DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第4回 ロッテジャイアンツ

「2年連続4強、しかしその先は…」 
2009年成績 : 66勝67敗(公式戦4位、準プレーオフ敗退)
チーム総合採点…60点


 2009年シーズンは2年連続4強を目指すだけでなく、2008年準プレーオフであっけなく3連敗と散った悔しさを晴らそうとしたロッテジャイアンツ。その戦いを振り返りたい。

 2008年オフ、ロッテは打線強化のため、FAでトゥサンの主力打者ホン・ソンフンを獲得し、課題の抑えとして新外国人アドキンスと契約した。史上初の外国人監督ロイスターは、チームの強化に確かな手ごたえを感じていただろう。開幕前の示範競技では、10連勝と好調でファンたちの期待も膨らんだ。

 4月4日、ヒーローズとの開幕戦には、本拠地・釜山の社稷野球場に超満員の観客が集まり、開幕投手のソン・スンジュンの好投で勝利した。しかし翌5日1−10で大敗すると、黒星先行が続き、18日から6連敗で25日には単独最下位に沈んだ。23日のSK戦では、主軸のチョ・ソンファンが顔面に死球を受け退場となった後、イム・ギョンワンがパク・チェホンにきわどい球を投げたら、両軍総出の事態となるなど、ムードは非常に悪かった。2008年打点王ガルシア(元オリックス)の不振、開幕前WBC(ワールドベースボールクラシック)での調整失敗で、開幕から全く投げられなかったエースのソン・ミンハンの不在が低迷の原因だった。4月は8勝15敗と単独最下位に沈み、熱狂的なファンたちはまたもや2007年以前の暗黒時代に逆戻りしたのかと不安がった。

 5月5日社稷でのSK戦は、4月の前回の対戦の因縁もあり、球場側も警察を待機させるなど厳戒ムードで行われた。SKのパク・チェホンが立つたびに大ブーイングが起こったが、相手のエースのキム・グァンヒョンに抑えられ完敗すると、翌6日のSK戦では、グラウンドとの間にネットがないエキサイティングシートから観客が乱入し、ダミーナイフでパク・チェホンを脅す騒動もあった。12日から15日まで4連勝し最下位から6位まで浮上したが、その後大きな連勝はなく、28日から6連敗が始まり、5月は11勝15敗と負け越し7位で終わった。

 6月2日にはハンファに抜かれ最下位に転落し、上昇のきっかけをつかめず夏を迎えようとしていた。しかし7日のトゥサン戦でソン・ミンハンがようやっとシーズン初登板を果たし、1−0で完封勝ちを収めると、上昇ムードに乗り始め12日までの6連勝で一気に5位まで浮上した。後半も2度の4連勝と好調を維持し、6月は16勝 9敗と勝ち越し4位で終えた。開幕当初は不振だったソン・スンジュンが絶好調で、プロ5年目にして初めて先発に定着したチョ・ジョンフンも好投を続け、ガルシアも復調し、最高のムードでシーズンの折り返し地点を迎えた。

 7月初め、3位キアと4位ロッテとのゲーム差は5もあった。10日のヒーローズ戦でソン・スンジュンが自身の連勝を9に伸ばしてからロッテは連勝街道に入り、14日ついに勝率5割に復帰した。梅雨時の天候もあり雨天中止をはさんで8連勝し、21日時点で3位キアとのゲーム差は2に縮まり、首位トゥサンと4位ロッテまでの間がわずか2.5ゲーム差と大混戦となり、このころの王者SKのもたつきもあって首位に立つチャンスも見えてきた。
 だが、ここが2009年シーズンのロッテのピークだった。追いつけそうでその尻尾を捕まえられなかったキアが、7月になってじわじわと調子を上げていたのである。7月は15勝9敗と勝ち越したが結局4位のままだった。

 そして8月になると、キアが誰もが予想できなかった神がかり的な勢いに乗って首位街道を走るようになり、対照的にロッテはソン・ミンハンの調子の下降とともに8月4日から12日にかけて2度の3連敗と、7月までとはチームの様相は一変した。そしてキア、トゥサン、SKの上位チームと徐々に離され、上昇ムードに乗った5位サムソンが肉薄してきた。18日から5連敗したことでサムソンに抜かれ5位に後退したが、週末になると満員の観客が押しかけ声援を送り続け、すぐ4位に復帰した。月末も調子は上がらず、8月は10勝16敗と負け越してしまい、サムソン、ヒーローズとの三つ巴の4位争いに巻き込まれていった。
 
 8月30日から5連敗し、またもやサムソンに4位の座を譲り、2年連続4位以上でポストシーズン進出に暗雲が立ち込めてきた。ところが9月12,13日、社稷でのサムソンとの直接対決で連勝し、比較的試合消化ペースが速く、試合間隔のあいた日程だったため、余裕を持って戦うことができ、17日のヒーローズ戦で勝利し単独4位に浮上すると、18日社稷のヒーローズ戦で4連勝し、2年連続4位の座を確定した。2008年はプレーオフで3連敗と苦杯をなめさせられたサムソン相手に、2009年シーズンは4位争いで雪辱を果たすことができた。
 2009年シーズンはかつてないプロ野球人気の高まりで、最後まで4位争いを続けたロッテは、週末の試合ともなると入場券完売になることも多く、前年を少し上回る約138万人と、チーム観客動員数新記録を更新し、史上最多の約592万人のプロ野球観客動員数達成に大きく貢献した。また9月25日、LGとの公式戦最終戦では、首位打者争いをしていたホン・ソンフンが4四球と勝負を避けられ、打率トップだったパク・ヨンテクが試合に出場しなかったことで、ホン・ソンフンは惜しくも初の首位打者を逃し、LGに非難が殺到したことがあった。

