DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第4回 キアタイガース

【2006年成績】 
64勝59敗1分 勝率.520 公式戦4位、準プレーオフ敗退
 
 2006年は、前年まさかの最下位に終わった状態からソ・ジョンファン監督が見事にチームを立て直し、なかなか上位には進出できなかったが安定した戦いぶりで勝率5割前後をキープし、終盤のトゥサンとの激しい4位争いを制し準プレーオフに進出したが、ハンファに敗れた。2001年シーズン途中に9度の韓国シリーズ制覇の偉業を達成したヘテタイガースが売却されて球団が誕生して以来、公式戦優勝は一度もなく、4度プレーオフや準プレーオフなどポストシーズンに進出しているが、1度も勝ち抜けず韓国シリーズへ進出できていない。今季はこの短期決戦の勝負弱さも克服したい。

 2006年4位へ進出した最大の原動力は、若手の多い投手陣だった。先発の頭数はやや足りなかったが、リリーフ陣で何とか接戦をしのいでいった。だが2006年チーム最多勝で14勝をあげた先発陣の柱グレイシンガーが、日本プロ野球東京ヤクルトへと移籍してしまった。その穴を埋めるためメジャー経験もある新外国人投手エサートンを獲得したが、実力は未知数で不安も大きい。そうなると、2006年10勝をあげた韓国人エースのキム・ジヌに期待がかかるが、肩などの故障が多いのが悩みだ。
 その他の先発陣は2006年抑えとして19セーブをあげたまだ20歳の若手ユン・ソンミン、左腕チョン・ビョンドゥ、イ・サンファなどの若手が候補にあがる。中継ぎにはシン・ヨンウン、チョン・ウォン、キム・ヒィゴルなどが控え、抑えは2006年史上初の10億ウォンルーキーとして話題を呼び、主に中継ぎで10勝をあげたハン・ギジュが任される。150kmを超える速球でチームの勝利を守れるかに注目だ。

 打線はサムソン、現代、ハンファなどの上位3チームと比べ小粒で、サーブネック、スコットなどの外国人打者も活躍できず、長打力不足が目立った。そのため現代から2005年の本塁打、打点の二冠王サットンを獲得したが、2006年はひざの故障で93試合にしか出られず、今年で37歳という年齢もあり、活躍の保証はない。そのため、長打力のある韓国人打者の育成が急務であるが、まだそのような若手の台頭が見られない。なお、キアは28日今季限定の海外派優先指名(1999年以降海外の球団とプロ契約し、5年以上プレーした選手に限定)で大リーグ数球団を渡り歩いた左の強打者チェ・ヒィソプを指名した。チェ・ヒィソプは開幕メジャーに残れなかったものの、現時点で入団するかどうかは未定だ。
 長年チームを支えてきたイ・ジョンボム(元中日)は、2006年WBC(ワールドベースボールクラシック)ベスト4に大きく貢献したが、公式戦では不振で2軍落ちも経験した。今年37歳となるイ・ジョンボムの後継者も必要とされているが、新しいリードオフマンとしてチームの顔になりつつあるのがイ・ヨンギュだ。2005年レギュラーに定着し、06年は打率.318、38盗塁を記録した。長打力はないが、韓国屈指のリードオフマンに成長し今季もチームを引っ張ることが期待される。
 打線の中軸を担うのが2006年まで9年連続打率3割を記録した一本足打法の左の中距離打者、チャン・ソンホである。2006年32歳にして初の規定打席に達し4番を任されたイ・ジェジュも健在だ。イ・ヨンギュが出塁し、それをチャン・ソンホ、サットン、イ・ジェジュのクリーンアップで返すパターンがチームの生命線だ。
 ここ2年ほど故障で満足に活躍していないかつてのショートのレギュラー、ホン・セワンの復活にも期待したい。また2006年シーズン途中SKから移籍したベテランの強打者チョ・ギョンファンも重宝されるであろう。上位打線はそれなりのタレントがそろっているが、下位打線に人材を欠くためその充実を図りたい。
 守備の要は俊足の正二塁手キム・ジョングクで、長打力のないチームの走塁の要であり、イ・ヨンギュとの快足コンビは他球団バッテリーの脅威だ。正捕手は今季もキム・サンフンで、若手の多い投手陣を引っ張る。
 
 韓国のどの地域よりも熱い光州(クァンジュ)、全羅道のファンたちは、ソン・ドンヨル(現サムソン監督、元中日)などが率いたタイガースがかつての栄光を取り戻してくれるのを待っている。今年こそキアは本当に光州の誇りとして人々に愛されるチームになるであろうか。

【本拠地】
光州(クァンジュ)・無等(ムドゥン)総合運動場野球場
光州広域市(ソウルからKTXで2時間40分、高速バスで3時間半)、光州駅からバス・タクシーで10分、総合バスターミナルからバス・タクシーで5分
(文責:ふるりん