今回は先日お伝えした、5月5日ソウル・蚕室野球場での様子の続編となります。
14時過ぎに、毎年こどもの日恒例の蚕室ダービーの熱戦の火ぶたが切って落とされました。
超満員の野球場では、1塁側がトゥサンの白、3塁側がLGの赤に分かれて熱い応援合戦が繰り広げられました。
試合は7回まで4−4の同点が続く緊迫した展開でしたが、8回表LG打線が爆発し一気に8点を入れ、12−4で勝利しました。
後で振り返ってみると、この試合を落としたことで調子が下降気味だったトゥサンは一気に悪化し、6月にキム・ギョンムン監督が辞任するほどの低迷に陥り、LGはこのあと勢いに乗り6月半ばまで2位をキープし続けるなど、蚕室を本拠地とする2チームにとってはその後1ヶ月以上の明暗を分けた分岐点だったとも言えます。
写真をご覧の通り、2011年シーズンの韓国プロ野球は週末や祝日ともなると各地の球場は大変な賑わいを見せ、観客が少なかった数年前の様子は昔日の感があります。
そしてこのブログでも時折お伝えしていますが、近い将来プロ野球の球団を増やそうという動きが具体化しています。
韓国におけるプロ野球人気の上昇ですが、2008年北京五輪優勝、2009年WBC(ワールドベースボールクラシック)優勝という韓国代表チームの国際舞台での活躍がまず第一の要因としてあげる声が聞かれます。
しかしそれ以上に、親しい仲間同士で飲み食いしながら陽気に騒ぎ楽しめる場として、プロ野球の応援がもってこいというのがあるように思います。
別に野球のルールや選手なんて大して知らなくてもわからなくてもいい、ただ友達どうしで「アーンタ!(安打)」とかのコールや、単純な歌詞の選手別応援歌を大声で叫び歌えば、それだけで野球場にしかないカタルシスとエクスタシーに身を任せることができます。
今回お伝えした5月5日の蚕室野球場の内野スタンド上部通路は、ビニールシートを敷いたグループでびっしり埋め尽くされていました。
明らかに野球のプレーそのものを楽しむというよりは、宴を開きに来ているような観客も少なくないことがわかります。
じっくり野球そのものを楽しみたい、という方の好みにはあまり合わないかもしれませんが、満員になった野球場が生み出すエネルギッシュな応援空間は、韓国の野球場ならではの独特の景観や雰囲気を生み出します。
もしこの観戦レポートをご覧になって、ひとりでも韓国の野球場でにぎやかな歓声に包まれながら楽しい時間をすごしてみたい、という方が一人でも新たに現れたならば、これに増す幸いはありません。
5月から時折掲載してきた現地観戦レポートですが、いったんこれにて終了とさせていただきます。
また2011年中に現地観戦することがありましたら、そのときにまた皆様にいろいろとご報告させていただきます。
そしてこのブログをご覧になっている皆様の観戦記も心からお待ちしております。
(文責 : ふるりん)