2011年 プレーオフ 第5戦
SK 8−4 ロッテ (釜山・社稷)
(勝)ゴードン 2勝1敗 (セーブ)チョン・ウラム 2勝1S (敗)ソン・スンジュン 1勝1敗
(本塁打) SK : パク・チョングォン 2,3号
2勝2敗で迎え、勝ったほうが韓国シリーズ進出となるプレーオフ第5戦は本来22日に行われるはずが雨天で23日に順延され、ロッテの本拠地、釜山・社稷野球場に28500人の超満員の観客を集めた。
ロッテは1回裏、SKの先発キム・グァンヒョンから先頭打者の1番キム・ジュチャンが3塁打でチャンスをつくると、3番チョン・ジュヌのタイムリーで1点を先制した。キム・グァンヒョンは2回裏先頭打者の6番カン・ミンホに11球粘られて四球で出したところで2番手ゴードンに交代させられた。SKは3回表、2死後ロッテの先発ソン・スンジュンから1番チョン・ジュヌのヒットで出塁したが、牽制でアウトになってしまった。ロッテは3回裏も走者を3塁まで進めたが得点できなかった。
SKは4回表、1死後3番チェ・ジョンがヒットで出塁すると、4番パク・チョングォンの2ランで2-1と逆転した。ロッテは5回表2死から2番手としてチャン・ウォンジュンを登板させたが、9番イム・フン、チョン・グヌの連続ヒットでチャンスを作られ、2番パク・チェサンのタイムリーでSKが1点を追加した。チャン・ウォンジュンは1アウトも取れず3番手ブーチェック(元横浜)に交代させられ、この回SKはブーチェックの暴投でさらに1点を追加したが、またもや2塁走者が牽制死してしまった。
ロッテは5回裏、2死後キム・ジュチャンの2塁打でチャンスを作ったが、ここで登板したSKの3番手パク・ヒィスがピンチをしのいだ。するとSKは6回表、パク・チョングォンの2打席連続本塁打で2点を追加し、ここでロッテは4番手イム・ギョンワンに交代させた。そしてロッテは6回裏パク・ヒィスから5番ホン・ソンフンのタイムリーで1点を返し、代わったSKの4番手チョン・デヒョンからカン・ミンホの2点タイムリーで4-6と2点差に追い上げた。
ロッテは7回裏先頭のキム・ジュチャンがヒットで出たが、ここで代わったSKの5番手チョン・ウラムが後続を断った。SKは8回表、ロッテの4番手カン・ヨンシクからチェ・ジョンが四球を選ぶと、これまで再三の好守でチームを救っていたサードのファン・ジェギュンがパク・チョングォンの打球を取れず、無死1,2塁のピンチを招いた。ここで代わったロッテの5番手キム・サユルから5番アン・チヨン、6番キム・ガンミンのタイムリーで2点を追加した。
ロッテは9回裏相手のエラーで出塁するのがやっとで、チョン・ウラムに抑えられてしまい、SKが3勝2敗でプレーオフを勝ち抜き、史上初となる5年連続韓国シリーズ進出を決めた。(SK以外に4年連続韓国シリーズ出場を果たしたのは1986−89年のヘテのみ)
SKは1回に先制点を許した先発キム・グァンヒョンを2回途中で見限ると、5回途中まで2番手ゴードンが無失点に抑え流れを引き寄せ、パク・チョングォンの2本塁打などで逆転し、終盤に追加点を奪い得意の継投もあって余裕で逃げ切り逆転勝ちした。公式戦では最多ホールドのタイトルを獲得するなど中継ぎの柱だったが、7回途中から9回まで無失点に抑えたチョン・ウラムは、プロ8年目にしてポストシーズン初セーブ。
13安打と爆発した打線ではアン・チヨンが3安打1打点と活躍しただけでなく、2本塁打4打点と勝利の立役者となったパク・チョングォンは、見事プレーオフMVP(最優秀選手)を受賞した。2009年プレーオフ、2010年韓国シリーズに続いて、パク・チョングォンにとって3年連続ポストシーズンでのMVP受賞となり、SK版「ミスターオクトーバー」の称号をほしいままにしている。
8月にキム・ソングン監督がシーズン途中ながら更迭され、イ・マンス監督代行が率いたSKは、選手個人が自分の役割をまっとうする大人のチームで、ポストシーズンの大舞台で過去の経験と自信を発揮し、韓国シリーズの舞台へとさも当然かのように進んでいった。
(3年連続でポストシーズンでのMVPを受賞したパク・チョングォン。)
一方公式戦後半は絶好調で公式戦2位でプレーオフに出場し、準プレーオフを勝ち抜いてきたSKを待つ立場で有利だったはずのロッテは、これで2008年から2010年の3年連続準プレーオフ敗退に続いて、4年連続ポストシーズン敗退と、2011年からヤン・スンホ監督が就任しても、前任のロイスター監督時代同様短期決戦の弱さは相変わらずだった。選手層が厚く変幻自在の選手起用が巧みなSKと違って、イ・デホなど強力な打者が並ぶ打線は完全に固定され弱点がはっきりしていて、相手投手陣にとって攻略は比較的容易なのであろう。この第5戦では1番キム・ジュチャンが4安打と気を吐いたが、2番ソン・アソプが無安打とつながりを欠いていた。
なおこのプレーオフ5試合で主砲イ・デホは20打数4安打1本塁打と完全に抑えられ、第2戦の本塁打以外いいところがなかった。さらに、「勝った」という経験が2010年など近年3度の韓国シリーズ優勝を果たしているSKと比べてずっと不足している。戦力が充実し、今年こそ19年ぶりの優勝をと願う熱狂的な釜山のロッテファンたちは、チームが2008年以降抱えてきた課題を2012年シーズンにもちこしたまま、成長のないチームに対して涙と絶望にくれながら帰途についていった。
(プレーオフを通して目立った活躍が少なかったロッテの主砲イ・デホ。)
2010年に次いで2年連続で同じ対戦カード(サムソン−SK)となった2011年韓国シリーズは、10月25日18時、サムソンの本拠地・大邱で第1戦が開始される(4戦先勝制)。勝利したチームが年間総合優勝となり、台湾で開催されるアジアシリーズ2011(11月25-29日)への出場権を得る。
(文責 : ふるりん)