DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2024 WBSCプレミア12韓国代表 展望

 通算3回目となる野球の国際大会、2024 WBSCプレミア12は現地時間11月9日(韓国時間11月10日)、メキシコでオープニングラウンドA(メキシコ、ベネズエラアメリカ合衆国、オランダ、プエルトリコパナマ)が開幕し、続いて台湾・日本でオープニングラウンドB(日本、台湾、韓国、キューバドミニカ共和国、オーストラリア)が11月13日に開幕する。第1回の2015年大会では優勝、第2回の2019年大会では準優勝となった野球韓国代表は、2024年大会ではまずオープニングラウンド6チーム中2位以上が進出できるスーパーラウンド(11月21~23日・東京ドーム)進出を目指す(3位決定戦・決勝戦は11月24日)。

  

 野球韓国代表は1年順延された2020年東京オリンピックで6チーム中4位に終わってから、代表チームの世代交代が急務とされてきた。しかし2023 WBCワールドベースボールクラシック)は30代のベテラン選手中心の起用や調整の失敗もあり、1次ラウンドで敗退と結果を残せなかった。そこで1年順延され2023年9~10月に開催された杭州アジア競技大会野球では25歳以下の選手が主体となり出場し、韓国代表は大会4連覇を達成し、兵役免除の恩典を得た選手も多く、世代交代を印象付けた。また同年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップも若手主体で臨み経験を積んだ。

 2024年3月、韓国で史上初のレギュラーシーズン開催となるMLBメジャーリーグベースボール)・ロサンゼルスドジャース-サンディエゴパドレスが開催された際、若手主体の韓国代表チームが両チームと親善試合で対戦した。このように経験を積んだ20代前半の選手たちが2024年レギュラーシーズン終了後のWBSC プレミア12に出場し、さらに経験値を積んで2026 WBCや2026年愛知・名古屋アジア競技大会野球などに臨むと思われる。

 選手選考については9月12日に予備エントリー60名、10月11日に代表候補35名が発表された。10月24日から高尺スカイドームで練習が始まり、負傷者などの入れ替えもあり、11月1,2日のキューバ代表との親善試合などを通して7日に最終エントリー28名が発表された。11月8日、韓国代表一行は台湾に到着、10日、WBSCプレミア12の会場の一つである天母野球場にて台湾プロ野球・味全ドラゴンズと練習試合で対戦した。大会前日の11月12日、韓国代表は13日の大会初戦・台北ドームで初の練習を行い、その後の記者会見でリュ・ジュンイル監督は台湾代表戦の先発投手はコ・ヨンピョ(KT)であると発表した(台湾代表の予告先発投手は未発表)。

2024 WBSCプレミア12の会場・台北ドーム https://www.osen.co.kr/article/G1112455460

台北ドームで練習する韓国代表選手たち https://www.osen.co.kr/article/G1112455408

台湾代表の曽豪駒監督と韓国代表のリュ・ジュンイル監督 https://www.osen.co.kr/article/G1112455563

 

 韓国代表の先発投手陣はコ・ヨンピョ以外に25歳の最多勝投手(15勝)クァク・ピン、31歳のベテラン右腕イム・チャンギュ、23歳の若手左腕 チェ・スンヨンなどが起用されると思われる。クァク・ピンとともに最多勝を分け合ったウォン・テイン(サムソン)が負傷で出場できず、その代わりとしてイム・チャンギュが追加招集された。

 手薄な先発陣と対照的に、リリーフ陣は手厚くした。自身初の最多セーブ(31)の個人タイトルを受賞した23歳のチョン・ヘヨン、また19歳の新人ながら19セーブを記録したキム・テギョン、ユ・ヨンチャン、21歳のパク・ヨンヒョン、22歳のチョ・ビョンヒョンなど各チームで抑えを任されている選手たちを集めた。また左腕のリリーフとしてはクァク・トギュ、チェ・ジミンとキアタイガーズの2人が中心になる。

