DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第5回 サムソンライオンズ

 2009年シーズンはロッテとのし烈な4位争いに敗れ、5位で終え13年ぶりにポストシーズン進出へ失敗したサムソンライオンズソン・ドンヨル監督(元中日)は新たに5年契約を結び、2000年代に3度の韓国シリーズ優勝(2002,2005,2006年)を果たした最強軍団の再建にとりかかっている。幸い2008年から若手野手が台頭しているのが好材料だ。


【投手陣】

〈先発〉 
ユン・ソンファン、ナイト、クルセタ、ペ・ヨンス、△チャン・ウォンサム、ク・ジャウン
〈中継ぎ〉
チョン・ヒョヌク、△クォン・ヒョク、アン・ジマン、△チャ・ウチャン、キム・ヒョナム、チョン・ホンジュン、△ペク・チョンヒョン、キム・ヒョヌ
〈抑え〉
オ・スンファン

注 : △は左腕

 2009年も、これまでと同じく先発投手陣の層が薄く苦戦した。だが2010年シーズンは、ここ数年では最も先発陣がそろってきている。2009年最多勝(14勝)となりエースに成長したユン・ソンファンが健在で、韓国2年目を迎えるナイト(元北海道日本ハム)、クルセタの外国人投手も順調な調整を続けている。そして2009年は1勝12敗と惨憺たる成績に終わったかつてのエースのペ・ヨンス、かつてトゥサンで抑えとして活躍していたが、軍への入隊や故障で数年間活躍できなかったク・ジャウンも、春季キャンプから好調で、先発として起用される可能性が高まってきた。だが2009年12月末トレードでヒーローズから移籍し、左の先発要員として期待されているチャン・ウォンサムの調子が上がらないのが不安材料だ。
 リリーフ陣は相変わらず豊富で、中継ぎは右がチョン・ヒョヌク、左はクォン・ヒョクが柱となり、球威が復活しつつあるアン・ジマンはロングリリーフも任せられる。大卒新人キム・ヒョヌなどの若手も台頭しつつある。最も明るい話題は、2009年はシーズン途中で故障のため戦線離脱した絶対的守護神オ・スンファンの復活だ。その不在が2009年ポストシーズン進出に失敗した大きな要因となっただけに、2010年シーズンは過去のように35セーブ以上を期待したい。
 

【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.シン・ミョンチョル(二) 
2.パク・ハニ(中) △
3.カン・ボンギュ(右)  
4.チェ・ヒョンウ(左) △
5.パク・ソンミン(三)
6.チェ・テイン(一) △
7. ヤン・ジュンヒョク(指) △
8.チン・ガビョン(捕) 
9.パク・チンマン(遊)  

〈控え〉
チェ・サンビョン、ヒョン・ジェユン、チョ・ドンチャン、キム・サンス、ソン・ジュイン、△ホ・スンミン、△イ・ヨンウク、△チョ・ヨンフン、×カン・ミョング

注 :△は左打者、×は両打ち。

 2008年の新人王、チェ・ヒョンウは2009年真の4番打者に成長した。その周りを右の大砲パク・ソンミンや、勝負強いベテランのカン・ボンギュ、左の中距離打者チェ・テインなどが固め、上位チームにも引けをとらない強力な中軸が形成される。また2009年、自身初の20盗塁、20本塁打を達成したシン・ミョンチョルの活躍にも期待したい。
 また、数々の個人通算記録を保持する大打者ヤン・ジュンヒョクも、球界最年長となる41歳を迎えようとしていて近年は故障が多いものの、高い打撃技術は衰えず相手投手陣にとってはまだまだ脅威となる。大ベテランの存在に刺激を受け、キム・サンス、イ・ヨンウクなどの若手が成長してほしい。
 
