DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第2回 サムソンライオンズ

 
 2010年は前年の5位から2位に飛躍し、4年ぶりに韓国シリーズへ出場したサムソンライオンズ。しかしソン・ドンヨル監督(元中日)が年末に電撃辞任し、2011年シーズンはリュ・ジュンイル監督新体制で戦うこととなった。投打ともに世代交代が完了し、戦力も充実していて5年ぶりの韓国シリーズ優勝も夢ではなくなってきている。


【投手陣】

〈先発〉 
△チャン・ウォンサム、△チャ・ウチャン、門倉、ユン・ソンファン、ペ・ヨンス、アン・ジマン
〈中継ぎ〉
チョン・ヒョヌク、△クォン・ヒョク、キム・ヒョナム、△イム・ヒョンジュン、△ペク・チョンヒョン、イ・ウソン、クォン・オジュン
〈抑え〉
オ・スンファン

注 : △は左腕

 2010年は質量ともに豊富なリリーフ陣がサムソンの強みで、5回以降リードを奪うと52試合連続で無敗を記録したこともあった。反面先発はやや手薄だったため、2010年限りでSKを自由契約となった日本人投手・門倉(元読売)を獲得し、右の先発の柱として期待がかかる。また2009年は最多勝(14勝)のタイトルに輝いたが、2010年は不調だった右腕ユン・ソンファンの活躍も期待される。2010年チーム最多勝(13勝)のチャン・ウォンサムが肩の故障で出遅れていて、開幕に間に合うかどうかなのが不安材料だ。そうなると左の先発の柱は2010年10勝をあげて大きく成長したチャ・ウチャンとなる。
 リリーフ陣は若手の成長や故障者の復帰で層が厚くなり、中継ぎだったアン・ジマンを先発に回すほどである。新戦力としては、大卒新人ながら春季キャンプ、示範競技で高い評価を得ている左腕イム・ヒョンジュンが目立つ。またかつて韓国球界最強ストッパーの名をほしいままにしていたが、2010年はシーズン途中で離脱したオ・スンファンの復活が期待され、もしかつての豪速球が見られればマウンドはより磐石なものとなるであろう。


【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.ペ・ヨンソプ(右) 
2.イ・ヨンウク(中) △
3.ガーコ(指)  
4.チェ・ヒョンウ(左) △
5.チェ・テイン(一) △
6.パク・ソンミン(三)
7.シン・ミョンチョル(二) 
8.チン・ガビョン(捕) 
9.キム・サンス(遊)  

〈控え〉
チェ・サンビョン、ヒョン・ジェユン、チョ・ドンチャン、△チョ・ヨンフン、ソン・ジュイン、モ・サンギ、×カン・ミョング、△パク・ハニ、カン・ボンギュ、△チョン・ヒョンシク


注 :△は左打者、×は両打ち。

 大打者ヤン・ジュンヒョクの引退による空白を感じさせないほど、攻撃陣も充実している。右の大砲としてインディアンズなど米国・メジャーリーグでレギュラーとして活躍した新外国人ガーコに期待がかかる。チェ・ヒョンウ、チェ・テイン、パク・ソンミンなどの主力打者が年齢的にピークに差し掛かり、イ・ヨンウク、キム・サンスといった俊足の打者たちもいて幅広い攻撃を仕掛けられる。またカン・ボンギュ、パク・ハニといった経験豊富な野手たちも控えている。
 期待されているのがプロ3年目の外野手ペ・ヨンソプで、レギュラー定着が期待される。なお、怪我の多い正捕手チン・ガビョンが足首の故障で開幕に間に合うかどうか微妙で、2011年シーズンもヒョン・ジェユン、チェ・サンビョンなど他の力のある捕手たちとの併用が予想される。

 
 2011年シーズンのサムソンは、生え抜きのリュ・ジュンイル監督が前任のソン・ドンヨル監督の「守りの野球」ではなく、イ・スンヨプ(現オリックス)などがいたころのホームラン攻勢による「攻撃野球」を前面に押し出し、5年ぶりの優勝を狙っている。だが野球の基本はディフェンスであり、ソン・ドンヨル監督が作り上げた投手陣を軸に、強化が進んだ打線が機能すれば、2010年韓国シリーズでストレートの4連敗を喫した王者SK相手に雪辱を晴らすのも夢ではない。球団創設30年目の2011年、機は熟している。



