DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  2010年シーズン公式戦、27日に開幕

 2010年のプロ野球公式戦は、3月27日いよいよ開幕する。

 27日、28日の2連戦となった開幕カードは以下の通り。[ ]内は予告先発

 キア[ロペス]−トゥサンヒメネス] (ソウル・蚕室) ※
 ハンファ[カペラン]−SK[門倉] (仁川・文鶴)
 LG[ゴンザレス]−サムソン[ユン・ソンファン]  (大邱
 ネクセン[クム・ミンチョル]−ロッテ[サドースキー]  (釜山・社稷

(2日とも全球場14時試合開始。ただし、※の28日のみ14時15分開始。)

 各球場ともに開幕を記念するイベントが試合開始前に実施され、人気芸能人や2月のバンクーバー冬季五輪で活躍したスピードスケートの選手たちが登場し、ムードを盛り上げる。


1.公式戦、試合方式、従来との変更点など

 公式戦は各球団133試合、合計532試合が実施される。順位は2009年と同じく、勝数を試合数で割った勝率で争われる。延長戦は12回までで、引き分けは負けと同じ扱いとなる。公式戦上位4チームがポストシーズン(準プレーオフプレーオフ、韓国シリーズの順)に進出し、年間総合優勝を決定する。なお、3月に開幕するのは、北京五輪野球で韓国代表チームが優勝した2008年以来2年ぶりで、11月中旬の中国・広州アジア大会へ過去の大会と同じようにプロ選手からなる韓国代表チームを派遣するため、例年より開幕を早めた。
 なお、2010年シーズンから試合のスピードアップのために、「12秒ルール」が適用される。これは塁上に走者がいないとき、12秒以内に投球をしなければならない。12秒を過ぎると第1次警告が出され、第2次警告が出されると、投球の内容にかかわらずボールが宣告される。これは打者も同様で、打席に入ってから12秒以内に、打撃する準備を終えなくてはならない。
 その他試合のスピードアップのため、これまで5回終了後「クリーニングタイム」として、5分程度と比較的長い時間でグラウンドの整備を行ってきたがこれを廃止し、代わりに3回、5回、7回終了後にグラウンド整備の短い時間を設ける。


2.優勝チームは?

 2009年シーズン、12年ぶりの韓国シリーズ優勝を果たしたキアは、ユン・ソンミン、ロペス、ヤン・ヒョンジョンなどの強力先発陣、チェ・ヒィソプ、キム・サンヒョンの左右の大砲を軸に、2010年シーズンも優勝争いに加わりそうだ。前年の突如の快進撃がフロックでなかったことを証明したい。キアと韓国シリーズを戦い、惜しくも第7戦で敗れたSKも、2年ぶりとなる王座奪回を虎視眈々と狙っている。若きエースのキム・グァンヒョンは故障で開幕に間に合わなかったが、選手層の厚さは8球団随一で、相手の隙を突くキム・ソングン監督の完成度の高い野球が今年も見られそうだ。
 3年連続でポストシーズンに進出するなど、安定して上位に残るが韓国シリーズ優勝には手が届かないトゥサンは、イ・ジョンウク、コ・ヨンミンなど2009年は活躍できなかった選手たちが復活し、天才打者キム・ヒョンスもさらに成長を続け、9年ぶりの優勝の期待がかかる。前年同様先発投手陣の弱さが目立つため、ヒーローズからトレードで移籍した左腕イ・ヒョンスンが大きな鍵を握っている。2007年までの低迷から脱出し、2年連続でポストシーズンに進出したロッテは、2010年シーズンこそ18年ぶりの優勝の期待がかかる。示範競技は2年連続で1位だったが、公式戦の順位との関連性は薄く、優勝の可能性が高いキアやSKと比べると、選手層や試合運びに明白な差がある。熱狂的なロッテファンたちに、これまでにない歓喜の涙を流させることができるだろうか。
 
