DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第5回 トゥサンベーアズ

【2006年成績】 
63勝60敗1分 勝率.512 公式戦5位
 
 2006年は、全員野球で優勝争いを繰り広げ公式戦2位で韓国シリーズまで進出した前年と違い、WBC(ワールドベースボールクラシック)での負傷で長期離脱を強いられたキム・ドンジュ、韓国人エースのパク・ミョンファンなど投打に故障者が多く苦しい戦いを強いられた。終盤キアとポストシーズン進出をかけた4位争いを繰り広げたが敗れ、僅差の5位に終わった。
 2004年からチームを率いるキム・ギョンムン監督は、決して豊富とはいえない戦力を巧みに指揮し毎年結果を残す手腕が高く評価され、北京五輪韓国代表監督の大役を任されることになり、2007年11月に台湾で日本、台湾などとアジア地区予選を戦うことになった。

 トゥサンが2006年何とか中位にとどまり続けたのは、他球団に見劣りしない投手陣のおかげであった。今季も投手力を前面に押し出した戦いになることには変わりない。だがここ数年間投手陣の柱であった韓国人エースのパク・ミョンファンが、FAでLGへ移籍してしまった。2006年は決して本調子ではなく7勝に終わったが、これまでの実績を考えるとその穴を埋めることが投手陣最大の課題となった。
 2006年チーム最多勝の16勝をあげたランデル(元読売)、12勝をあげたリオスの外国人投手コンビは健在で、この2人が先発陣の柱となる。これに2006年は3勝と散々な成績に終わった若手右腕キム・ミョンジェ、左腕クム・ミンチョル、兵役から復帰したかつての主力投手イ・ギョンピルなどが先発陣に加わり、パク・ミョンファンの穴を何とか埋めたい。また長年先発を任されてきた左腕イ・ヘェチョンは今季途中に軍へ入隊する可能性が高い。
 その他今季はク・ジャウン、チョン・ソンフンなどかつての主力投手たちが兵役から復帰し、キム・ドギュンなどからなる中継ぎ陣の層を厚くしてくれたのが大きい。抑えには2006年38セーブをあげ、韓国プロ野球屈指のクローザーになったチョン・ジェフンが控え、今季も三振の山を築くものと思われる。

 最大の課題は、2006年は8球団最少の55本塁打に終わった打線の迫力不足だ。2006年は8球団最多の132盗塁と足を使った攻撃を多用し、長打力不足を何とか補おうとしたが得点は8球団中最少だった。打線の軸は今季も主砲キム・ドンジュだ。体重100kgの巨体に似合わぬ高い打撃技術で、2003年には首位打者にも輝いた主砲の完全復活に期待したい。その他2006年シーズン途中にロッテから移籍し11本塁打を記録した巨漢チェ・ジュンソクも、粗っぽさが残るがよりいっそうの活躍が期待される。勝負強い打撃が売りのベテランの内野手アン・ギョンヒョンも、37歳となったがまだまだチームになくてはならない存在だ。
 長打力不足を補う上で重要な機動力の核となるのが、2006年現代から移籍し外野のレギュラーとなっただけでなく、51盗塁で盗塁王に輝いたイ・ジョンウクだ。ベテランのカン・ドンウ、俊足の若手ミン・ビョンホンなども走塁技術に優れ、安定した外野守備を誇る。
 内野守備では2006年公式戦全126試合に出場した正遊撃手ソン・シホンの穴を埋めることが急務で、若手のユン・ソンミン、ナ・ジュファンなどを中心とした激しいレギュラー争いが予想される。2006年正二塁手となったコ・ヨンミンに次ぐ若手の成長に期待したい。正捕手は今季もホン・ソンフンで、豪快な打撃でチームに勢いを与える打線の軸でもある。総じて、今季も2006年と同様つなぐ野球で得た得点を何とか継投でしのぎ勝機を見出す戦いとなるであろう。

 2006年、トゥサンは入場券割引などの営業活動をさかんに行い観客動員数を伸ばし、チーム成績は芳しくなかったが、同じく最大収容人数3万人の蚕室(チャムシル)野球場を本拠地とするLGを抜いて、観客動員数は念願の8球団ナンバー1となった。首都ソウルに本拠地を置くチームとして、その人気に見合う成績を残すことができるか、今季は今後のチームの分岐点となる1年となりそうだ。
 

【本拠地】
ソウル・蚕室(チャムシル)総合運動場野球場
ソウル特別市ソウル地下鉄2号線・総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅下車すぐ、ソウル駅から地下鉄で40分、東大門市場(トンデムンシジャン)付近から地下鉄で30分、新村(シンチョン)から地下鉄で約50分、ソウル高速ターミナルから地下鉄で約15分
(文責:ふるりん