DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  公式戦大予想

1. 優勝チームは? 
 専門家の予想では、2007年の王者SK、2005,06年と韓国シリーズを連覇した前王者サムソンを2強、2007年2位のトゥサン、3位ハンファ、最下位だったが戦力補強に成功したキアを第2集団とし、LG、ロッテが第3集団、新球団ウリヒーローズを不動の最下位候補とする傾向が強い。

 2007年韓国シリーズ初優勝を成し遂げたSKは、今季は連覇を果たし黄金時代を築くことに余念がない。名将キム・ソングン監督はベテラン、中堅、若手が融合した選手層の厚いチームを作り上げ、主砲イ・ホジュンなどの故障者が出ても優勝候補という評価に揺らぎはない。ようやっと20歳になる左腕キム・グァンヒョンがエースに成長し、他チームの調子が上がらなければ、前年以上の独走態勢に入る可能性もある。
 2007年はまさかの4位だったサムソンは、ひじの手術を受けたエースのペ・ヨンスの復帰、ハンファで活躍した外国人打者クルーズの獲得による打線の強化、若手野手の台頭などで弱点を補強しつつある。代表チームのコーチを辞任したソン・ドンヨル監督もチームの再建に専念し、王座を奪回できる戦力は整った。だが絶対的守護神オ・スンファンがひじ痛を訴え五輪予選出場を辞退し、状態が万全とは言えないのが気がかりだ。

 第2集団としてはまず、キム・ギョンムン韓国代表監督が率いるトゥサンがあげられる。コ・ヨンミン、イ・ジョンウクなど走れる選手をそろえていて、長打はキム・ドンジュ以外あまり期待できないが、機動力野球で得点力はある。22勝と驚異的な成績を残した外国人投手リオス(現東京ヤクルト)の穴は、元メジャーリーガーのキム・ソヌ、4年ぶりに韓国へ復帰したラスなどで埋められようとしている。ただ2強と比べ選手層が薄く、若手主体のチームなのが不安要素である。
 ハンファは五輪予選に出場したエースのリュ・ヒョンジンの状態が悪く、チョン・ミンチョルなどのベテラン選手たちも活躍の保証はない。守護神ク・デソンも手術後のリハビリで復帰は未定である。だが名将キム・インシク監督は若手を積極的に抜擢し、選手起用法にも定評がある。開幕戦は負傷により欠場するが主砲キム・テギュンを軸とした「ダイナマイト打線」が爆発すれば、今季も上位争いに顔を出し続けるであろう。
 示範競技1位で、2007年最下位に転落した停滞ムードを払拭できたキアは、今季は4位争いに残るとの見方が強い。元メジャーリーガーのソ・ジェウン、ホセ・リマの入団で投手陣が強化され、韓国2年目を迎えた元メジャーリーガーの主砲チェ・ヒィソプ、ナ・ジワンなどの新人野手にも期待がかかる。ただ本拠地・光州の球場の人工芝が粗悪で、例年のように多数の負傷者を出してしまうことが最大の敵になるかもしれない。

 4位争いの可能性がやや低いチームとしては、まずLGがあげられる。名将キム・ジェバク監督の指揮で2006年の最下位から2007年は5位まで浮上できたが、若手の台頭も少なく打線を中心に選手層が薄く、苦戦は必死である。エースのパク・ミョンファンなど信頼できる先発投手はそろっているだけに、2年目を迎え独自の野球スタイルが浸透してきたキム・ジェバク監督の采配に期待したい。
 暗黒時代からの脱出を図るため、大胆にも史上初の外国人監督ロイスター新監督を迎えたロッテは、主砲イ・デホをバックアップするガルシアなど新外国人選手の活躍しだいでは、4位争いに残れる可能性はある。メジャーリーグの監督経験もあるロイスター監督が、選手補強やトレードが後手を踏んでばかりのフロント、負け犬根性が染み付いたチーム体質をどう変えていくかが見ものである。

 2007年は6位だった現代を事実上引き継いで誕生した新球団ウリヒーローズは、球団が本格的に始動したのは2月後半からだっただけでなく、大幅な減額提示が相次ぎ年俸契約でもめたこともあり選手の調整が不十分で、勝率4割未満の最下位でなければ御の字ではないだろうか。示範競技も2勝8敗1分けと最下位だった。投手ではチャン・ウォンサム、ファン・ドゥソン、野手ではイ・テックン、外国人ブランボーなど他球団でも活躍できる選手はいるが、選手層は薄く今後活躍するであろう若手の発掘に1年をかけても悪くはない。実質的な経営者のセンテニアルインベストメント社は、1年で性急に結果を求めているように見えるが、現実はそんなに甘くはない。結果よりも無事にシーズンを終えることを最優先し、3年先を見据えた方針を立ててほしい。


