DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第1回 サムソンライオンズ

 
 2012年は韓国シリーズ2連覇、5度目の優勝を達成し、新たな黄金時代を築いたサムソンライオンズ。リュ・ジュンイル監督が2013年WBC(ワールドベースボールクラシック)韓国代表監督をつとめていたため、2月10日ごろから3月初めの春季キャンプ終了時までチームを離れていたが、その屋台骨は大きく揺るぐことはなく3連覇への視界は決して暗くはない。


【投手陣】

〈先発〉 
△チャン・ウォンサム、ユン・ソンファン、ペ・ヨンス、△チャ・ウチャン、◎バンデンハーク、◎ロドリゲス
〈中継ぎ〉
アン・ジマン、クォン・オジュン、シム・チャンミン、△クォン・ヒョク、△パク・クンホン、シン・ヨンウン、クォン・オジュン
〈抑え〉
オ・スンファン

注 : ◎は新加入、△は左腕

 2連覇の原動力となった圧倒的な質量を誇る投手陣は維持されている。2013年も外国人投手2名が入れ替わった。WBCオランダ代表歴(2009年大会)のあるバンデンハーク、ドミニカ共和国出身でまだ25歳と若いロドリゲスとともに右腕である。先発の軸は2012年、初の最多勝(17勝)のタイトルに輝いた左腕チャン・ウォンサムで、12勝と復活を印象づけたペ・ヨンスが右の先発の柱となる。その他ユン・ソンファン、2012年は不振だった左腕チャ・ウチャンと実績のある投手たちもひかえている。
 鉄壁を誇るリリーフ陣だが、やや成績を落としたチョン・ヒョヌクがFAでLGへ移籍したものの、まだまだ層は暑く右のアン・ジマン、シム。チャンミン、クォン・オジュン、左のクォン・ヒョクなどが控えている。2年連続セーブ王の最強守護神オ・スンファンにつなぐ磐石のリレーは、2013年も何度も見られることであろう。



【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.ペ・ヨンソプ(左) 
2.パク・ハニ(右) △
3.イ・スンヨプ(一)△  
4.チェ・ヒョンウ(指) △
5.パク・ソンミン(三) 
6.チョ・ドンチャン(二) 
7.チョン・ヒョンシク(中) △ 
8.チン・ガビョン(捕) 
9.キム・サンス(遊)  

〈控え〉
(捕手)イ・ジヨン、チェ・サンビョン
内野手)シン・ミョンチョル、◎チョン・ビョンゴン、△チェ・テイン、◎キム・テワン、×カン・ミョング
(外野手)△ウ・ドンギュン、カン・ボンギュ、キム・ホンゴン


注 :◎は新加入、△は左打者、×は両打ち。

 サムソン打線は、上位から下位までつながりを重視したバランスの良い打線となっている。2012年9年ぶりにサムソンへ復帰したかつての主砲イ・スンヨプ(元オリックス)は21本塁打、85打点と存在感を示したが、もう36歳である。そのため今後は2012年23本塁打、91打点を記録した27歳の右の主砲パク・ソンミンが名実ともにチームの顔となり、2011年本塁打・打点の二冠王だったが2012年は不振だったチェ・ヒョンウの復活により、最強クリーンアップが構成される。
 その脇を固める俊足の打者としては外野のペ・ヨンソプ、チョン・ヒョンシク、内野のキム・サンスなどの若い選手だけでなく、正捕手チン・ガビョン、勝負どころを知るパク・ハニなどの存在感あるベテランも多く、機動力を生かした非常にバランスの取れた打線となっている。内野の控えとしてLGからキム・テワン、チョン・ビョンゴンの2人をトレードで獲得していて、戦力の補充にも余念がない。