本拠地
 大邱市民運動場野球場
 
 大邱(テグ)は韓国南東部にある人口250万人以上の韓国第4の都市である。広い盆地に位置し、夏は大変暑く冬はかなり冷える。そのため4月から5月前半までのナイター観戦は、日中暖かくても少し厚着をしていったほうがよい。
 電子製品を中心に世界的な大企業となったサムソングループであるが、同グループ発祥の地ということでサムソンライオンズ大邱を本拠地としている。1982年の球団創立以来チーム名や本拠地の変更はなく、大邱やその周辺の慶尚北道(キョンサンプクト)を中心にファンが多い。普通ホーム応援席といえば1塁側だが、この球場は夕方西日が差し込みまぶしいということで、3塁側内野席にある。収容人数は1万人とプロ野球の本拠地としては最も小さく、比較的アットホームな雰囲気である。
 野球場は大邱の中心街からやや離れ、隣に陸上競技場や体育館があるなど市民運動公園の敷地内にあり、タクシーや自家用車などでも比較的アクセスしやすい。古くからの住宅地の中にあり、下町の雰囲気が漂い、長年地元ファンに親しまれてきた球場ではあるが、近年老朽化が激しい。最近大邱市の東部にドーム球場建設の計画が発表されたが、まだまだ当分の間この球場が利用される。球場周辺にはスポーツ用品店が多く、試合前に店内でサムソンの選手たちを見かけることもあり、ファンと選手たちの距離も近い。
 スタンドには内外野とも外側にサムソンの選手の名前1人1人を書いた旗が多数飾られ、お目当ての選手の旗を探すのも楽しい。またライオンを模した(?)マスコット3体はユニークな動きが多く、試合前やその合間のパフォーマンスも要注目である。
 なお、2011年には大邱世界陸上競技選手権(8月27日−9月4日)も開催されるため、プロ野球と合わせて観戦プランを練っても楽しい(なお、シーズン終盤に差し掛かる8月30日以降の試合日程は流動的で、8月以降に発表されると思われる。)



 2011年シーズンの入場料は値上げされる。一般席(内外野の自由席)は7000ウォン、内野指定席、ブルーゾーン(3塁側内野応援ステージのすぐ横)が8000ウォン(土日・祝日は9000ウォン)、内野テーブル席は1万5000ウォン、外野テーブル席は3人席が2万5000ウォン(土日・祝日は2万7000ウォン)、同4人席が3万ウォン(土日・祝日は3万6000ウォン)、カップル席が4万ウォン、特別席が2万ウォンとなっている。(カップル席、特別席は飲み物、毛布、かさなどのサービスつき)

※ 3月25日現在の為替レート : 1万ウォンは約726円。

[交通アクセス]
 Korail大邱地下鉄1号線大邱駅北口から徒歩15分(地下鉄駅には球場への案内板あり)。ソウル、釜山からの超特急KTXは東大邱駅に停車し、大邱駅には停車しないため要注意(大邱駅はセマウル、ムグンファなどの列車が停車)。なお、ソウルから東大邱まではKTXで1時間40−50分。釜山から東大邱までは40−45分。なお、東大邱からソウル行きの最終のKTXは23時38分発と、18時半開始の平日のナイターを見ても、試合が長引かなければ十分にソウルから日帰りが可能である。(ソウル駅着は翌日の1時18分、2011年2月末現在の運行ダイヤによる)
 各都市へのバスが発着する高速バスターミナルも近い東大邱駅から大邱駅までは、地下鉄1号線で3駅5分程度。なお球場近くの市内バスは本数が少なく、韓国語が理解でき土地勘がなければ利用は避けたほうがよい。そのため、観光地の薬令市(ヤンニョンシ)や繁華街の中央路(チュンアンノ)からはタクシーを利用したほうが便利(数分程度)であり、東大邱駅から野球場までもタクシーで10分程度で到着する。


(文責 : ふるりん