2009年 韓国シリーズ 第6戦
キア 2−3 SK (ソウル・蚕室)
(勝)ソン・ウンボム 1勝1敗 (セーブ)チェ・ビョンニョン 1勝1S (敗)ユン・ソンミン 1勝1敗
(本塁打) SK : イ・ホジュン 1号
キアが3勝2敗とリードし、優勝に王手をかけた韓国シリーズ第6戦は、第5戦同様中立地のソウル・蚕室野球場に29000人の超満員の観衆を集め、12年ぶりの優勝を待ち望むキアファンが半数以上を占めるキアの本拠地のような雰囲気に包まれていた。なお始球式は人気俳優のチャン・ドンゴンがつとめた。
試合はSKの先発がソン・ウンボム、キアの先発がユン・ソンミンで始まった。キアは1回表1死から2番イ・ヨンギュがヒットで出塁し、すかさず2塁へ盗塁を決めた。そして2死から3塁へ盗塁を試みたが失敗し先制点のチャンスを逸した。また2回表1死から5番キム・サンヒョンがヒットで出塁したが、6番イ・ジョンボム(元中日)が2-3のフルカウントからエンドランに失敗し三振、そして1塁走者も2塁で刺されるなど、ちぐはぐな攻撃が続いた。するとSKは2回裏これまで不振が続いていた6番イ・ホジュンの本塁打で1点を先制し、3回裏先頭の1番パク・チェサンが2塁打で出塁すると、2番チョン・グヌが手堅くバントで送り、3番パク・チョングォンの犠牲フライで1点を追加した。
キアは4回表1死から3番ナ・ジワンがヒットで出塁し、2死からキム・サンヒョンのライトポール際への大きな当たりは一瞬本塁打かと思われたがファールと判定され、これに対しキア側が抗議し、韓国シリーズ史上初のビデオ判定の結果、判定は覆らずキアの選手やファンたちからはため息がこぼれた。結局キム・サンヒョンは四球で歩き、2死1,2塁と同点のチャンスを作ったが、イ・ジョンボムが内野フライに倒れてしまった。するとSKはその裏先頭のイ・ホジュンがヒットで出塁し、7番ナ・ジュファンがバントで2塁へ送り、1死後9番チョ・ドンファのタイムリーで確実に1点を追加し、3−0とリードを広げた。ソン・ウンボムは5回を三者凡退に抑えるとこの回でマウンドを降り、ユン・ソンミンも5回3失点でマウンドを譲った。
キアは6回表SKの2番手イ・スンホ(背番号20)から先頭1番キム・ウォンソプがヒットで出塁するが、後が続かなかった。また7回表1死からイ・ジョンボムがセカンドのグラブをはじく内野安打で出塁したが、代打チャ・イルモクが最悪の内野ゴロ併殺打に倒れるなど、流れをつかめない。SKは7回裏キアの2番手クァク・チョンチョルから先頭のチョン・グヌがヒットで出塁するが、ここは先ほどの回で併殺打に倒れマスクをかぶっていた捕手チャ・イルモクの好送球でチョン・グヌの盗塁を阻止した。2死から途中出場の4番キム・ガンミンへ死球を与えたところでキアは3番手イ・デジンに交代し、続く5番チョン・サンホにヒットを打たれたが、先制本塁打を打たれているイ・ホジュンを抑え、追加点を与えなかった。
するとキアは8回表SKの3番手コ・ヒョジュンから9番イ・ヒョンゴン、1番キム・ウォンソプの連打で1死1,2塁のチャンスを作った。ここで代打イ・ジェジュは凡退したが、続くナ・ジワンが四球を選び2死満塁となり、ここでチェ・ヒィソプが2点タイムリーを打ち、キアが1点差に迫った。ここでSKは4番手として先発要員のチェ・ビョンニョンを登板させ、続くキム・サンヒョンを内野ゴロに打ち取り最大のピンチをしのいだ。
(8回裏チェ・ヒィソプのタイムリーで1点差に迫ったキア。)
SKは8回裏1死から8番チェ・ジョンがヒットで出塁し、キアは1死後この試合当たっているパク・チェサンに対して先発要員の4番手の左腕ヤン・ヒョンジョンを登板させた。パク・チェサンはライトへヒットを打ったが、ここでイ・ジョンボムが3塁への好送球で1塁走者を刺し、反撃に向けて士気を高めた。しかしキアは9回表チェ・ビョンニョンの前に三者凡退に終わってしまい、SKが3−2で接戦を制し、2009年の韓国シリーズは3勝3敗のタイとなり、決着は第7戦へと持ち込まれた。
第5戦で完封負けを喫したSKは、ユン・ソンミンからそつのない攻撃で4回までに3点を奪い、得意の継投でキアの反撃を何とか抑えきり、トゥサンとのプレーオフ同様土壇場での強さを示した。5回を無失点に抑えたソン・ウンボムはプロ7年目にしてポストシーズン初勝利。打線ではパク・チェサンが3安打1打点と活躍。
優勝まであと1勝としながら、韓国シリーズ3連覇を狙うSKの底力を見せ付けられたキアは、1回、2回の盗塁失敗による拙攻が響き、先発ユン・ソンミンも第2戦より調子が悪く、5回3失点で敗戦投手となってしまった。終盤のチェ・ヒィソプのタイムリーやイ・ジョンボムの好返球など勝利への執念は見せたが、あと一歩届かなかった。
3勝3敗で迎えた韓国シリーズとしては、2000年の現代−トゥサン以来9年ぶりとなる第7戦までもつれ込んだキアとSKの激闘は、24日14時からの第7戦でいよいよ決着がつくこととなり、予告先発はキアがガトームソン(元福岡ソフトバンク、26試合、13勝4敗、防御率3.24)、SKがグローバー(元読売、20試合、9勝3敗1S、防御率1.96)と発表された。開幕前のWBC(ワールドベースボールクラシック)準優勝、史上最多の観客動員数592万人と、人気が最高潮に達した2009年シーズンの締めくくりにふさわしい好勝負が期待される。
(文責 : ふるりん)