DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第4回 ネクセンヒーローズ

「強豪への第一歩」 

2013年成績 : 72勝54敗2分 (公式戦3位・準プレーオフ敗退)
チーム総合採点…75点



 2013年シーズン、ヨム・ギョンヨプ新監督を迎えたネクセンは球団創設6年目にして初のポストシーズン進出を果たし、かつての資金不足によるトラブルというマイナスイメージから脱した。その戦いを振り返りたい。

 
 前年6位だったが途中まで好調で戦力も比較的充実していたこともあって、開幕前ネクセンを上位に推す声は多かった。3月30日、敵地・光州での開幕戦は乱打戦でキアに敗れたが、翌31日のキア戦で初勝利となった。そして韓国5年目を迎えた外国人投手ナイト(元北海道日本ハム)、左の大砲イ・ソンヨルの好調もあり、4月24日のトゥサン戦まで6連勝となった。4月末には14勝7敗の2位と好調を維持していた。
 5月2日キアを抜いて首位に立ち、その後大きな連勝こそなかったが主砲パク・ピョンホ、カン・ジョンホなどの中心打者たちと外国人投手バンヘッケンも好調で、守護神ソン・スンナクもセーブを積み重ねサムソンとの激しい首位争いが続いた。しかし6月12日のロッテ戦で敗れ2位に後退すると、一部の選手の不祥事もありチームの雰囲気が悪化し、21日のネクセン戦まで8連敗となってしまい、首位サムソンと3.5ゲーム差の3位に後退した。
 6月末に持ち直し2位に浮上したが、思うように勝てず7月12日に好調LGに抜かれ3位に後退した。パク・ピョンホが本塁打を量産し、キム・ミンソンも好調で打線は活発だったが、ナイト、バンヘッケンの両外国人投手以外の先発が手薄で、期待されていた元メジャーリーガーのキム・ビョンヒョン(元東北楽天)の不調や離脱もあり、リリーフ陣も疲れが見えてきて投手陣の低調が足を引っ張っていた。
 首位サムソン、2位LGとの差がやや開き、トゥサンとの3位争いが激しくなっていた。8月6日のトゥサンとの直接対決で敗れ4位に後退し苦しい時期が続いた。その中でも開幕後LGからトレードで移籍してきた内野手ソ・ドンウク、若手の外野手ムン・ウラムなどが活躍し、ソ・ゴンチャン、イ・ソンヨルの不振や離脱を乗り越えなんとか上位に踏みとどまっていた。
 8月末から投打がかみ合い出し、主砲パク・ピョンホが本塁打を量産、守護神ソン・スンナクも完璧なリリーフでセーブ数を増やし続けた。シーズン終盤の上位争いはより熾烈となり、9月16日は4連勝で3位に浮上し20日のキア戦まで7連勝となったが、首位争いをするLG、サムソンをとらえることはできなかった。だが9月28日のLG戦で勝利し、2008年の球団創設以来6年目にして初のポストシーズン進出を決めた。翌29日のトゥサン戦ではパク・ピョンホが3本塁打と大爆発し、2年連続の本塁打・打点の二冠王を確実にした。 
 サムソンの公式戦優勝が決まったが、LGのもたつきもあり10月4日のキア戦に勝利し2位に浮上した。翌5日の公式戦最終戦は相手が最下位のハンファだったが打線がつながらず1-2と接戦で敗れ、トゥサンに勝ったLGに抜かれ公式戦を3位で終え、ポストシーズンは準プレーオフからの出場となった。


 準プレーオフの相手は4位のトゥサンだった。10月8日、本拠地・木洞野球場での10月16日の第1戦は1点リードしていた9回表、守護神ソン・スンナクが打たれ同点に追いつかれてしまったが、9回裏イ・テックンのタイムリーで4-3とサヨナラ勝ちした。第2戦は逆にネクセンが1点リードされた9回裏押し出しの四球で同点に追いつき、延長10回裏控えのキム・ジスのタイムリーで3-2とサヨナラ勝ちし、プレーオフ進出まであと1勝に迫った。
 敵地・蚕室野球場に舞台を移した第3戦は、7回表キム・ミンソンの3ランでネクセンが同点に追いつき、またもや延長戦となった。だがチャンスを生かしきれず、14回裏7番手キム・ヨンミンが打たれ3-4とサヨナラ負けとなった。第4戦も接戦となり、先発バンヘッケンが逆転2ランを打たれ打線も抑えられ1-2と敗れ、決着は木洞での第5戦にもつれ込んだ。第5戦も3点をリードされたまま9回裏2アウトを迎えたが、主砲パク・ピョンホの同点3ランで三度延長戦に突入した。守護神ソン・スンナクは12回まで無失点に抑えたものの、13回表カン・ユング、イ・ジョンフンが5点を勝ち越され、13回裏イ・テックンの2ランで反撃したが5-8で敗れ、第3戦から3連敗で準プレーオフ敗退が決まった。
 初のポストシーズンでは公式戦とは全く違う総力戦が求められたが、トゥサンと比べて経験が浅くやや選手層も薄いネクセンはあと1勝が遠く勝ち進むことができなかった。


 チーム成績を検証する。
 チーム防御率は4.12で9球団中5位と、投手力のチームではなかった。2012年と同じくナイト、バンヘッケンの両外国人投手がともにチーム最多の12勝と期待通りの活躍を見せたが、その他規定投球回数に達したのが若手左腕カン・ユング(6勝)だけで、先発陣は手薄だった。期待されていたキム・ヨンミンも5勝どまりで、シーズン終盤に左腕オ・ジェヨンが先発で4勝したのが明るい材料だった。リリーフ陣では2010年以来2度目となる最多セーブ(46セーブ)のソン・スンナク、まだ20歳ながら最多ホールド(27ホールド)のハン・ヒョンヒィの2人が軸となった。その他にベテランのイ・ジョンフン、2011年以来の復帰となったソン・シニョン、左のパク・ソンフンなどがいたが、あまり層が厚くはなかった。
 打線はチーム総得点646が3位、チーム打率.272は4位だったが、チーム本塁打数125は1位と、本塁打の出やすい木洞野球場を生かした打線だった。2年連続打撃二冠王・シーズンMVPとなったパク・ピョンホは37本塁打、117打点と球界を代表する打者に成長した。その脇には22本塁打、96打点の強打のショートのカン・ジョンホ、自己最高の15本塁打、72打点を記録したキム・ミンソン、シーズンを通して活躍できなかったが18本塁打のイ・ソンヨルなどが揃っていた。その他にもイ・テックン、チャン・ギヨンなどタレントはそろっていたが、控えや代打の層が薄く見た目ほどの怖さはなかった。


 オフシーズンの補強としては、ここ数年間外野のレギュラーとして活躍していたが成績が悪化したチャン・ギヨンをトゥサンにトレードし、右の長距離打者ユン・ソンミンを獲得した。新外国人野手として内外野守れるヴィニー・ロッティーノ(元オリックス)と契約し、ナイト、バンヘッケンの外国人投手とも再契約した。パク・ピョンホ、カン・ジョンホなど打線に絶対的な軸があり、これに若手の成長があれば2年連続のポストシーズン進出、そして初の韓国シリーズ優勝も夢ではない。2014年シーズンは真の強豪になれるかどうかの正念場であると言える。

(文責:ふるりん