DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第4回 サムソンライオンズ

2007年成績 : 62勝60敗4分 公式戦4位 準プレーオフ進出

 2004年オフのソン・ドンヨル監督(元中日)就任以降、2005,06年と韓国シリーズ連覇を達成したが、2007年は主力野手の高齢化、ここ数年FAで大物選手を取り続けたため若手の成長がなく世代交代に失敗し、エースのペ・ヨンスが手術のリハビリで登板できないなど、マイナス要素が重なり公式戦4位と低迷した。そのためオフには活躍できなくなったベテラン勢を解雇するなど、大きな構造改革に乗り出した。今季はユニフォームもデザインを変更し、チーム再建と2年ぶりの韓国シリーズ優勝をともに狙う。 


投手】 

[先発] ペ・ヨンス、チョン・ビョンホ△、オバミュラー(元オリックス)※、チョン・ヒョヌク、ユン・ソンファン
[中継ぎ] クォン・オジュン、クォン・ヒョク△、クォン・オウォン、チャ・ウチャン△、アン・ジマン、イ・サンモク※
[抑え] オ・スンファン
(※は新加入、△は左腕)

 2007年はペ・ヨンスの離脱により、先発投手陣のコマ不足が目立った。ブラウン(元阪神)、マゾーニの両外国人は完投能力がなく、リリーフ陣に負担がかかっていたため再契約できなかった。今季はペ・ヨンスがキャンプ中の練習試合から好投を続け、復活に期待できる。新外国人オバミュラーも先発を任され、ベテラン左腕のチョン・ビョンホ、兵役から復帰したチョン・ヒョヌク、中継ぎから転向したユン・ソンファンなど、先発陣は強化に成功した。なお、日本プロ野球東京ヤクルトに移籍したイム・チャンヨンは、2004年のFA行使前までは投手陣の柱だったが、2005年以降は故障に悩まされ、手術のリハビリでほぼ1年を棒に振ってしまうなど、あまり戦力として機能していなかったので、抜けたことによる戦力の低下は今のところ見られない。
 2007年は先発が不安定でも中継ぎ以降がしっかりしていたため、大崩れする試合はそんなに多くなかった。今季も左右、質量共にそろったリリーフ陣は健在である。左ではクォン・ヒョク、右ではアン・ジマンが中継ぎの柱となる。ロッテから移籍したイ・サンモクは、豊富な経験を生かして先発としての起用も考えられる。抑えには2年連続40セーブ以上を記録したオ・スンファンが控えているが、これまでの勤続疲労かオフの五輪予選をひじ痛で辞退しキャンプでは実戦登板できず、不安を感じさせた。だが示範競技で登板し調整を続け、今季も例年通りの活躍が期待できそうだが、故障などで離脱した際の代役を考える必要はある。
 

攻撃

[ベストオーダー]
1.パク・ハニ(右)△
2.シン・ミョンチョル(二)
3.ヤン・ジュンヒョク(指)△
4.シム・ジョンス(左)
5.クルーズ(一)△※
6.パク・チンマン(遊)
7.ホ・スンミン(中)△※
8.チン・ガビョン(捕)
9.パク・ソンミン(三)
(△は左打者、※は新加入)

 2007年のチーム打率.254、497得点は8球団中最下位であり、韓国シリーズ3連覇を逃す最大の要因となった。特に下位が弱く、打線の大幅な入れ替えを行った。まずハンファで打率3割、22本塁打と活躍したが足の故障のため自由契約となったクルーズを獲得した。守備に不安があるため負担の少ない一塁を守ることになる。またこれまで生え抜きの主力内野手として活躍してきたキム・ハンスを2軍プレイングコーチに任命し、実質上の引退状態にした。兵役から復帰してきた期待の若手パク・ソンミン、大卒新人ホ・スンミンなど若手がレギュラーに定着すれば、打線に活気が生まれる。
 また2000本安打を達成した大打者ヤン・ジュンヒョク、本塁打、打点の二冠王シム・ジョンス、新外国人クルーズのクリーンアップは8球団1の破壊力を秘めている。2007年は不振だった1番パク・ハニが復活すれば、得点力が上がり貧打は解消される。シン・ミョンチョル、パク・チンマンの二遊間も健在だ。


本拠地
 大邱・公設運動場野球場
 
 大邱(テグ)は韓国南東部にある人口250万人以上の韓国第4の都市である。周囲を山々に囲まれた盆地に位置し、夏は大変暑く冬はかなり冷える。リンゴの産地としても有名で、韓国の繊維産業の中心地である。
 電子製品を中心に世界的な企業となったサムソングループであるが、同グループ発祥の地ということでサムソンライオンズ大邱を本拠地としている。1982年の球団創立以来チーム名や本拠地の変更はなく、大邱やその周辺地域を中心にファンが多い。普通ホーム応援席といえば1塁側だが、この球場は夕方西日が差し込みまぶしいということで、3塁側内野に応援席がある。長年ファンに親しまれてきた球場ではあるが、近年老朽化が激しく補強工事も行われ、大邱市内にドーム球場を建設する計画も出ている。
 韓国プロ野球の応援は、応援コールのパターンが比較的少ないが、サムソンは選手別の応援歌が多く、チーム一の人気選手である大打者ヤン・ジュンヒョクが打席に入ると、「ウィプンダンダン(威風堂々)、ヤンジュンヒョク!」のテーマソングで大いに盛り上がる。


(球場正面入り口。)


(内野3塁側から見たグラウンド。)


(打席にはヤン・ジュンヒョクが立つ。)


(パク・チンマンの応援歌ボードを持つチアガール。)


(守護神オ・スンファンが投球練習を開始。)


[交通アクセス]
Korail大邱地下鉄1号線大邱駅から徒歩10分。

(文責:ふるりん)