 2009年は13年ぶりにポストシーズン進出に失敗したサムソンは、ペ・ヨンス、ク・ジャウンといった実績のある投手に復活の気配が見られ、ここ数年では最高のムードで開幕を迎えている。チェ・ヒョンウ、パク・ソンミン、チェ・ヒョンウなどの若き主軸打者たちも、更なる成長が期待されている。パク・チョンフン新監督を迎えたLGは、イ・テックン、イ・ビョンギュの加入で、外野手の層が非常に厚くなり、強力打線が形成された。課題はエースのポン・ジュングンが開幕に間に合わない投手陣だ。
 2月に新メインスポンサーとしてネクセンタイヤが決まったネクセンヒーローズは、オフに資金難でイ・テックン、イ・ヒョンスン、チャン・ウォンサムなどの選手を放出したが、カン・ジョンホ、ファン・ジェギュンの若き三遊間のコンビなど、若い才能あふれる選手が多く、決して侮ることはできないであろう。2009年は勝率3割台前半と悲惨な成績に終わったハンファは、ハン・デファ新監督を迎え巻き返しを図る。だが世代交代の失敗により崩壊した投手陣は容易なことでは再建できず、エースのリュ・ヒョンジンだけが頼みであり、キム・テギュンイ・ボムホと日本プロ野球へ移籍した2人の主軸打者の穴の補強も見られなかった。

 2009年は終盤キアとSKの2強によるマッチレースとなったが、2010年シーズンはトゥサン、サムソンの復活、LGなど下位チームの底上げで、混戦の上位争いとなりそうだ。無論終盤になると白熱するポストシーズン進出がかかった4位争いも見逃せない。


3.外国人選手
 チームの浮沈の鍵を握る大きな存在である各球団2人までの外国人選手であるが、3月26日現在登録された15名のうち投手が13名を占めていて、内野手はゼロである。これは8球団の平均防御率が4.81と打高投低だった2009年シーズンの影響が大きく、全体として右投手不足だからである。また3月27日の開幕投手も、8球団中6球団が外国人投手となるなど、異例の事態となっている。

【2010年 外国人選手一覧】

キア   : ロペス(投)
SK   : 門倉(投)、グローバー(投)
トゥサン : ◎ヒメネス(投)、◎ウォーランド(投)
ロッテ  : ガルシア(外)、◎サドースキー(投)
サムソン : クルセタ(投)、ナイト(投)
ネクセン : クラーク(外)、◎バーンサイド(投)
LG   : ◎ゴンザレス(投)、◎岡本(投)
ハンファ : ◎カペラン(投)、◎デポーラ(投)

(注 : ◎は新外国人選手。キアと契約した新外国人ロドリゲス投手は、故障が発覚し3月19日退団。)

 この中では、2009年最多勝となったロペス(キア)、攻守ともに闘志あふれるプレーで韓国3年目を迎えたガルシア(ロッテ)、同じく3年目の走攻守そろったクラーク(ネクセン)にチームの不動の主軸として高いレベルの成績が求められる。新外国人ではロッテのサドースキー、LGのゴンザレスが、故障者が多いチームにおいて先発の柱として期待がかけられている。また初めて韓国の地を踏む日本人投手岡本(元埼玉西武)は、過去の経験を生かし抑えとしての起用が予定されている。
 外国人選手との契約が非常に厳しい韓国の地において、果たして2011年以降もプレーを続けられる者はいったい何名いることであろうか?


4.期待の新人・若手は?

 2010年シーズン開幕戦の1軍登録選手のうち、新人選手はイ・ジョンファン(キア、外野手)、チェ・ユンソク(SK、内野手)、チャン・ミニク(トゥサン)、パク・シヨン(ロッテ、投手)、シン・ジョンナク(LG、投手)の5名となっている。この中で期待がかかるのはサイドハンド右腕シン・ジョンナクで、層の薄い投手陣では速球を武器にリリーフとして活躍が期待される。また2009年は申告選手(1軍の試合に出場できない選手)だったが、晴れて正式契約に至り左の野手の控えとして台頭してきたイ・ジョンファンも面白そうだ。最も話題を呼んだのは207cmの長身左腕チャン・ミニクだが、示範競技の内容もあまりよくはなく、戦力として機能するかは未知数だ。
 過去の試合出場数の少ない5年目までの選手にも、新人王の資格がある。特に高卒2年目のオ・ジファン(LG)は、示範競技でもショートとして盛んに起用され、レギュラー定着のチャンスを迎えている。その他チョ・スンス(トゥサン、投手)、ハ・ジュンホ(ロッテ、投手)なども面白い存在だ。


 史上最多の約592万を記録した2009年をさらに上回る600万人、650万人の観客動員数の更新に期待がかかる2010年シーズン。以前と比べて女性ファンの姿も目立つようになり、2011年で創設30年目を迎える韓国プロ野球は、まさに黄金期を迎えようとしている。プロ野球が国民に愛されるスポーツとして完全に定着できるかどうか、非常に重要な1年となる。  

 
(文責 : ふるりん