 
 2013年シーズンのサムソンは、1986年から89年まで韓国シリーズ4連覇を成し遂げたヘテ(キアの前身)以来となる韓国シリーズ3連覇がかかっている。2005、06年に韓国シリーズ2連覇を成し遂げたときは、2007年から世代交代期に入ってしまったため3連覇を逃した。そのため、勝利を追求しながら次代を担う選手たちも育てていかなければならない。非常に難しい課題であるが、球団創設から30年あまり長い低迷期のないサムソンなら不可能ではない。


本拠地
 大邱市民運動場野球場
 
 大邱(テグ)は韓国南東部にある人口250万人以上の韓国第4の都市である。広い盆地に位置し、夏は大変暑く冬はかなり冷える。そのため4月から5月前半までのナイター観戦は、日中暖かくても少し厚着をしていったほうがよい。
 電子製品を中心に世界的な大企業となったサムソングループであるが、同グループ発祥の地ということでサムソンライオンズ大邱を本拠地としている。1982年の球団創立以来チーム名や本拠地の変更はなく、大邱やその周辺の慶尚北道(キョンサンプクト)を中心にファンが多い(2012年より、慶尚北道東部の工業都市浦項でも主催試合を開催するようになった)。普通ホーム応援席といえば1塁側だが、この球場は夕方西日が差し込みまぶしいということで、3塁側内野席にある。収容人数は1万人とプロ野球の本拠地としては最も小さく、比較的アットホームな雰囲気である。




 野球場は大邱都心部から少し離れたところにあり、隣に陸上競技場や体育館があるなど市民運動公園の敷地内にあり、タクシーや自家用車などでも比較的アクセスしやすい。古くからの住宅地の中にあり、下町の雰囲気が漂い、長年地元ファンに親しまれてきた球場ではあるが、近年老朽化が激しく、大邱の市街地から小高い山を越えた東の郊外に、2016年シーズンからの使用開始を目指して新球場の建設も開始された。そのため、この球場でプロ野球が見られるのもそう長いことではない。
 ライオンを模した(?)マスコット3体はユニークな動きが多く、試合前やその合間のパフォーマンスも要注目である。




 


 2013年シーズンの入場料は外野自由席(一般席)は7000ウォン(土日・祝日は8000ウォン)、内野指定席が9000ウォン(土日・祝日は11000ウォン)、内野テーブル席は1人当たり15000ウォン(土日・祝日は20000ウォン)、外野テーブル席は1人当たり11000ウォン(土日・祝日は15000ウォン)、カップル席が2人で50000ウォン(土日・祝日は60000ウォン)、特別席が25000ウォン(土日・祝日は30000ウォン)となっている。(カップル席、特別席は飲食物のサービスつき)
 なお2012年より内野が全席指定席となったため、外野との行き来はできなくなっている。

※ 3月21日現在の為替レート : 1万ウォンは約853円。


[交通アクセス]
 Korail大邱地下鉄1号線大邱駅北口から徒歩15分(地下鉄駅には球場への案内板あり)。ソウル、釜山からの超特急KTXは東大邱駅に停車し、大邱駅には停車しないため要注意(大邱駅はセマウル、ムグンファなどの列車が停車)。なお、ソウルから東大邱まではKTXで1時間40−50分。釜山から東大邱までは40−45分。なお、東大邱からソウル行きの最終のKTXは23時34分発と、18時半開始の平日のナイターを見ても、試合が長引かなければ十分にソウルから日帰りが可能である。(ソウル駅着は翌日の1時21分、2012年3月末現在の運行ダイヤによる)
 各都市へのバスが発着する高速バスターミナルも近い東大邱駅から大邱駅までは、地下鉄1号線で3駅5分程度。なお球場近くの市内バスはあまり本数が多くなく東大邱駅に行く系統もあるが、韓国語が理解できても土地勘がなければ利用は避けたほうがよい。そのため、観光地の薬令市(ヤンニョンシ)や西門市場(ソムンシジャン)、繁華街の中央路(チュンアンノ)からはタクシーを利用したほうが便利であり、東大邱駅から野球場までもタクシーで10分程度で到着する。


(文責 : ふるりん