DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第7回 LGツインズ

失われた10年 
2012年成績 : 57勝72敗4分け(公式戦7位)
チーム総合採点…30点


 2012年よりキム・ギテ監督率いることになったLGツインズだが、前年オフに不動の正捕手だったチョ・インソンなど3名の選手がFAで移籍し、シーズン開幕前の3月、先発として期待されていた2名の投手が試合中の不正投球疑惑を認めたことで解雇となり、戦力的には非常に苦しいと思われていた。4月7日、敵地大邱でのサムソンとの開幕戦で、イ・ビョンギュ(背番号9、元中日)の満塁本塁打で快勝すると、4月は8勝8敗の五分とまずまずの滑り出しだった。
 課題は抑えだった。2011年は先発として活躍した外国人投手リズを抑えにしたが、失敗も目立つなどリリーフ陣の不安定さが足を引っ張った。打線では4番に座ったベテランのチョン・ソンフンの活躍が光った。そこで5月になり、故障で開幕に間に合わなかったポン・ジュングンをこれまでの先発から抑えに回ってもらい、リズは先発に起用された。そして中継ぎの柱にユ・ウォンサンを据え、パク・ヨンテク、イ・ジニョン、チェ・ドンスなどの野手も当たりが出始め、5月20日までの4連勝で3位に浮上した。
 しかし勢いは続かず、5月末には勝率5割を維持するのがやっとで4位や5位につけていた。6月初めは混戦の上位争いで10日には4連勝で、単独2位に浮上した。しかしシーズン半ばにも達していないこの時期がピークだった。5月まで低迷していた前年の王者サムソンが浮上してきたのだ。6月19日、開幕8連勝と好調だった外国人投手ジュキッチが初黒星を喫すると、2011年と同様梅雨入りを前にしてチームの転落が始まった。
 6月28日まで投打ともに振るわず6連敗で、勝率も5割を切り7位にまで後退した。7月はさらに下降線をたどり、13日にはシーズン最悪の7連敗となり、勝率5割から大きく遠のいた。雨天中止で3日間試合がなく、17日のSK戦ではジュキッチを中継ぎに登板させる必勝体制でようやく連敗から脱した。その後も大きな連勝はできず6位以上との差を大きく詰められなかった。
 8月、イ・ジニョン、イ・ビョンギュ、オ・ジファンなどの主力打者は好調だったがジュキッチ、キム・グァンサムなどで勝てず波に乗れなかった。これまでフル回転していたユ・ウォンサンの離脱で中継ぎの層が薄くなり8月26日のサムソン戦まで5連敗で、6位ネクセンとのゲーム差が7.5と、残り30試合を切ってポストシーズン進出は絶望的になった。イ・ドンヒョン、ウ・ギュミンなどの中継ぎ陣が安定しだし、9月以降はやや持ち直したものの順位は変わらなかった。
 10月1日、本拠地蚕室でのサムソン戦に敗れ、シーズン7位が確定し相手の公式戦優勝を目の前で決められる屈辱を味わった。こうしてLGは2003年以降のポストシーズン連続失敗記録を10に伸ばし、ファンの落胆と怒りを誘う1年を繰り返した。


 2012年シーズンの投打の成績を振り返る。
 チーム防御率4.02は8球団中7位と、投手陣の層の薄さが目立った。特に先発陣では、チーム最多勝(11勝)のジュキッチ、5勝12敗と大きく負け越したが先発ローテーションを守ったリズの両外国人投手以外規定投球回数に達した選手がいなかった。韓国人エースの不在が顕著で、ベテランのキム・グァンサムだけが100イニングを超え7勝と予想外の活躍を見せた。また長年故障に苦しみ、6年ぶりに1軍登板を果たしたかつての有望株左腕シン・ジェウンが、シーズン後半先発を任され5勝と今後に可能性を感じさせた。
 リリーフでは、中継ぎの柱に成長したユ・ウォンサンが21ホールドと自己最高の成績を残し、勝利の方程式に欠かせない存在だった。その他左腕のイ・ソンヨル、アンダースローのウ・ギュミン、速球派イ・ドンヒョン、チーム最年長の41歳リュ・テッキョンなどが主な中継ぎ陣だった。また左腕不足で先発にリリーフに起用された大卒新人チェ・ソンフンが5勝と健闘した。LGで初めて抑えを任されたポン・ジュングンは、メジャーリーグ時代の経験を活かし26セーブと守護神の役割をしっかりつとめた。

 打線はチーム打率.261は3位、得点544は4位と上位球団に劣っていなかった。特にチョン・ソンフン(打率.310、12本塁打)、パク・ヨンテク(打率.305、76打点)、イ・ジニョン(打率.307)、イ・ビョンギュ(打率.300)と実績ある主力選手は期待通りの成績だった。また、打率が低く三振も多いがパンチ力がありチーム最多タイの12本塁打を記録したオ・ジファンも、ショートを守り次代の主軸としてさらなる成長を遂げた。
 だがチーム本塁打数59は8球団中6位タイと迫力を欠いた。特に下位打線と上位打線の差が大きく、選手層の薄さは投手陣ほどではないがはっきりしていた。それを補ったのはパク・ヨンテクの30個を筆頭に、オ・ジファンの25個、イ・デヒョンの23個と続いたチーム盗塁数140(8球団中2位)を記録した機動力だった。チョ・インソンの穴を埋める捕手には苦労し、キム・テグン、ユン・ヨソプの併用となった。


 ここ数年、6月過ぎまでは何とか上位に残るが、途中で崩れてしまい終盤の追い上げがほとんどない傾向がある。終盤まで上位争いをするための戦略やそれを実現する選手層の厚さが求められる。


 オフシーズン最大の目玉は、ここ数年サムソンの鉄壁のリリーフ陣を支えてきたチョン・ヒョヌクをFA(フリーエージェント)で獲得したことだった。だが代わりに貴重な左腕として先発でも積極的に起用された若手イ・スンウを人的補償として持って行かれた。さらにNCの特別指名で正捕手候補のキム・テグンが持って行かれてしまうなど、戦力ダウンも目立った。それを補うため、控え捕手だったヒョン・ジェユンを獲得するなど、控えの層を厚くするためのサムソンとの3対3大型トレードも実現させた。ジュキッチ、リズとの両外国人投手とも再契約を結んだ。また2013年1月末、元メジャーリーガーのリュ・ジェグクとも契約し投手陣の充実を図ったが、故障と兵役により長年実戦から遠ざかっているため即戦力とはいかないようである。
 2002年韓国シリーズに進出してから、フロントの迷走で2003年からずっとポストシーズンに進出できず、まさに「失われた10年」を過ごしてきたLGツインズ。若きキム・ギテ監督は2年目となる2013年シーズン、どのようにしてこのマイナスのオーラに満ちたチームを生まれ変わらせることができるのだろうか。7位に終わったが、新しい力が出てきた2012年シーズンの中にその糸口があるのかもしれない。
 
 
(文責 : ふるりん)