DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第8回 ハンファイーグルス

「また奈落の底へ」 
2012年成績:53勝77敗3分け(公式戦最下位)
チーム総合採点…25点


2011年は最下位確実と思われ、予想外の健闘でLGと同率6位で終えたハンファイーグルス。オフに主砲キム・テギュンが日本プロ野球千葉ロッテより復帰、韓国人メジャーリーガーのパイオニアパク・チャンホ(元オリックス)の入団とビッグネームを補強し、2012年は上位進出も期待された。しかしそれはうわべだけで、内実は2009、2010年と2年連続最下位に沈んだ頃と何も変わっていなかった。
 4月7日、敵地社稷でのロッテとの開幕戦はエースのリュ・ヒョンジンが打たれ1-4で敗れると、開幕3連敗となった。本拠地大田の野球場が改修中で利用できなかったため、4月の主催試合はすべて準本拠地の清州で開催した。そして11日のトゥサン戦は、パク・チャンホの韓国初登板試合ということで注目を集め、8-2でシーズン初勝利、そしてパク・チャンホの韓国初勝利となった。
 リュ・ヒョンジン、パク・チャンホ、そして打率4割以上を維持し続けたキム・テギュンとビッグネームは活躍したが、投手陣を中心に主力選手が軒並み不調で、4月は勝率3割を下回る最下位で終えた。5月になっても連勝はなく、本拠地球場が利用できるようになっても停滞し続けた。2011年リリーフで活躍したパク・チョンジン、外国人投手ボーティスタが不振で、勝ちパターンを作れなかった。キム・テギュンの4割以上の高い打率をチームの勝利が下回っていた。
 5月中に全くいいところがなかった新外国人投手バスを解雇し、代わりの外国人投手として左腕ショーン・ヘンと契約した。6月にリュ・ヒョンジンが離脱したが、キム・ヒョンミン、若手左腕ユ・チャンシクが先発に定着し、打率が落ちてきたキム・テギュンをチェ・ジンヘンやチャン・ソンホが支える形で大きく崩れることはなかった。しかし6月末から7月4日までシーズン最悪の8連敗で、7位以上から大きく離され絶望的な状況となってしまった。リュ・ヒョンジンは好投しても打線の援護がなく、まったく噛み合っていなかった。結局ショーン・ヘンも活躍できず、7月末には退団となり代わりの外国人選手も契約しなかった。その頃からボーティスタを先発、アン・スンミンを抑えに配置転換し、ともに結果を出し徐々にチームの勝率も上がってきた。
8月25日のキア戦で4-16と大敗、翌26日のキア戦でもパク・チャンホが打たれ0-6で完封負けし、4連敗となった。すると28日、異例とも言えるハン・デファ監督のシーズン中の辞任が発表され、残り試合はハン・ヨンドク監督代行が指揮を執ることになった。29日のネクセン戦は4点を先制されながらも逆転勝ちし、どん底のチームは少しでも希望を見出そうとしていた。
 9月はじめ、ハンファはようやく勝率4割を超え、リュ・ヒョンジンもプロ入り以降7年連続2ケタ勝利へと好投を続けた。キム・テギュンも打率は落ちてきたが首位打者をほぼ確実としていた。9月23日のトゥサン戦でリュ・ヒョンジンは9勝目をあげ、チームの勝率も4割2分台と夏場よりだいぶよくなっていた。だが9月末から10月1日まで5連敗とまたもや月末の連敗癖が出てしまった。10月3日のキア戦でパク・チャンホがシーズン最後の先発登板で10敗目と、自身5連敗と尻すぼみに終わった。翌4日のシーズン最終戦、リュ・ヒョンジンが10勝目をかけ先発し、打線の援護がなく10回1失点と力投したが、引き分けに終わり消化不良のまま2012年シーズンは2年ぶりの最下位で幕を閉じた。


 2012年シーズンの投打の成績を振り返る。
 チーム防御率(4.55)と8球団最下位だった投手陣が足を引っ張った。エースのリュ・ヒョンジンは不安定なリリーフと打線の援護のなさで9勝どまりだったが、210で最多奪三振のタイトルを記録した。また右のエースに成長したキム・ヒョンミン(8勝)、先発に転向したボーティスタ(4勝)と三振を取れる投手たちがそろっていた。若手ではユ・チャンシクが6勝と成長の跡を見せた。期待のパク・チャンホは5勝10敗、防御率5点台で終盤の不振など往年の力はなく、シーズン終了後の11月に現役引退を表明した。
中継ぎ陣では右のソン・チャンシクが12ホールドと結果を残した。しかし左の中継ぎパク・チョンジン、マ・イリョンの不振もあり層が薄かった。シーズン後半アン・スンミンが抑えとして16セーブをあげたために惜しまれる。2011年オフ、リリーフの柱として期待されFAでLGより移籍したソン・シニョンは期待外れで、2012年オフ特別指名によりNCへ移籍した。

 打線はチーム打率.249が8球団中7位、得点(509)は7位タイとこれまた弱かった。キム・テギュンは打率.363で見事自身初の首位打者に輝き、16本塁打、80打点と主軸としてそれなりの成績を残した。しかしチーム本塁打王のチェ・ジンヘンが17本塁打で55打点と、つながりの弱さが目立った。この2人とともに主軸となったのは、9月に2000本安打を達成したベテランのチャン・ソンホで、9本塁打、63打点の成績だった。
 またあまり機動力のない主軸の長打頼みのチームで、1番サードに定着したオ・ソンジンはチーム最多の17盗塁で数少ない希望を感じさせる存在だった。またショートのレギュラーのベテラン、イ・デスも安定した働きだった。しかし捕手、セカンド、外野のレギュラーが固定できず、また目立った若手の成長もなく苦しい状況が続いた。

 
 2012年シーズン終了後の10月中に、新監督として70歳を超えた名将キム・ウンニョン監督の就任が発表された。過去4年間で3度の最下位という奈落の底にあるチームの再建は、かつてヘテを9度の韓国シリーズ優勝に導いた老将の手に託されることとなった。またコーチ陣も大幅に入れ替わり、2012年3月にキアで現役引退を表明したイ・ジョンボム(元中日)など、ヘテ・キア色の強い首脳陣が形成された。
 2006年のプロ入団後チームを支えてきたリュ・ヒョンジンは、韓国プロ野球史上初めてポスティングによるメジャーリーグへの移籍へ成功し、約2573万ドルの大金とともにロサンゼルスドジャースへと旅立っていった。2012年5月に完了した改装工事に引き続いて、本拠地・大田ハンバッ野球場は2013年シーズンの開幕前をめどに外野席の拡張を中心とした改装工事に入った。ハンファにとって真の変革の時期が訪れている。ここ数年続く低迷からいかにして抜け出していくのか、キム・ウンニョン新監督の手腕が問われる。

(文責 : ふるりん)