 野手陣で最も注目を集めるのは、キアタイガーズの韓国シリーズ優勝に大きく貢献した三塁手のキム・ドヨンである。打率.347、38本塁打、109打点、40盗塁と圧倒的な成績だった。2023 WBCなど近年の国際大会に出場し続けていたカン・ベッコ(KT)、キム・ヘェソン(キウム)の2名が、2023年の杭州アジア競技大会優勝で兵役免除となっても受けなければならない軍事基礎訓練の日程と重なったため、今回は出場しない。そのためキム・ドヨンへの期待がさらに高まる。

 キム・ドヨンの周りを固める選手としては高い出塁率を誇る31歳のホン・チャンギ、自身最高の打率.340を残した28歳のソン・ソンムンなどこれまで韓国代表に縁のなかった選手がキム・ドヨンの前のお膳立てをし、2023年の杭州アジア競技大会に出場したムン・ボギョンやユン・ドンヒィなどがその後に控え打点を稼ぐと思われる。懸念材料の捕手は2023年の杭州アジア競技大会に出場した25歳のキム・ヒョンジュンと、34歳のベテランで韓国代表に縁のなかったパク・トンウォンの併用となると思われる。また主に遊撃手として守備に長けたパク・ソンハンや、成長の可能性を秘めたともに22歳のキム・ヒィジプとキム・ジュウォン、23歳のイ・ジュヒョンなどの若手野手たちの活躍にも期待したい。

 前回の2019年大会に続いて出場するのはイ・ヨンハの1名のみ、わずか1年8か月前の2023 WBCに出場したのはクァク・ピンとソ・ヒョンジュンの2名と、大幅に顔ぶれを入れ替えた2024 WBSCプレミア12韓国代表。経験よりも新鮮さを武器に、厳しい戦いが予想されるオープニングラウンドBを突破するため、まずは2019年大会で0-7と敗れた地元台湾代表との初戦に勝利し、14日のキューバ戦以降に弾みをつけたい。

 

【2024 WBSCプレミア12韓国代表】
投手:イム・チャンギュ、ユ・ヨンチャン(以上LG)、コ・ヨンピョ、パク・ヨンヒョン、ソ・ヒョンジュン(以上KT)、チョ・ビョンヒョン(SSG)、クァク・ピン、キム・テギョン、チェ・スンヨン、イ・ヨンハ(以上トゥサン)、チョン・ヘヨン、クァク・トギュ、チェ・ジミン(以上キア)、キム・ソヒョン(ハンファ)

捕手キム・ヒョンジュン(NC)、パク・トンウォン(LG)

内野手:ムン・ボギョン、シン・ミンジェ(以上LG)、パク・ソンハン(SSG)、キム・ヒィジプ、キム・ジュウォン(以上NC)、キム・ドヨン(キア)、ナ・スンヨプ(ロッテ)、ソン・ソンムン(キウム)

外野手:ホン・チャンギ(LG)、チェ・ウォンジュン(キア)、ユン・ドンヒィ(ロッテ)、イ・ジュヒョン(キウム)

監督:リュ・ジュンイル

コーチ:リュ・ジヒョン、チェ・イロン、チャン・ジョンフン、チェ・ギムン、キム・ジェゴル、ソ・ジェウン、イ・ジニョン

 

【2024 WBSCプレミア12 : 韓国代表 試合日程】

(オープニングラウンド・グループB)

11月13日19時半 : 台湾台北ドーム

11月14日19時 : キューバ(天母)

11月15日19時 : 日本台北ドーム

11月16日19時半 : ドミニカ共和国(天母)

11月18日13時 : オーストラリア(天母)

※ 試合開始時間は韓国時間。

 オープニングラウンドA・Bで2位以内のチームが進出するスーパーラウンドは11月21~23日、3位決定戦・決勝戦は11月24日(ともに日本・東京ドーム)。

 

(文責 : ふるりん