 2010年シーズンのサムソンは、比較的故障者が多かった2009年の二の舞を踏まないようにと、万全の体制でシーズンを迎えようとしている。戦い方を知る地力のあるチームが、ここ数年になかった勢いを手に入れれば、キア、SK、トゥサンといった2009年上位を占めたチームを脅かす存在になり、優勝争いに加わり、4年ぶりの韓国シリーズ優勝も夢ではない。


本拠地
 大邱市民運動場野球場
 
 大邱(テグ)は韓国南東部にある人口250万人以上の韓国第4の都市である。広い盆地に位置し、夏は大変暑く冬はかなり冷える。そのため4月のナイター観戦は、日中暖かくても少し厚着をしていったほうがよい。
 電子製品を中心に世界的な大企業となったサムソングループであるが、同グループ発祥の地ということでサムソンライオンズ大邱を本拠地としている。1982年の球団創立以来チーム名や本拠地の変更はなく、大邱やその周辺の慶尚北道(キョンサンプクト)を中心にファンが多い。普通ホーム応援席といえば1塁側だが、この球場は夕方西日が差し込みまぶしいということで、3塁側内野席にある。収容人数は1万人とプロ野球の本拠地としては最も小さく、比較的アットホームな雰囲気である。
 野球場は大邱の中心街からやや離れ、隣に陸上競技場や体育館があるなど市民運動公園の敷地内にあり、その東側に大通りが走るため、タクシーや自家用車などでも比較的アクセスしやすい。古くからの住宅地の中にあり、下町の雰囲気が漂い、長年地元ファンに親しまれてきた球場ではあるが、近年老朽化が激しい。大邱市内にドーム球場建設の計画があるが、なかなか具体化しない。また球場をはさんだ道路の向かい側にはスポーツ用品店が多く、試合前に店内でサムソンの選手たちを見かけることもあり、ファンと選手たちの距離も近い。
 レフトスタンドにはヤン・ジュンヒョクの安打数(2009年シーズン終了時点で2284本)、本塁打数(同じく350本)など、数々の通算記録を表示するボードも設置されている。また、スタンドは内外野とも外側にサムソンの選手の名前1人1人を書いた旗が多数飾られ、お目当ての選手の旗を探すのも楽しい。またマスコットのライオンを模した(?)マスコット3体はユニークな動きが多く、試合前やその合間のパフォーマンスも要注目である。


 2009年シーズン前に改装され、座席の種類が増加した。一般席(内外野の自由席)は6000ウォン、内野指定席が8000ウォン、内野テーブル席は1万2000ウォン、外野テーブル席は3人席が2万ウォン、4人席が2万5000ウォン、カップル席が4万ウォン、特別席が2万ウォンとなっている。(カップル席、特別席は飲み物、毛布、かさなどのサービスつき)

※ 3月19日現在の為替レート : 1万ウォンは約800円。

[交通アクセス]
 Korail大邱地下鉄1号線大邱駅北口から徒歩15分(地下鉄駅には球場への案内板あり)。ソウル、釜山からの超特急KTXは東大邱駅に停車し、大邱駅には停車しないため要注意(大邱駅はセマウル、ムグンファなどの列車が停車)。なお、ソウルから東大邱まではKTXで1時間40−50分。釜山から東大邱までは1時間。なお、東大邱からソウル行きの最終のKTXは23時13分発と、18時半開始の平日のナイターを見ても、試合が長引かなければ十分にソウルから日帰りが可能である。(ソウル駅着は翌日の0時52分、2010年3月現在の運行ダイヤによる)
 各都市へのバスが発着する高速バスターミナルも近い東大邱駅から大邱駅までは、地下鉄1号線で3駅5分程度。なお球場近くのバス停は本数が少なく、地元の人間でないと利用しにくい。そのため、観光地の薬令市(ヤンニョンシ)や中心繁華街の中央路(チュンアンノ)からはタクシーを利用したほうが便利(数分程度)であり、東大邱駅から野球場までもタクシーで10分程度で到着する。

(文責 : ふるりん