DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第1回 SKワイバーンズ

2007年成績 : 73勝48敗5分 公式戦1位 韓国シリーズ優勝

 2007年は球団創設8年目にして公式戦、韓国シリーズで初優勝し、最高の1年となった。今季も名将キム・ソングン監督、イ・マンス首席コーチの体制が続き、優勝の余韻に浸る間もなく、1月上旬から日本での海外キャンプに突入し王者としてのおごりはなく、若手を中心に戦力の底上げがなされ、韓国シリーズ連覇に向けて一丸となって戦う姿勢がとられている。そのため今季も投打共に戦力が充実し、優勝候補筆頭として推す声も高い。 


投手】 

[先発] レイボーン(元広島)、チェ・ビョンニョン、△キム・グァンヒョン、※クビアン(元阪神)、△イ・スンホ
[中継ぎ] イ・ヨンウク、チョ・ウンチョン、△カ・ドゥギョム、△チョン・ウラム、キム・ウォンヒョン、イ・ハンジン
[抑え] チョン・デヒョン
(※は新加入、△は左腕)

 2007年の投手陣は先発、リリーフともに質、量ともにそろい、チーム防御率は3.24と8球団中トップだった。それを支えた正捕手パク・キョンワンの存在も大きかった。
 チーム最多勝(17勝)だったレイボーンは韓国2年目で、今季も安定した投球が期待できる。12勝したロマノ(元広島)との再契約に失敗したが、代わりに新外国人投手クビアン(元阪神)を獲得し、示範競技でも好投を続け活躍が期待できる。何と言っても最も期待がかかるのは、韓国シリーズ、アジアシリーズ、五輪予選などの大舞台を経験したプロ2年目の若き左腕キム・グァンヒョンであり、左のエースとして今季はチームの優勝に貢献することが求められる。先発陣は8球団中トップクラスの人材が集まり、かつての左腕エースのイ・スンホの復帰も見込まれている。
 リリーフ陣は左右だけでなく、サイドスローやスリークォーターなどさまざまなタイプがそろい、8球団1の陣容である。2007年と同様に小刻みな継投が見られそうである。抑えは8球団トップクラスのクローザーとなったアンダースローのチョン・デヒョンであるが、キャンプ中からの故障を引きずったまま3月の五輪予選に出場したため、状態が悪く不安がある。代役としては経験豊富なベテラン、チョ・ウンチョンがあげられる。


攻撃

[ベストオーダー]
1.チョン・グヌ(二)
2.キム・ガンミン(中)△
3.イ・ジニョン(右)△
4.イ・ホジュン(一)
5.キム・ジェヒョン(DH)△
6.パク・チェホン(左)
7.パク・キョンワン(捕)
8.チェ・ジョン(三)
9.ナ・ジュファン(遊)
(△は左打者)

 2007年のチーム打率は.264と8球団中4位だったが、2ケタ本塁打を記録した選手が5人と上位から下位まで切れ目のない打線となり、チーム本塁打数は112本と8球団中トップだった。また相手の先発投手や選手の状態に合わせた日替わりオーダーの猫の目打線が特徴だった。
 今季は主砲イ・ホジュン、若手の長距離砲チェ・ジョンが故障のため開幕に間に合わない公算が高く、示範競技では打線の状態はかなり悪い。だがキャンプで若手の底上げが進んでおり、大卒新人のモ・チャンミン、期待の若手パク・チョングォン、イ・ジェウォンなどに大きなチャンスがある。またチョン・ギョンベなどの経験豊富なベテラン、2007年はレギュラー級の活躍をしたパク・チェサンやチョ・ドンファなど選手層は厚く、少々の故障者にはびくともしない。2007年に20盗塁以上を記録した選手が3人と快足の選手もそろい、日替わりオーダーだが機動力と長打力を生かした多彩な攻撃が今季も見られそうである。


本拠地
 仁川・文鶴野球場
 韓国・首都圏西部の港湾国際都市・仁川(インチョン)がSKのホームタウンである。人口250万人以上の韓国第3の都市へと成長した仁川には、1982年の韓国プロ野球開始から三美(サムミ)、青宝(チョンボ)、太平洋(テピョンヤン)などのプロ野球チームがあったが、いずれも弱小かつ短命だった。1998年仁川を本拠地とする球団で初の優勝を成し遂げた現代(ヒョンデ)ユニコーンズは、2000年開幕前に将来のソウル移転を図るため、本拠地を水原(スウォン)へと暫定的に移転した(同球団は2007年限りでプロ野球から撤退、解散)。
 2000年創設されたSKワイバーンズは、当初の老朽化した桃園(トウォン)野球場から、2002年新設された仁川東部の丘陵地にある文鶴(ムナク)野球場へと本拠地を移した。同球場は天然芝の美しい球場として評価が高く、メジャーリーグ式のボールパークを目指して近年改装が行われ、韓国シリーズで優勝し勢いに乗るSKワイバーンズ同様、仁川市民により愛される野球場として魅力を増している。


(3塁側内野席上部には、韓国では唯一のリボン式オーロラビジョンが設置された。)


(内野1階席には1014連続試合出場の鉄人チェ・テウォン、700試合以上登板の鉄腕チョ・ウンチョン、200本塁打と200盗塁を達成した豪打俊足パク・チェホンなど、偉大な記録を達成した選手をたたえる数字が刻まれている。)


(球場内通路には、SKのユニフォームの変遷などが分かる展示コーナーもある。)


(選手を紹介するオーロラビジョンは、レフトスタンド側にある。)


[交通アクセス]
 仁川地下鉄1号線・文鶴競技場(ムナクキョンギジャン)駅から徒歩5分。
 ソウル駅からは仁川方面への電車に乗り、富平(プピョン)駅で仁川地下鉄1号線に乗り換えて1時間程度で到着。仁川国際空港からは、空港鉄道(A`REX)に乗り桂陽(ケェヤン)駅で仁川地下鉄1号線に乗り換え、1時間程度で到着。ソウル・金浦(キムポ)空港からも空港鉄道と仁川地下鉄1号線で行くことができ、所要時間45分程度。
 また、国内各都市から近くの仁川総合バスターミナルまで高速バスの便があり、同ターミナルから文鶴競技場駅までは仁川地下鉄1号線で1駅しか離れていない。

(文責:ふるりん)