DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第8回 キアタイガース

2007年成績 : 51勝74敗1分 公式戦8位
 2007年は投打ともに故障者が続出し、外国人補強にも失敗し2年ぶりの悪夢の最下位となった。1990年代まで9度の韓国シリーズ優勝を達成した強豪ヘテタイガースは、21世紀になってキアタイガースへと名を変えたが、優勝はおろか韓国シリーズにすら1度も出場できていない。ソ・ジョンファン監督は最下位の責任を取る形で任期を1年残して辞任し、SKを優勝争いできる強豪に変えたチョ・ボムヒョン新監督が就任した。また、元メジャーリーガーのソ・ジェウンメジャーリーグ通算89勝の大物外国人ホセ・リマなどを獲得し、チームの補強に余念がなく、若手の活躍もあって示範競技を首位で終えた。今季は前年の最下位から、一気にポストシーズンへ出場できる4位以上に進出する可能性も見えてきた。

投手】 
[先発]  ユン・ソンミン、ソ・ジェウン※、リマ※、チョン・ビョンドゥ△、ヤン・ヒョンジョン△
[中継ぎ]  ソン・ヨンミン、ムン・ヒョンジョン△、ユ・ドンフン、イム・ジュンヒョク、クァク・チョンチョル
 [抑え] ハン・ギジュ
(※は新加入、△は左腕)
 先発陣は故郷のチームに入団した元メジャーリーガーのソ・ジェウン、大物外国人ホセ・リマ、2007年チーム最多の登板回数を記録したユン・ソンミンが三本柱となる。近年故障に悩まされ初の韓国でのプレーとなるソ・ジェウンは、故郷光州(クァンジュ)のチームに帰ってきたということで心機一転を期待したい。リマは投球だけでなく、メジャーリーグ時代から評判となっていたグラウンド上でのパフォーマンスにも期待したい。
 ユン・ソンミンは2007年防御率は3点台だったにもかかわらず18敗してしまったため、今季はぜひ打線の援護がほしいところだ。ヤン・ヒョンジョン、チョン・ビョンドゥの若手左腕にも期待したい。新球団ウリから放出された元現代のエース、チョン・ミンテも今後の調整しだいで登板の機会が与えられそうだ。
 中継ぎは2007年ひじの手術から復活したシン・ヨンウンが兵役のためチームを離脱し、その穴を兵役から復帰したかつての中継ぎエース、サイドハンドのユ・ドンフンで埋めることになる。2007年人手不足から1軍のマウンドで起用されたソン・ヨンミン、イム・ジョンミンなどの若手の成長にも期待がかかる。守護神はプロ3年目ながら韓国トップレベルの速球派投手となったハン・ギジュが不動の座を占める。
  

攻撃

[ベストオーダー]
1.イ・ヨンギュ(中) △
2.バルデス(遊) ※ 
3.チャン・ソンホ(一) △
4.ナ・ジワン(右) ※
5.チェ・ヒィソプ(指)△
6.イ・ヒョンゴン(三)
7.カン・ドンウ(左) △※
8.キム・サンフン(捕)
9.キム・ジョングク(二)
(△は左打者、※は新加入)

 打線は左右のバランスがとれ、一発はチェ・ヒィソプ以外あまり期待できないが、つながりを重視したものとなった。その鍵を握るのは、2007年は不振で盗塁数も減ったチャンスメーカーのイ・ヨンギュだ。五輪予選でも活躍し、いい状態で開幕を迎えられそうである。新外国人バルデスは示範競技で最多の10盗塁を記録するなど、外国人野手としては珍しく機動力を期待されて起用されている。
 打線の軸は韓国2年目となった元メジャーリーガーのチェ・ヒィソプで、今季は長距離砲の本領発揮といきたい。大きな話題となっているのが大卒新人のナ・ジワンで、韓国代表に選ばれ国際大会で活躍した逸材である。示範競技では4番を任され、公式戦でも好打者チャン・ソンホ、チェ・ヒィソプとクリーンアップを組むことになりそうだ。もう一人の注目の新人は示範競技好調で開幕1軍を手にした、わずか身長164cmのキム・ソンビンである。今後の活躍ではセカンド、ショートのレギュラーとして起用されることも考えられる。
 2007年首位打者となり突然ブレークしたイ・ヒョンゴンは、今季は安打製造機として上位と下位のつなぎ役に徹することになる。今季38歳を迎える最高のスター選手イ・ジョンボム(元中日)はここ2年ほど出番が減っていて、現役続行をかける1年となる。


本拠地
 光州・無等総合競技場野球場
 韓国南西部最大の都市・光州(クァンジュ)は、ソウルや釜山などの大都市から遠く、発展も遅れている。その理由として韓国特有の地域対立があり、釜山、大邱を中心とした南東部出身者の政治家が多かった政府からも差別的待遇を受けてきた。そのため光州を中心とした地域の人間は反骨心が強く、非常に熱しやすい性格の者が多いと言われている。
 かつてタイガースはこの光州の誇りであったが、2005年、07年とここ3年で2度も最下位に転落してしまい、ファンたちは落胆の日々を送っている。だが数は決して多くないが、どの球団のファンにも負けない情熱的なファンたちは、ご当地ソングである「南行きの列車(ナメンヨルチャ)」を歌いチームに声援を送り続けている。またこの球場の粗悪な人工芝が選手たちの怪我を誘発し、チームが低迷しているとして、ファンたちは新球場建設を訴えているが、行政側は財政悪化を理由に球場の小規模な改装にとどめている。センターバックスクリーンには「グリーンモンスター」と呼ばれる巨大な壁があり、そこを越えるホームランを打ったのは今のところチェ・ヒィソプしかいない。


(入場券売り場は野球場から離れた総合競技場入り口にあり、ここから球場内へは少し歩く。)


(虎のマスコット。猫に見えなくもない?)


(熱狂的な地元のタイガースファン。キ!ア!タイガース!)


(ステージ上で踊るチアガール。)


(3塁側内野席からグラウンドを眺める。) 



[交通アクセス]
Korail(韓国鉄道公社)光州駅からはバスで約10分。
光州総合バスターミナルからはバスで5,6分程度。
(文責:ふるりん)