DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第5回 SKワイバーンズ

「復活の兆し」 
2014年成績 : 61勝65敗2分け(公式戦5位)
チーム総合採点…60点


 6年連続韓国シリーズ出場の記録が途切れ、オフシーズンには3度の優勝に貢献したチョン・グヌがFA(フリーエージェント)でハンファに移籍するなど、戦力の低下や沈滞ムードで2014年シーズンの開幕前、SKを上位候補に推す声は強くなかった。それでも3月29日の公式戦開幕後1か月あまりは勝率5割を維持しスタートは悪くなかったが、5月7日のサムソン戦で敗れると勝率5割に復帰することはなかった。

 
 先発要員として期待されていたユン・ヒィサン、抑えのパク・ヒィスが相次いで離脱し、新外国人選手として期待されたスコット、ウルフも活躍できなかった。6月22日のネクセン戦で7連敗となり、公式戦128試合の半分となる64試合を終えて27勝37敗、勝率4割台前半の7位に低迷し、上位進出は絶望的に見えた。7月3日には2005年以来となる8位にまで後退した。
 成績不振で6月後半に退団となった2年目の外国人左腕レイエスの代役として、7月5日新外国人投手バンワートと契約したが、この日のロッテ戦で敗れ5連敗、勝率4割を切る寸前にまで落ち込んでしまった。勝率4割は何とか維持したが、2軍降格後調整や起用法などを巡ってイ・マンス監督と激しく口論した外国人打者スコットを退団させるなど事態は好転しなかった。また、抑えに転向したウルフも8月後半、子供の病気を理由に米国へ帰国してから韓国に戻ることはなく、態度の悪い外国人選手に悩まされた。
 だが途中入団のバンワートは好調を維持し先発に柱ができ、途中でチームを去った外国人選手2人とは対照的だった。左のエースであるキム・グァンヒョンも調子をあげてきた。8月末には7位、6位と順位を上げ、勝率4割台後半の混戦の4位争いに加わっていった。抑えにはユン・ギルヒョンが固定され、投打がかみ合いシーズン終盤での反撃が始まった。
 9月になるとロッテ、トゥサン、LGとの4位争いに加わり、仁川アジア大会による中断期間前の最後の試合だった9月14日のNC戦で勝利し、5位に浮上した。公式戦再開後の10月1日のハンファ戦でバンワートが9勝目をあげたが、故障によりこの試合を最後に登板できなかった。それでもLGとのマッチレースとなった4位争いに最後までくらいついた。
 10月16日のトゥサン戦で延長10回に2点を勝ち越し勝利し、4位LGとは1ゲーム差で17日のネクセンとの公式戦最終戦まで望みをつないだ。LGが敗れSKが勝ったら勝率で並ぶものの、直接対決で勝ち越しているためSKが4位となるところであったが、5連勝中と勢いのあったネクセンに敗れ5位が確定し、2年連続でポストシーズン進出を逃した。しかしシーズン後半の64試合は35勝27敗2分けと勝ち越し、今後につながる内容だった。
 

 チーム防御率5.51は9球団中7位と投手力は安定していたとは言えなかった。だがチーム最多の13勝をあげずっと悩まされてきた故障からの復調を果たしたキム・グァンヒョン、途中入団ながら防御率3.11と安定した内容で9勝と終盤の快進撃に貢献したバンワートと、先発投手陣に不動の軸があったのが大きかった。防御率6.37と内容はあまりよくなかったが先発ローテーションを守ったベテランのチェ・ビョンニョンが8勝をあげたが、ヨ・ゴヌク、ムン・グァンウン、コ・ヒョジュンなど4番手以降の先発が弱く、5連勝以上はなかった。
 中継ぎ陣は右のチョン・ユス(7勝)、パク・チョンベ(6勝)、イ・ジェヨン、左のチン・ヘス(15ホールド)などが主に起用されたが、いずれも防御率は高く安定感はなかった。だが終盤抑えに起用され9セーブをあげたユン・ギルヒョンが活躍し、勝ちパターンが確立された。


 チーム打率.291は9球団中4位、得点735も4位と打線は上位チームに引けを取らなかった。チーム本塁打数115はキアと同じ5位と一発攻勢はあまりなかったが、得点圏打率は.301とチャンスに強かった。打線の軸は27本塁打、109打点とチームの二冠王パク・チョングォンだった。近年主軸として活躍してきたチェ・ジョンは故障で82試合の出場にとどまったが、キム・ガンミン(16本塁打32盗塁)が自己最高の成績を残し、指名打者でレギュラーに定着したイ・ジェウォンも前半は首位打者争いをするなど、上位打線や中軸は破壊力があった。
 チーム盗塁数139は9球団中3位と機動力もあり、ベテランのチョ・ドンファがチーム最多の37盗塁とチームをけん引した。また下位打線ではキム・ソンヒョンがショートのレギュラーに定着し、軍から除隊され復帰したナ・ジュファンもセカンドのレギュラーとして活躍した。また4月5日に盛大な引退セレモニーを開き20年以上の選手生活に別れを告げたパク・キョンワンの後継者として、捕手チョン・サンホも存在感を増した。またイ・ミョンギ、イム・フン、パク・ケェヒョンなどの控えの野手もそろっていた。
 

 オフシーズンで最も注目を集めたのが、キム・グァンヒョンのポスティングによる米国メジャーリーグ移籍であった。200万ドルで交渉権を落札したサンディエゴパドレスとの交渉は成立せず、SKに残留することとなった。またチェ・ジョン、チョ・ドンファ、キム・ガンミン、ナ・ジュファン、イ・ジェヨンと5人のFAを行使した選手全員と再契約し、戦力の低下を防いだ。外国人投手バンワートと再契約し、メリル・ケリー投手、アンドリュー・ブラウン外野手と2人の新外国人選手と契約した。
 イ・マンス監督は3年の任期を終えて退任し、かつてSKで2軍監督をつとめ指導者の経験が豊富なキム・ヨンヒィ新監督が就任し、投手力と機動力を軸とした「システム野球」で2015年シーズンは3年ぶりのポストシーズン進出を目指すこととなった。前半低迷し絶望的な状況に陥っても、後半巻き返しポストシーズン進出にあと一歩及ばなかったが復活の兆しを見せた2014年の勢いをそのまま持ち込み、優勝争いに加われるかが注目される。
 
 
 
(文責:ふるりん)