2.外国人選手
 今季各球団2人ずつの8球団合計16名の外国人選手が登録されているが、そのうち実に9名が日本プロ野球経験者となった。東アジアの生活環境に慣れている外国人選手は、日本での活躍の場がなくなれば、韓国に新天地を求めるようだ。逆にグライシンガー(読売)、リオス(東京ヤクルト)、シーボル(広島)など韓国から日本へ進出する選手も目立つ。

【SK】 ○ レイボーン(元広島、2年) A、○ クビアン(元阪神、1年) B
【トゥサン】 ○ ランデル(元読売、4年) A、○ ラス(元東北楽天、4年) B
【ハンファ】 ○ トーマス(元北海道日本ハム、1年) B、× クラーク(1年) B
【サムソン】 × クルーズ(2年) A、○ オバミュラー(元オリックス、1年) C
【LG】 ○ ブラウン(元阪神、3年) B、○ オクスプリング(元阪神、2年) C
【ウリ】 × ブランボー(元オリックス、4年) A、○ スコービー(2年) B
【ロッテ】 × ガルシア(元オリックス、1年) A、○ マクレリー(1年) B
【キア】 ○ リマ(1年) A、× バルデス(1年) C
注 : ○は投手、×は野手。( )内は韓国在籍年数。A、B、Cの順に期待度をあらわした。

 各球団の外国人枠は2人で、入れ替えも2度だけとプレーできる人数は少ないが、外国人選手はチームの成績を左右する大きな要素となっている。ここ5年間を見ても、2003,04年の現代(ブランボー、バワーズ、フィアリーなど)、2005,06年のサムソン(バルガス、ハリッカラ、ブラウンなど)、2007年のSK(レイボーン、ロマノ)など韓国シリーズ優勝チームでは必ず外国人選手が活躍している。しかも日本経験者が多い。そうなると、今季も2人の外国人選手を日本経験者で固めたSKの優勝は、かなり確率が高いことになる。

 新外国人で最も注目されるのは、1999年アストロズで21勝を記録し、メジャーリーグ通算89勝を記録したキアのホセ・リマだ。リマの右腕にチームの最下位脱出、ヘテからキアに変わって以来初の韓国シリーズ出場がかかっている。最多勝投手となった2004年以来の復帰となるトゥサンのラス、ハンファからサムソンへ移籍しクリーンアップを打つクルーズなどにも注目が集まっている。


3.新人王は?
 今季は8球団で合計14名の新人選手が、開幕1軍に名を連ねた。これは2007年の7名と比べて2倍である。3月の示範競技(オープン戦)では、五輪予選に各球団の主力選手が出場していたため、その不在を埋めるため新人選手が積極的に起用され、多数の新人選手が活躍を認められ開幕1軍の栄誉を手にした。
 投手では高卒新人チョン・チャンホン(LG)の評価が高い。示範競技で4試合無失点の右腕チョン・チャンホンは、当初中継ぎとして起用される予定で、今後の活躍では先発ローテーションに入る可能性がある。その他左腕チン・ヤゴプ(トゥサン)、右腕チェ・ウォンジェ(サムソン)などの高卒新人の評価も高く、キム・ソンヒョン(ウリ)は選手層の薄いチーム事情から高卒新人ながらも抑えとして起用されることになり、注目を浴びている。大卒新人の投手では左のリリーフ不足もあり積極的に起用されるであろうムン・ヨンミン(ハンファ)も期待されている。
 
 野手では右の長距離砲ナ・ジワン(キア)の評価が高い。高校時代から注目されていた逸材であり、大学進学後も順調に成長し、2007年の野球W杯など国際大会でも活躍した。示範競技でも4番を任され活躍し、開幕スタメンも確実である。その他外野のレギュラー争いに加わるホ・スンミン(サムソン)、守備と走塁を評価されショートのレギュラーを狙うモ・チャンミン(SK)など、大卒新人に有望株が目立つ。高卒新人では164cmとミニサイズながらも示範競技で活躍し、ショートのレギュラーを狙うキム・ソンビン(キア)が注目されている。

 2007年のイム・テフン(トゥサン)など、2002年から6年連続で新人王は投手が選ばれている。今季はキム・テギュン(ハンファ)以来7年ぶりの野手の新人王が登場し、オ・スンファン(サムソン)、リュ・ヒョンジン(ハンファ)など、新人王出身の球界を代表するスター選手が出てきてほしい。