DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  準プレーオフ : SK−キア 展望

 SKとキアの対決と言えば、近年では2009年の韓国シリーズが記憶に新しい。この時は第7戦までもつれ込む熱戦で、キアが9回裏ナ・ジワンのサヨナラ本塁打で勝利し、12年ぶりの韓国シリーズ優勝の歓喜を味わった。韓国シリーズ3連覇を阻止されたSKとしては、今回その借りを返したいところだ。


 2010年韓国シリーズ優勝チームだったが、正捕手パク・キョンワンの不在や、若きエースのキム・グァンヒョンが長期離脱したSKは苦しい戦いが続き、8月には再契約で球団ともめたキム・ソングン監督が更迭され、イ・マンス監督代行の下何とか3位にこぎつけた。
 SK投手陣であるが、チーム防御率は3.59で8球団中2位となっているが、シーズンを通して先発ローテーションを守った選手がいない。これは質量ともに豊富なリリーフ陣のおかげである。だがこういう短期決戦では強力な先発投手が勝敗の鍵を握るため、ここ数年間SKのエースとして活躍してきたキム・グァンヒョンが命運を握っている。6月末から9月まで体の治療に専念してきたが、10月2日のサムソン戦で先発し4回を無失点に抑えるなど状態はよさそうだ。その他の先発候補としてはソン・ウンボム、コ・ヒョジュン、ゴードン、ユン・ヒィサンなどがあげられるが、過去2年間のポストシーズンの経験があるグローバー(元読売)が故障のためエントリーから外れたのが痛い。
 中継ぎは最多ホールドのタイトルを獲得した左のチョン・ウラムを軸に、パク・ヒィス、イ・スンホ(背番号20)、イ・ジェヨン、イ・ヨンウクなどが起用されると思われる。抑えであるが経験を買えばチョン・デヒョン、最近勢いのあるオム・ジョンウクが状態を見てどちらかが起用されるであろう。
 打線はチーム打率(.263)が8球団中4位、本塁打(100)は同3位、得点(584)は同5位と、決して強力な方ではない。故障者も多かったが、ポストシーズンを前にチョン・グヌ、チェ・ジョンといった故障者が復帰し、過去2年間のポストシーズンでMVPを受賞したパク・チョングォンも復調するなど、明るい兆しが見られる。ただ、公式戦よりポストシーズンで活躍が目立つ「カウルドンファ(秋のドンファ)」ことチョ・ドンファが故障でエントリーから外れた。
 

 2010年は5位に終わり、2011年シーズンは巻き返しを図り夏場は一時期首位だったキアは、終盤に調子が落ち公式戦を4位で終えた。だが最多勝(17勝)、最優秀防御率(2.45)、最多奪三振(178)とタイトルを総なめにしたユン・ソンミンという絶対的エースの存在が大きい。もし勝負が第5戦までもつれた場合、ユン・ソンミンが控えているキアの方がその点では有利だと言える。
 キア投手陣はチーム防御率(4.10)が8球団中3位と、それなりの質を保っている。ただ終盤はロペス、ソ・ジェウン、ヤン・ヒョンジョン、トラビスと他の先発候補の調子が悪かったのが気がかりだ。SKとは対照的にリリーフ陣の質が決していいとは言えず、ソン・ヨンミン、ユ・ドンフン、ハン・ギジュなどが軸となるが、絶対的な切り札がいない。プロ2年目でまだ20歳ながら左の中継ぎの柱となったシム・ドンソプが勝敗の行方を左右することになるかもしれない。
 打線はチーム打率(.269)が8球団中3位、本塁打(106)は同2位、得点(627)は2位と、比較的強力である。打線の軸となったのは、日本プロ野球福岡ソフトバンクから移籍してきたイ・ボムホであるが、8月に負傷で戦線離脱してからは公式戦に出場せず、ポストシーズンになんとか間に合わせてきたので不安が大きい。不動の1番打者イ・ヨンギュ、劇的な場面での活躍が多いナ・ジワン、下位打線のポイントゲッターとなるアン・チホン、2009年の優勝の立役者キム・サンヒョンなど、要所にタレントは揃っている。そして41歳のイ・ジョンボム(元中日)は健在で、チャンスで活躍すればチームの雰囲気は一気に変わるであろう。

 準プレーオフの展開だが、打線は一見キアのほうが強そうであるがSKはうまく得点を取って逃げ切るという数字に現れにくい強さがあるので、どちらが上とも言えない。投手陣は先発陣ならキア、リリーフ陣ならSKに軍配が上がる。第1戦はキム・グァンヒョン、ユン・ソンミンのエース対決であるが、緒戦を取ったほうが勢いに乗るというよりは、お互い決め手がなく最後までもつれ込むと予想する。