DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

   韓国シリーズ第5戦、SK4連勝でシリーズ連覇達成  黄金時代の幕開けか

韓国シリーズ 第5戦

SK 2−0 トゥサン  (ソウル・蚕室)
(勝)キム・グァンヒョン 1勝1敗  (セーブ)チェ・ビョンニョン 2S  (敗)キム・ソヌ 2敗

 SKが第2戦以降3連勝し、連覇に王手をかけた韓国シリーズ第5戦は、試合前の天気予報が悪く心配されたが、予定通り18時に3万人の超満員の観衆を集めて開始された。

 試合はSKの先発キム・グァンヒョン、トゥサンの先発キム・ソヌの投手戦となった。先にチャンスを作ったのはもう後がないトゥサンで、1回裏1番イ・ジョンウクが四球で出塁すると、すかさず2塁へ盗塁を決め、2番コ・ヨンミンの内野ゴロの間に3塁へ進んだ。しかし第2戦以降ヒットがない3番キム・ヒョンスが打ち取られ、好調4番キム・ドンジュは四球を選んだものの、5番ホン・ソンフンが内野ゴロに倒れ、不安定なキム・グァンヒョンを攻略できなかった。トゥサンは2回裏にも1死2,3塁のチャンスを作ったが、9番キム・ジェホ、イ・ジョンウクが続かずまたもや無得点に終わった。
 SKは3回表キム・ソヌから7番チョン・グヌがようやっとヒットで初めて出塁し3塁まで進んだが、ここはキム・ソヌが抑えた。トゥサンはその裏キム・ドンジュの2塁打でチャンスを作ったが、またもや得点できなかった。SKは4回表2番パク・チェサン、3番キム・ジェヒョンが四球で出塁したが、2人とも盗塁に失敗し、その後4番パク・チェホンのヒットが出るなど、ちぐはぐな攻撃で得点に結びつかない。序盤不安定だったキム・グァンヒョンも徐々にエンジンがかかり、4回から6回までは大きなピンチもなく無得点でしのいだ。

(三振を取りマウンドで飛び跳ねるキム・グァンヒョン。)


 SKもキム・ソヌに抑えられてきたが、7回表先頭のキム・ジェヒョンに四球を出し、5番チェ・ジョンにも死球を与えると、暴投や6番ナ・ジュファンへの2者連続死球で満塁のチャンスを作る。1死後8番パク・キョンワンの強烈な打球をサードのキム・ドンジュがはじいてしまい、SKが待望の先制点を手に入れた。ここでキム・ソヌは2番手イ・ジェウにマウンドを譲り、8番キム・ガンミンを打ち取り追加点は許さなかった。トゥサンは7回裏8番チェ・スンファンがヒットで出塁すると、キム・グァンヒョンは2番手チョン・ウラムに交代した。次のキム・ジェホもヒットで続き、1死1,2塁のチャンスを作った。だがこのあと不振のイ・ジョンウク、コ・ヨンミンが打ち取られてしまった。
 
 SKは8回表、イ・ジェウからチェ・ジョンの3試合連続打点となるタイムリーで貴重な1点を追加した。トゥサンはその裏キム・ヒョンスが死球で出塁すると、代わったSKの3番手ユン・ギルヒョンからキム・ドンジュのヒットでまたもや無死1,2塁のチャンスを作る。ここで5番ホン・ソンフンの打球は外野を抜けるかに思われたが、センターのチョ・ドンファが好捕し、得点にはいたらなかった。ここで代わった4番手イ・スンホが後続を断ち、SKがリードを守った。


(8回裏外野フェンス直前でチョ・ドンファが打球をスライディングキャッチし、同点打を許さなかった。)

 このままSK2点リードで迎えた9回裏、トゥサンは先頭のチェ・スンファンが四球で出塁した。ここでSKは守護神チョン・デヒョンではなく、第4戦で好投したチェ・ビョンニョンを2試合連続で投入した。だがキム・ジェホ、イ・ジョンウクの連続安打で無死満塁と、トゥサンが逆転のチャンスを作った。チェ・ビョンニョンは次のコ・ヨンミンを投手ゴロに打ち取り1アウトを取ると、次はここまで18打席連続無安打と不振にあえいでいる首位打者キム・ヒョンスが打席に立った。キム・ヒョンスは初球に手を出し、最後の打者となった第3戦と同じく内野ゴロの併殺打に終わり、SKが2−0で勝利し、第2戦以降4連勝で球団史上初の韓国シリーズ連覇を達成した。

 2007年に続いて2年連続で同じ顔合わせとなった韓国シリーズは、公式戦を独走態勢で優勝したSKの勝負強さが際立った。20歳の若きエース、左腕キム・グァンヒョンは決していい内容ではなかったが、トゥサンの拙攻にも助けられ7回途中まで無失点と、先発の役割を十分に果たし勝利に貢献した。打線はわずか5安打に抑えられたが、チャンスを確実にものにし、第3戦の決勝2ラン、第4戦の決勝タイムリーとあわせて3試合連続で打点をあげたまだ21歳の若きサード、チェ・ジョンが史上最年少の韓国シリーズMVPを受賞した。


(韓国シリーズMVPを受賞し、シャンパンを浴びせられ祝福を受けるチェ・ジョン。)

 SKは、相手打者によって細かく守備位置を変え、絶妙なタイミングでの投手交代や起用など、キム・ソングン監督の采配の妙が光った。キム・グァンヒョン、チェ・ジョンのような才能のある優秀な若手だけでなく、イ・ジニョン、パク・チェホン、キム・ジェヒョンなど実績のある選手もバランスよく融合し、また次代のレギュラー候補も目白押しで、今後数年間は優勝争いの中心であり続けることが予想され、まさに黄金時代の幕開けを迎えたといっていい。


(SKを韓国シリーズ連覇に導いた名将キム・ソングン監督。)

 一方、2004年キム・ギョンムン監督の就任後、2005年、07年、そして今季と3度も韓国シリーズに進出したにもかかわらず、いずれも4連敗で幕を閉じられたトゥサンは、またもや2001年以来の4度目の優勝はならず、力不足を痛感させられた。特に5試合でわずか1安打しか打てなかったまだ20歳の首位打者キム・ヒョンスや、トップバッターのイ・ジョンウク、打線を勢いづけるコ・ヨンミンの3人の不振が痛く、4番キム・ドンジュが好調でも深刻なタイムリー欠乏症に陥り、まったく得点につながらなかった。また本拠地・蚕室野球場で2007年と同じく3連敗と最悪の結果となり、同球場での韓国シリーズの連敗を9に伸ばしてしまった。北京五輪では韓国代表監督として見事優勝に導いたキム・ギョンムン監督は、自分のチームを優勝に導くことはできず、韓国プロ野球の頂点への道はあまりにも険しい。


(浮かない表情で準優勝のトロフィーを受け取るキム・ドンジュ。)


 SKの選手やキム・ソングン監督、コーチ陣は試合終了後、胴上げや場内一周でその喜びを分かち合い、秋が深まる寒空の下、蚕室野球場のSKファンたちだけは熱気と興奮に包まれた。SKは2007年に続いて、韓国代表としてアジアシリーズ2008(11月13−16日、日本・東京ドーム)への出場権を得た。前回は惜しくも決勝で日本代表・中日に敗れたSKは、今度こそアジアの頂点に立ち、名実ともに韓国史上最強チームとして不動の名声を確立できるであろうか。
 
(文責:ふるりん