 2年連続でポストシーズン進出を決めたとはいえ、勝率は5割未満だった。だが3位トゥサンの調子が落ちていたため、厳しい4位争いを制したロッテは、9月29日からの準プレーオフで有利に戦えるのではないかという見方もあった。敵地・蚕室での第1戦は、最多勝投手チョ・ジョンフンが先発で好投し、7−2で快勝し幸先よいスタートを切った。ところが第2戦、先発チャン・ウォンジュンが崩れ、0−6で完封負けを喫するとチームのムードは一変した。
 秋夕(チュソク)の連休期間で、釜山の熱狂的ファンで埋め尽くされた第3戦は、先発ソン・スンジュンが早々とノックアウトされ、エラーも目立ち3−12で大敗した。もう後がない第4戦は、ペ・ジャンホを先発に立て、1点を先制するものの逆転されると、エラーも重なり5−9で敗れ、2年連続準プレーオフで3連敗を喫して敗れる屈辱を味わった。熱狂的なファンもチームの現実の姿に気がついたのか、第4戦は1000枚以上入場券が売れ残った。

 投打の成績を振り返る。
 投手部門を見ると、最多勝のチョ・ジョンフン(14勝)、米国帰りのソン・スンジュン(13勝)、左腕チャン・ウォンジュン(13勝)と、三本柱が確立していた。チーム防御率4.75は8球団中4位とさほど高くなかったのは、長年エースとして活躍してきたソン・ミンハンが6勝どまり、イ・ヨンフンも8月で戦線離脱したことなど、三本柱に続く選手がいなかったことによる。
 リリーフ陣は、イム・ギョンワン、イ・ジョンフン、カン・ヨンシクなどの中継ぎ陣はそれなりに働いたが、セーブ王(26セーブ)となった抑えのアドキンスは不安定な部分が目立ち、絶対的な守護神とはいえず、終盤にはイ・ジョンフンが抑えることもあった。また、2006年から正捕手を務めていたカン・ミンホが故障もあり83試合にしか出場できず、19歳の若手チャン・ソンウ、かつての正捕手チェ・ギムンに頼らなければならない部分もあった。

 打線はチーム打率.277(8球団中4位)だったが、本塁打数121(同7位)、盗塁数106(同7位)と、一発と機動力に欠けるため、チーム得点637は最下位だった。また、打率2位ホン・ソンフン(.371)、2人で合計57本塁打イ・デホ、ガルシア(元オリックス)の長距離砲で組むクリーンアップへの依存度が高く、カン・ミンホ、パク・キヒョクなどの不振により、上位打線と下位打線の差が大きかったことも得点力の低さの要因だった。

 オフの動向であるが、話し合いが長引いたがロイスター監督と再契約し、久しぶりに3シーズン以上ロッテを指揮する監督となった。そしてFAを申請したイ・ボムホを獲得し、弱点のサードを補強しようとしたが、日本プロ野球進出で実現しなかった。外国人選手ではアドキンスを放出し、代わりに先発要員として新外国人サドウスキーと契約した。
 
 2年連続で4強進出という最低限の結果を残したが、その先となると、明らかな実力不足のせいなのか大きな壁にぶつかってしまい勝ち抜くことができなかったロッテジャイアンツ。2010年シーズンこそ3度目の正直を果たし、1992年以来18年ぶりとなる3度目の韓国シリーズ優勝を達成できるか。まだまだ選手層も薄く、優勝を狙えるチームだとは断言できないが、ロイスター監督にとっても勝負の年となる。どの球団よりも数が多く熱狂的とされる釜山のロッテファンたちも、もう待ってはくれない。
 
 
[チームMVP]
チョ・ジョンフン
(2009年シーズン成績)
27試合 14勝9敗 防御率4.05
 2008年の5勝を含め、過去通算4年間で6勝しかしていなかった投手が、先発に定着し14勝をあげ、ロペス(キア)、ユン・ソンファン(サムソン)と並んで最多勝投手となった。制球力よりも球威で勝負するタイプで、奪三振175個はリュ・ヒョンジン(ハンファ)に続いて8球団中2位だった。まだ24歳と伸びしろのある年齢なので、今後韓国を代表する正統派右腕に育つ可能性がある。
 
[ワーストプレイヤー]
パク・キヒョク
(2009年シーズン成績)
109試合 打率.217 0本塁打 21打点 7盗塁
 ここ数年ショートの不動のレギュラーで、2008年シーズンは初のゴールデングラブ賞を受賞した守備型選手で、2009年シーズンは開幕前WBC(ワールドベースボールクラシック)韓国代表に選ばれ、ショートの守備でチームに貢献した。しかし開幕後はここ数年最低の打撃成績に終わり、若手のキム・ミンソンの台頭もあり守備機会も減った。噂されていた軍への入隊も先延ばしにし、背水の陣で迎える2010年シーズンは発奮して以前の輝きを取り戻してほしい。
 
(文責 : ふるりん