DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  プレーオフ : ロッテ−SK 展望

 SKは2007年から5年連続、ロッテは2008年から4年連続でポストシーズンに進出しているが、この両チームはポストシーズン初対戦となる。それはSKが2000年球団創設と歴史の浅い球団であり、ロッテは2000年代前半低迷を続けポストシーズンには出場できず、そしてSKが2007年以降3度の公式戦優勝、1度の公式戦2位で韓国シリーズ、プレーオフに必ず進出しているのに対し、ロッテは過去3年間準プレーオフの高い壁に阻まれてきたからだ。なお、2011年シーズンの公式戦ではSKが10勝8敗1分けと勝ち越している。


 2011年シーズンのロッテは6月まで6位に沈んでいたが、7月以降は6割以上の勝率で2位に浮上し、1999年以来12年ぶりにプレーオフ進出を決めた。この勢いをポストシーズンにつなげ、悲願の韓国シリーズ進出、そして優勝につなげたいところだ。

 ロッテの最大の特徴は攻撃力だ。チーム打率(.288)、本塁打(111)、得点(713)はすべて8球団1位である。ただ併殺打(124)も最多と、荒っぽさも目立つ。打線は首位打者(.357)でチーム三冠王の意・デホを中心に、上位から下位まで切れ目のない打線となっている。
 チョン・ジュヌ(23盗塁)、キム・ジュチャン(25盗塁)、ソン・アソプ(13盗塁)の上位打者3人は機動力だけでなく一発もあり、ベテランのホン・ソンフン、チョ・ソンファン、強打の捕手カン・ミンホ、そして他チームだったら上位を打っていてもおかしくないファン・ジェギュンといった打者が揃っている。
 過去3年間もロッテは打線が強力だったが、前任のロイスター監督はポストシーズン特有の柔軟な打線の組み換えなどができず、主力打者が不調に陥っても有効な手を打てなかった。その轍を踏まないためにも、内野のソン・ヨンソク、外野のファン・ソンヨンなど控え野手たちの活用が勝敗を分けることになりそうだ。

 打線に対して、投手力はやや心もとない。チーム防御率(4.20)は8球団中5位、失点(619)はLGと同率4位、そして失策(106)はワーストと、守備が攻撃と比べて見劣りすることがわかる。明らかに打撃優位のチームである。
 だがチーム最多勝のチャン・ウォンジュン(15勝)、ソン・スンジュン(13勝)、サドースキー(11勝)の2ケタ勝利投手3人、コ・ウォンジュン、ブーチェック(元横浜)の先発ローテーション5人が確立していて、強力な打線を背後に確実に試合を作ってきた。リリーフの質はそこまで高くはないが、後半からキム・サユルが抑えに固定され20セーブをあげ、チームの大きな課題が解決された。打線が5点以上を奪えば、それを守りきるだけの能力は十分にある。
 
 対するSKは一見打線など戦力が大きく見劣りするものの、過去数年間優勝を争ってきた選手たちがキアとの準プレーオフで調子を上げ、いいムードでロッテとの決戦に臨むことができる。準プレーオフのMVPチョン・グヌだけでなく、それに負けず劣らずの働きをしたポストシーズン男のパク・チョングォンなど経験豊富な選手たちが揃っている。またアン・チヨン、チェ・ドンスなど代打の切り札もいて、ロッテとは対照的に打線が固定されず、柔軟な選手起用が求められるポストシーズン向けのチームに仕上がっている。
 投手陣は、ロッテと違って先発が揃っていない。過去2年間のポストシーズンの経験がある外国人投手グローバー(元読売)は、準プレーオフに続いてプレーオフも出場エントリーから外れた。準プレーオフでは故障明けの選手もいて元気がなかったキア相手にキム・グァンヒョン、ソン・ウンボム、ゴードンなどの先発投手が好投したが、強力打線でソン・アソプ以外状態に不安のある選手がいないロッテ相手にはそうもいかないだろう。
 となると、SK特有の小刻みな継投が勝負を分けることになる。チョン・ウラム、パク・ヒィスといったリリーフ左腕、イ・デホにめっぽう強いアンダースロー右腕のチョン・デヒョンなどがあげられる。また、準プレーオフ第4戦で好投し、相手のエースのユン・ソンミンに投げ勝ったユン・ヒィサンが勢いを維持できるかにも注目したい。


 大方の予想は、強力打線を擁し過去のポストシーズンに進出したチームと違って、抑えが安定しているロッテ有利としているが、SKが豊富な経験を活かしロッテの弱点を突いたらどうなるか全く予想はつかない。