DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第6回 SKワイバーンズ

【2006年成績】 
60勝65敗1分 勝率.480 公式戦6位

 2006年のSKは、優勝争いに加わり3位に終わった前年以上に期待が集まり、球団史上初の韓国シリーズ優勝も期待された。だが先発投手陣がそろって崩れ、塩谷(元オリックス、負傷によりシーズン途中退団)などの外国人選手もあまり活躍できず、優勝争いから早々と脱落した。何とか立て直しを図ったものの、6月以降は5位に上がるのがやっとで終盤の4位争いからも脱落し6位に終わった。
 巻き返しを図る球団は新監督に名将として名高いキム・ソングン(前千葉ロッテ巡回コーチ)を迎え、チームの強化に取り組んでいる。首席コーチには韓国プロ野球史上初の打撃三冠王で米国大リーグ・ホワイトソックスブルペンコーチを務めていたイ・マンスを迎え、投手コーチに加藤初、打撃コーチに大田卓司、守備コーチに福原峰夫などの日本人コーチも起用された。キム・ソングン新監督はキャンプ中の練習試合、示範競技などで若手を積極的に起用し、結果を出させているためチームには活気があふれている。

 投手陣は2006年防御率3.80と、8球団中6位で上位進出を逃した最大の原因となった。シン・スンヒョン、チェ・ビョンニョンなど若手投手に故障者が多く、シーズンを通して実力を発揮できなかった。またベテランのキム・ウォンヒョンは不振で前年の14勝から5勝と勝ち星を減らした。またかつて左腕エースとして活躍したイ・スンホは、肩の手術を受け今季は出場できない見通しだ。
 その不安を解消するため、以前日本プロ野球・広島に在籍していたレイボーン、ロマノの2名の外国人投手を獲得した。レイボーンは2006年台湾プロ野球・La Newで17勝をあげチームの優勝に貢献し、アジアシリーズでも日本一となった北海道日本ハム相手に好投した。ロマノも日本プロ野球で2年間活躍した。両名とも先発ローテーション入りが確実で、チームの命運を握るといっても過言ではない。
 さらに話題となっているのが大型高卒新人左腕のキム・グァンヒョンだ。練習試合、示範競技で登板し結果を残しており、開幕1軍先発ローテーション入りは確実で、2006年同じく高卒新人ながら投手三冠王となり新人王、MVPにも輝いたリュ・ヒョンジン(ハンファ)の再来と言われている。新戦力に刺激され、従来からの主力投手も奮起し若手を中心に投手陣の大幅な底上げがなされた。
 シン・スンヒョン、チェ・ビョンニョンは故障で開幕1軍は微妙だが、その他イ・ヨンウク、ソン・ウンボムなどの若手投手が先発陣の穴を埋め、頭数はそろっている。また、中継ぎには左腕チョン・ウラムやサイドハンドのベテランのチョ・ウンチョンだけでなく、イ・ハンジンなどの若手、ロッテから左腕カ・ドゥギョム、LGからチェ・サンドクらのベテランも加わり層が厚くなった。抑えはアンダースローで2006年中継ぎとしてチーム最多勝(8勝)だったチョン・デヒョンが任される。

 打線は2006年8球団2位の99本塁打、同3位の117盗塁と長打力と機動力を兼ね備え、今季も強力打線が期待される。打線の軸は左の中距離打者キム・ジェヒョン、走攻守そろった韓国を代表する外野手イ・ジニョン、強打の捕手パク・キョンワンであるが、イ・ジニョンは3月30日の示範競技中に右手指を骨折し、開幕絶望となってしまった。その穴をパク・チェサン、キム・ガンミンなどレギュラー取りを狙う若手外野手たちで埋められるかどうか注目だ。
 また、2005年まで主砲として活躍してきたイ・ホジュンが兵役から復帰したが、キャンプ中の負傷で開幕には間に合わない可能性が高い。だがその穴も2006年11本塁打を記録した若手スラッガー、チェ・ジョンが埋めようとしている。
 守備、走塁面では2006年正二塁手となり45盗塁を記録したチョン・グヌに注目だ。また2006年正遊撃手となったイ・デスはまだ失策も多いが、若きキーストンコンビが今季もSK内野陣の要となる。現代からの移籍後正捕手として活躍してきたパク・キョンワンを内野にコンバートし、兵役から復帰した長打力のある若手チョン・サンホを起用することも検討されている。
 
 SKは投打ともにレベルアップし、若手や新外国人頼みなど不安な面も多いが、8球団随一のエネルギッシュなチームに生まれ変わった。2000年創立とまだ歴史の浅い球団のため、人気拡大のためのさまざまなファンサービスに積極的で、8球団の中では最も徹底して本拠地仁川(インチョン)への地域密着策を展開している。名将キム・ソングン監督と若手、ベテランが一丸となって、球団史上初の韓国シリーズ優勝に向かって突き進み、仁川市民の心をつかんで離さない、天に羽ばたくワイバーン(飛龍)のような飛躍を感じさせる一年になる予感がする。
 
 
【本拠地】
仁川・文鶴(ムナク)野球場
仁川広域市、仁川地下鉄1号線文鶴競技場(ムナクキョンギジャン)駅下車徒歩3分、ソウル駅から首都圏電鉄で約1時間、仁川国際空港から空港鉄道と仁川地下鉄1号線で約1時間
(文責:ふるりん