファ(10勝8敗1分け)と下位チームにはすべて勝ち越したが、4位以上のチーム(SK、サムソン、トゥサン、ロッテ)にすべて負け越していた。特に優勝したSKには4勝14敗1分けと大きく負け越し、お得意様となっていた。
 LGは明らかに打撃上位のチームで、チーム打率(.276)は8球団中3位、得点(688)は4位だった。それに対してチーム防御率(5.23)は8球団中7位、失点(746)も7位と、脆弱な投手陣が足を引っ張った。先発投手の防御率は5.77で、これは最下位ハンファの5.38を下回っている。先発投手で年間を通してローテーションを守り規定投球回数に達したのは、ここ数年エースとして活躍しているポン・ジュングンだけで、チーム最多の10勝を記録した。またほかに投球回数100イニングを超えたのはキム・グァンサム(6勝)だった。そして5億ウォンの高額年俸をもらいながら、ここ数年故障に悩まされているパク・ミョンファンは復活の兆しを見せ4勝をあげたが、夏場に戦線離脱し2011年の年俸はわずか5000万ウォンとなってしまった。
 外国人投手もあまり期待にこたえられなかった。1勝もあげられなかったゴンザレスの代役となったデュマトレイトも4勝に終わり、まったく安定感がなくシーズン終盤には起用されなくなった。あまり有望な若手も見られなかったが、7月にSKからトレードで移籍してきたサイドハンドのパク・ヒョンジュンがプロ初勝利を含む2勝をあげ、今後に期待を持たせた。
 先発と比較して、リリーフ陣は防御率4.59と比較的健闘した。開幕当初は抑えとして起用された岡本は、8月以降あまり起用されなかったが16セーブをあげそれなりの成績を残し、2011年からの日本プロ野球復帰につなげた。中継ぎ陣は左のイ・サンヨル(76試合)、オ・サンミン(65試合)、右のイ・ドンヒョン(68試合)、キム・グァンス(68試合)、アンダースローのキム・ギピョ(48試合)など比較的バラエティに富んでいた。一方でシム・スチャン、チョン・ジェボクなど数年前から主力として活躍している投手たちの不振も目立った。
 開幕前に「ビッグ5」と呼ばれた豪華な外野陣(イ・ビョンギュ、イ・ジニョン、イ・テックン、イ・デヒョン、パク・ヨンテク)をそろえた打線はそれなりに機能した。チームの打線の軸となったのは正捕手チョ・インソンで、公式戦133試合に出場し28本塁打、107打点とチームの2冠王となり、2009年8月試合中に投手と口論し2軍へ落とされてしまったことによる失墜からの回復を果たした。前述した「ビッグ5」はそれなりの成績を残したが、それ以上に印象深い活躍を見せたのが小イ・ビョンギュ(背番号24)で、規定打席に達せずとも打率.300、12本塁打、64打点(チーム2位)の成績を残し、2011年は更なる活躍が期待されている。
 外野陣に比べて内野は層が薄かったため、本来は外野だったイ・ジニョンやイ・テックンがファーストを守る試合が多かった。その中でも目覚しい成長を見せたのが20歳のオ・ジファンで、ショートのレギュラーに定着し121試合に出場した。荒っぽい打撃が欠点で8球団最多の137個の三振を記録し、打率も.245と低かったが13本塁打とパンチ力があり、今後の成長を見守りたい。27個を記録した失策の多さも課題である。サードはチョン・ソンフンが111試合に出場したが、セカンドはレギュラーだったパク・キョンスが負傷で戦線離脱したため、それまで控えだったキム・テワンがその穴を埋めた。
 チーム盗塁数は169個と8球団中最多で、それは4年連続盗塁王イ・デヒョン(66個)の存在が非常に大きい。またパク・ヨンテク(19個)、イ・テックン(14個)、オ・ジファン(13個)など2ケタ盗塁の選手が6名と、機動力を使った野球を指向するようになってきた。

 2010年のオフであるが、目立った動きは少なく新外国人選手として左腕ジュキッチ、快速右腕のリズと契約し、課題の投手陣の補強を図った。近年は若い有望な投手を酷使してすぐに潰してしまう傾向があり、それがチームの低迷につながっているのだが、2年目を迎えたパク・チョンフン監督が新人や若手を2軍から引き上げ戦力とし、チョ・インソンなどとのベテランの融合を図って2011年こそ9年ぶりのポストシーズン進出を実現させたいものだ。

(文責 : ふるりん