2009年シーズンはまさかの最下位転落となった。名将キム・インシク監督も勇退し、200勝投手ソン・ジヌ(2010年より日本プロ野球・読売でコーチ研修)、右のエースだったチョン・ミンチョル(元読売)、通算試合出場数最多のイ・デスなどベテランがこぞって引退し、オフにはハン・デファ新監督を迎えた。しかしキム・テギュン、イ・ボムホと2人の主軸打者がこぞってFAで日本プロ野球へ移籍し、抑えとして活躍してきた外国人トーマス(元北海道日本ハム)が米国・メジャーリーグへ復帰と、戦力の流出が著しく、明るい話題がほとんどなかった。
【投手陣】
〈先発〉
△リュ・ヒョンジン、アン・ヨンミョン、キム・ヒョンミン、ユ・ウォンサン、カペラン、デポーラ
〈中継ぎ〉
チェ・ヨンピル、ユン・ギュジン、ヤン・フン、ユン・グニョン、△パク・チョンジン、△ク・デソン、ホ・ユガン、ファン・ジェギュ、チョン・ジェウォン
(抑え)
△マ・イリョン
注 : △は左腕
2010年シーズンも、プロ5年目ながらベテランの風格すら漂う左腕リュ・ヒョンジンがエースとなる。勝率3割台前半の圧倒的最下位に沈みながら、2009年はチーム最多の13勝をあげた。右のエースとなったアン・ヨンミョンも11勝をあげ成長した。しかしその後に続く先発が弱く、チーム防御率は8球団中最下位の5.71だった。キム・テギュン、イ・ボムホの2人の主軸打者が抜けたので新外国人は野手になるかと思われたが、実際は投手力のほうが弱いのでカペラン、デポーラと2人とも投手となった。
3月の示範競技開幕後に、右の中継ぎのマ・ジョンギルと金銭3億ウォンをつけて、ネクセンから左腕マ・イリョンをトレードで獲得した。2008年から2009年まで抑えとして活躍した左腕トーマスの穴を埋めることが期待され、リュ・ヒョンジンに次ぐ左の先発として起用されることも考えられる。8月に41歳となる大ベテランのク・デソン(元オリックス)の出番が増えるようだと2010年シーズンも苦しくなるので、ホ・ユガン、ファン・ジェギュ、チョン・ジェウォンといったプロ2,3年目の若手の成長に期待したい。
【打撃陣】
〈ベストオーダー〉
1.カン・ドンウ(中) △
2.チュ・スンウ(右) △
3.チェ・ジンヘン(左)
4.キム・テワン(一)
5.ソン・グァンミン(三)
6.イ・ヨンウ(指) △
7.イ・ドヒョン(捕)
8.チョン・ウォンソク(二)
9.イ・デス(遊)
〈控え〉
シン・ギョンヒョン、イ・ヒィグン、パク・ノミン、△チョン・グンピョ、オ・ソンジン、イ・ヨサン、チョン・ヒョンソク、チョン・ヒィサン
注 : △は左打者、×は両打ち。
キム・テギュン、イ・ボムホの2人の主軸、引退した内野の名手キム・ミンジェの穴を埋めるために、トゥサンからトレードでショートのイ・デスを獲得し、チョン・ウォンソク、チョン・グンピョなど他球団を自由契約となった実績のある選手とも契約し、苦しい台所事情を何とかしのごうとしている。中軸は2009年23本塁打を記録したキム・テワン、ショートからサードへコンバートされたソン・グァンミン、春季キャンプから積極的に起用されているチェ・ジンヘンなどが任されると思われるが、ダイナマイト打線と言われた数年前と比べてスケールダウンは否めない。
かといって2009年は、チーム盗塁数が8球団中最下位の69個だったことからもわかるように、機動力を使った野球が展開できる見通しも弱い。2010年も4月に36歳のベテランとなるカン・ドンウ、余り打撃が期待できない俊足のチュ・スンウに頼るしかなさそうだ。
現役引退後大学野球やサムソンの首席コーチなどで長年の指導者生活を送ってきたが、プロ1軍の指揮は初めてとなるハン・デファ新監督は、世代交代に失敗し大きく低迷したチームを引き受けることになり、1年目からかなり苦しい戦いを強いられそうである。示範競技も3勝7敗の最下位だった(ちなみに近年示範競技最下位で、公式戦最下位だったチームはない)。だからこそ思い切った選手起用ができるとも言えるし、新生ハンファイーグルスの成長と未来に期待したい。
【本拠地】
大田・ハンバッ運動場野球場
大田(テジョン)は韓国中西部の地方都市で、ソウルから南部への鉄道・高速道路の分岐点と交通の要所にあり、1970年代以降ハイテク産業が発展し人口140万人を超える韓国第5の都市に成長した。ハンファは1986年の球団創設(1993年までピングレイーグルス)以来大田を本拠地としているため、球場には地元の年季の入った熱心なファンが集まり、1万3000人収容と小ぢんまりとした場内はアットホームな雰囲気に包まれている。内外野ともに客席のすぐ後ろに売店が並び種類も多く、また飲食用のスペースもあり、食事しながらゆったりした気分で観戦できる。
外野センターバックスクリーンには小さなオーロラビジョンとスコアボードがある。大田はソウルから日帰りで観戦が可能で、平日の18時半開始のナイターでも、球場を23時までに出て、タクシーなどで大田駅へ向かえば、ソウル行きの最終のKTXに十分間に合う(ただし事前に座席を確保しておくのが望ましい)。
バックスクリーンの脇には、3人の永久欠番の選手(35:チャン・ジョンフン、23:チョン・ミンチョル、21:ソン・ジヌ)のモニュメントが設置されている。また、内野のバックネット裏付近の通路には、前身のピングレ時代からの年表や写真が飾られ、韓国語が分からなくても、球団の歴史を何となくではあるが知ることができる。日本でもおなじみのク・デソン(元オリックス)、チョン・ミンチョル(元読売)やキム・テギュン(千葉ロッテ)、イ・ボムホ(福岡ソフトバンク)の写真もあるので、探してみるのも面白い。
また球場の外側にはハンファのグッズショップがあり、比較的商品は充実している上に、ソン・ジヌ、チャン・ジョンフンなど、かつてこの球場を大いに沸かせた名選手たちのユニフォームが奥のほうに展示してあるので、ハンファファンでなくとも必見だ。
入場料金は一般席が7000ウォン、内野テーブル席が1万2000ウォン、テーブル指定席が1万8000ウォンとなっている。なお、年間9試合程度、準本拠地の清州(チョンジュ、忠清北道の中心都市)で試合を開催する。
[交通アクセス]
Korail、大田地下鉄1号線大田駅からバス(111-1番など)、タクシーで10分程度。
大田地下鉄1号線・中央路(チュンアンノ)駅から111番バス、タクシーで5分程度。
(文責 : ふるりん)