2月13日から日本・沖縄県うるま市の具志川野球場でキャンプを開始した2017 WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)韓国代表。初の練習試合として2月19日、沖縄県那覇市・奥武山(おうのやま)公園内にある沖縄セルラースタジアム那覇で日本プロ野球・読売と対戦しました。
この日の那覇市はよく晴れて気温も高く、日曜日ということもあり奥武山公園には沖縄県のみならず各地から多くの野球ファンが集まり、三塁側のWBC韓国代表のベンチ付近には韓国からキャンプ見学に訪れた野球ファンが集まっていました(中には韓国代表の選手を応援している日本人の方もいらっしゃいました)。
(2017年シーズンよりサムソンからLGへ移籍したチャ・ウチャンを「エルチャウ 23」と表現している。)
(2大会連続WBC出場となるSKの左腕リリーフ、パク・ヒィスのユニフォーム。)
韓国代表は試合開始3時間近く前の9時半過ぎに野球場へ着き、10時半ごろからグラウンドで練習を始めました。
そして2月とはいえ強烈な太陽が照り付ける中、予定通り12時半より練習試合が開始されました。
韓国代表の先発は、WBC本番でも先発を任されると思われる左腕チャン・ウォンジュン(トゥサン)で、3回裏まで読売打線をパーフェクトに抑えました。
打線の先発メンバーは1番イ・ヨンギュ(ハンファ)、2番ミン・ビョンホン(トゥサン)の上位打線に3番チェ・ヒョンウ(キア)、4番キム・テギュン(ハンファ・元千葉ロッテ)の強打者を軸にしていましたが、1回表、2回表のチャンスをものにすることはできませんでした。
(WBC、WBSCプレミア12など国際大会の経験豊富なイ・ヨンギュ。)
(2016年の韓国プロ野球において首位打者・打点王の二冠となりWBC初出場が予定されるチェ・ヒョンウ。)
打線が得点できないうちに、4回表から登板した2番手チャン・シファン(KT)は初の国際舞台となる緊張感からか先頭打者に長打を浴び、結局1点を先制されました。
5回表から3番手として近年の国際大会では左のロングリリーフとして活躍しているチャ・ウチャン(LG)が登板しましたが、走者を2人出した場面でまぶしい南国の日差しで目測を誤ったか、レフトのチェ・ヒョンウが自身の前に落ちた打球を後ろにそらしてしまい、2点を追加されてしまいました。
初の実戦となる韓国代表の打者たちは、まだ打席での感覚が鈍いのか、全力で短いイニングを投げる読売の投手たちから得点することができません。
(長打力もある捕手、トゥサンのヤン・ウィジ。)
7回裏から登板した4番手ウォン・ジョンヒョン(NC)はサイドハンドからの鋭い投球を武器に読売打線を抑え、初の国際大会での存在感を大きくアピールしました。2015年は病気で1年間休養せざるを得なかった状態から立ち直り、韓国代表入りまで果たしています。
終盤になると野手を次々に交代させ試合に慣れさせていきます。
その中で最も野球場が沸いたのは、2008年北京オリンピック、2010年アジア大会、2015年WBSCプレミア12などの国際大会で優勝を経験し韓国を代表する打者として国内外にその名をとどろかせていますが、過去に2度出場したWBCではこれといった活躍を見せていないイ・デホ(ロッテ・元福岡ソフトバンク)の代打での登場でした。
しかしまだ状態がよくないのか、あえなく見逃しの三振に終わりました。
8回裏に5番手で登板したパク・ヒィス(SK)が1点を追加されましたが、この回途中で登板した6番手シム・チャンミン(サムソン)は、サイドスローからの切れのある球で打者を寄せ付けませんでした。シム・チャンミンは特別に行われた9回裏でも三者凡退に抑え、2015年WBSCプレミア12に続いての国際舞台での一層の飛躍が期待されます。
試合はまだまだ日が高い15時半前に終わり、韓国代表の選手・首脳陣たちは早々と奥武山公園を後にしました。
打線はたった4安打に終わり見せ場を作れませんでしたが、一部の選手を除いておおむね守備は安定していました。
特に内野のかなめとなるキム・ジェホ(トゥサン)は主将を任されていて、試合中でも軽快な動きで何度か難しい打球を処理していました。
WBC韓国代表はその後22日に宜野湾市立野球場で日本プロ野球・横浜DeNAと練習試合を行いましたが2-3で敗れ、沖縄県でのキャンプを終了し、23日に帰国の途に就きました。
肩の状態が思わしくないイム・ジョンウ(LG)がイム・チャンミン(NC)に交代し、ある選手が怪我はなかったものの交通事故を起こすなど不安な面もありましたが、実戦感覚を取り戻し投手陣の起用を見定めるという当初の目的は達成できたように思います。
2月25・26日にWBCキューバ代表、28日にWBCオーストラリア代表、3月2日・4日に尚武・警察との5回の練習試合を通し、大会に向けて選手たちが最高の状態に仕上げ、重要な大会初戦となるWBC1次ラウンド・イスラエル戦(3月6日18時半-・高尺スカイドーム)で開催国としての大声援を受けながら勝利することを願うばかりです。
(文責:ふるりん)