DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  プレーオフ : ネクセン−LG 展望

  
 ネクセン、LGともに2年連続のポストシーズン進出で、2013年はネクセンが準プレーオフ、LGがプレーオフでそれぞれトゥサンに敗れ、韓国シリーズ進出はならなかった。この2チームは選手のトレードや移籍が多いことなどで因縁があり、近年ファンがスペインサッカーリーグのエル・クラシコにひっかけて「エルネクラシコ」と勝手に呼ぶこともある。ポストシーズンでは初対戦となるこのカードは、その大げさな異名にふさわしい熱戦となることが期待される。公式戦では9勝7敗とネクセンが勝ち越している。


 2008年の球団創設以降最高となる公式戦2位で初めてプレーオフへ進出したネクセンは、狭い木洞野球場を生かしたホームラン攻勢が最大の特徴である。
 チーム打率.298は2位だが、得点841、本塁打数199は9球団中トップと破壊力がある。その軸は52本塁打、124打点と3年連続打撃二冠王の4番パク・ピョンホで、LG投手陣としては絶対に強烈な一発を打たれるのは避けなくてはならない。しかしその周りにも40本塁打、117打点のショートのカン・ジョンホや、ベテランの21本塁打のイ・テックン、20本塁打のユ・ハンジュンなどが控え、打線を断ち切るのは容易でない。
 また、初の首位打者(.370)にしてプロ野球史上初のシーズン200安打を達成した1番打者ソ・ゴンチャンも厄介である。また下位にもイ・ソンヨル(14本塁打)、キム・ミンソン(12本塁打)、ユン・ソンミン(10本塁打)などの打者が控え、切れ目が全くない。


 打撃陣と比べるとネクセン投手陣は心もとない。チーム防御率5.25は9球団中5位で、同3位(4.58)のLGと比べるとやや見劣りする。先発の軸は球団史上初の20勝投手となった外国人左腕バンヘッケンで、それに10勝をあげた外国人右腕ソーサが続く。しかし韓国人投手で最多の9勝をあげた右腕ムン・ソンヒョンが、公式戦終盤での足の怪我から回復せず、プレーオフの出場選手登録から外れた。シーズン中は4-5番手だったオ・ジェヨン、キム・デウなどが先発を任されると思われるが、投手陣の層の薄さが大舞台で響いている。
 リリーフ陣は2年連続最多ホールドのハン・ヒョンヒィ(31ホールド)、2年連続最多セーブのソン・スンナク(32セーブ)が軸となる。若手のチョ・サンウ、ベテランのソン・シニョン、マ・ジョンギルなどが中継ぎ陣に控えているが安定感がなく、左腕不足でLGの左打者たちを抑えられるか不安が残る。ソン・スンナクも公式戦ではリリーフ失敗が多く、プレーオフでNC投手陣を粉砕したLG打撃陣が好調だと、点を取っても取られ続けるシーソーゲームとなることが予想される。そのため、左腕バンヘッケンが先発する試合は必ず勝たねばならない。


 LGは公式戦4位ながら、シーズン終盤好調だった勢いを生かし、史上初となる公式戦勝率5割未満の韓国シリーズ出場を狙う。NCとの準プレーオフでは4試合で31得点と打線は好調で、イ・ビョンギュ(背番号7)が4番として打点を稼いだだけでなく、MVPと受賞した下位の捕手チェ・ギョンチョルが好調で打線に切れ目がなかった。また公式戦ではあまり目立たなかった外国人打者スナイダーも好調と、ポストシーズン特有の勢いがみなぎっている。
 
 LG投手陣だが、プレーオフから中1日で迎えるため先発陣のやりくりが苦しく、これは下位からの勝ち上がりの最大のハンディキャップである。第1戦は勝ち頭のウ・ギュミン(11勝)だが、ローテーション的に第2戦の先発を誰にするかが頭の痛いところだ。外国人投手の左腕ティーフォードがプレーオフの出場登録選手から外れたため、準プレーオフではリリーフ起用だったシン・ジョンナクやイム・ジョンウの起用も考えられる。
 打線は好調だった準プレーオフから大きく変わらないと思われる。1番にベテランのチョン・ソンフンを置き、中軸はパク・ヨンテク、イ・ビョンギュ(背番号7)、イ・ジニョンと一発はないが経験豊富な打者たちがそろい、ネクセンとは対照的につながりを重視し得点を重ねていくと思われる。
 
 
 日程的にはネクセン有利であるが、LGとともにポストシーズンで勝ちなれているチームではないだけに、何が起こるかわからない。どちらも早い段階で決着をつけ、3年連続韓国シリーズ優勝で勝ち慣れている王者サムソンとの韓国シリーズへ余力を残しておきたいところだ。

(文責 : ふるりん