DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第2回 トゥサンベアーズ

 2年連続でSKの前に韓国シリーズ準優勝で終わったトゥサン。北京五輪で韓国代表を優勝に導いたキム・ギョンムン監督も、韓国シリーズに過去3度出場しているが、いずれも結果を残せていない。さらにオフにはFAでホン・ソンフンがロッテに、イ・ヘェチョンが日本の東京ヤクルトに移籍と、投打の主力が流出した。毎年のように主力選手が出て行く中、若手を抜擢し現在のチームを作り上げたキム・ギョンムン監督にとって、就任6年目にして初の韓国シリーズ優勝となるか注目される。


【投手陣】

(先発) 
ランデル、キム・ミョンジェ、キム・ソヌ、チョン・ジェフン、ノ・ギョンウン
(中継ぎ)
◎イ・ジェウ、◎イム・テフン、△クム・ミンチョル、△チン・ヤゴプ、コ・チャンソン、イ・ヨンチャン、キム・サンヒョン
(抑え)
ソン・ヨンフン

注 : ◎は2009年WBC韓国代表、△は左腕

 イ・ヘェチョンが抜けたことで、全体的に左腕不足である。また先発投手陣の層も薄い。2009年も大黒柱は、韓国5年目の外国人投手ランデル(元読売)であるが、3月半ばにソウルの地下鉄駅構内の階段で転倒し、腰を骨折し開幕には間に合わなくなってしまった。何とかその穴を埋める若手を発掘したい。また、元メジャーリーガーのキム・ソヌは韓国2年目ということで、2ケタ勝利が期待される。2005年にはセーブ王にもなり、ここ数年抑えとして活躍してきたが先発に転向するチョン・ジェフンに注目が集まる。
 リリーフ陣はイ・ジェウ、イム・テフンの右腕2人が軸となる。チョン・ジェフンを先発にまわしたため、抑えの座を誰にするかが悩みどころであるが、キャンプや示範競技で好調を維持している大型高卒新人ソン・ヨンフンに期待が集まる。2007年の新人王でまだ20歳のイム・テフンが、3年目にして抑えの大役を任される可能性もある。


【打撃陣】

(ベストオーダー)

1.イ・ジョンウク(中) △◎
2.コ・ヨンミン(二) ◎
3.キム・ヒョンス(左) △◎
4.キム・ドンジュ(三)
5.ワトソン(指) △
6. オ・ジェウォン(一) △
7. イム・ジェチョル(右)
8. キム・ジェホ(遊)
9. チェ・サンビョン(捕)

注 : ◎は2009年WBC韓国代表、△は左打者

(控え)
チェ・ジュンソク、イ・ウォンソク、ソン・シホン、イ・デス、△ユ・ジェウン、ミン・ビョンホン、△イ・ソンヨル、△チョン・スビン


 トゥサンの攻撃陣は「陸上部」というあだ名があるほど走る選手をそろえ、一発を打てる打者が少ないが足でかき回し大量得点を狙う攻撃パターンができていた。注目選手は何と言っても2008年首位打者となり、北京五輪や2009年WBCでも活躍したキム・ヒョンスである。どんな球にも対応しどの方向にも打球を飛ばす卓越した打撃技術は、まだ21歳の選手のものとは思えない完成度である。イ・ジョンウク、コ・ヨンミンなど快足の選手が、キム・ヒョンスの長打によって帰ってくる場面が何度も見られるであろう。
 ロッテへ移籍したホン・ソンフンの穴埋めとして、新外国人ワトソン(元千葉ロッテ)が期待されている。キャンプ中の練習試合や示範競技でも好調で、主砲キム・ドンジュとともにクリーンアップを打つことになるであろう。下位打線が決して強くないため、上位打線で確実に得点を奪っておきたい。また、内野のソン・シホン、外野のイム・ジェチョルといった経験豊富な選手たちが軍から除隊され復帰したのも大きい。その他キム・ギョンムン監督得意の若手の抜擢によって、更なる選手層の底上げが進むことであろう。

 投打ともに他球団と比較して抜きん出ているとは言いがたいが、2009年シーズンも全員野球で手堅い試合運びをすれば、王者SK、2008年最後まで2位争いを繰り広げたロッテなどのライバルとも対等に渡り合え、優勝のチャンスはめぐってくるのではないだろうか。8年ぶりとなる韓国シリーズ優勝の悲願達成へと、機は熟しつつある。


【本拠地】  ソウル・蚕室野球場

 首都ソウルの南東部にある、韓国を代表する3万人収容の大型野球場。トゥサンだけでなくLGの本拠地にもなっていて、ライバル意識の強い両チームの対戦はソウルダービーということで他にない盛り上がりを見せる。また、トゥサン、LGがどちらとも韓国シリーズに出場しなくても、他球場の収容人数は1万人台が多く、観客動員を増やすため第5戦以降はこの球場で試合が行われる。
 両翼100m、左・右中間117m、センター125mと韓国の野球場では最大級の広さがあり、大変ホームランの出にくい球場である(2009年よりLG主催試合のみ稼動フェンスを設置)。トゥサンはこの球場の特性を生かすため、快足の選手をそろえ守備と走塁を強化し、2007、08年と優勝争いを続けてきた。



 球場内にはトゥサン、LGのグッズショップもあるが、地下鉄総合運動場駅側の出入口(外野3塁側)には、首都ソウルらしくプロ野球8球団のグッズを扱っているショップもある。また総合運動場駅の改札口近くにも、レプリカユニフォームなどを打っている売店がある。

 球場から地下鉄で1駅離れた三成(サムソン)駅付近には、KOEX(韓国総合貿易センター)モールがありショッピングや食事を楽しむことができる。またKOEX内にはKCAT(韓国都心エアターミナル)があり、仁川空港、ソウル・金浦空港行きのリムジンバスも発着し出国手続きもできるため、空港へのアクセスもよい。

[交通アクセス]
 ソウル地下鉄2号線・総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅、5番出口徒歩0分。
 ソウル駅、鍾路(チョンノ)、明洞(ミョンドン)などソウルの中心街からは、地下鉄2号線などで約40分。ソウル・江南(カンナム)地区の繁華街からは地下鉄2号線で10分前後。

(文責 : ふるりん