DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第7回 ロッテジャイアンツ

2007年成績 : 55勝68敗3分 公式戦7位

 大都市釜山の熱狂的なファンを毎年落胆させているロッテは、2007年は7年ぶりのポストシーズン進出を狙ったが、はかない夢に終わった。

 示範競技(シボムキョンギ、オープン戦に相当)で2位と好成績を残したロッテは、今年こそやってくれるのではないか、とファンに甘い期待を抱かせた。そして4月6日からの現代との開幕3連戦で3連勝と最高のスタートを切り、10日の本拠地・社稷(サジク)野球場での地元開幕戦では3万人の満員の観衆が集まった。開幕10試合で6勝4敗と悪くない滑り出しで、投打ともに状態はよく4月は11勝10敗と勝ち越し4位につけた。
 5月10日には、2007年も主砲として期待されながら、キャンプ中の負傷などで出遅れわずか1本塁打しか打てなかった外国人ホセが退団し、代わりの外国人野手としてエドゥアルド・リオスが入団した。チームは5月になっても勝率5割前後を維持し、17日には2位に浮上した。19日、20日社稷でのハンファ戦には土日ということもあり3万人の満員の観衆が詰め掛けたが勝つことができず、22日には4連敗で5位に後退した。29日から31日にはまた社稷でハンファに3連敗してしまい、5月は9勝13敗2分と負け越し、首位ハンファと4.5ゲーム差の6位で終えた。
 
 6月になるとチームは下降線をたどりだし、混戦模様の上位との差が開き始め15日には苦手のハンファに敗れ7位に後退した。16日には対ハンファ戦の連敗を7で止めたが、勢いに乗れず上位とのゲーム差を詰められなかった。29日社稷でのサムソン戦に敗れ4連敗となると、スタンドにはカン・ビョンチョル監督の辞任を求める横断幕まで掲げられた。翌30日には連敗を止めたが、6月は10勝13敗と2ヶ月連続で負け越し、首位SKと10.5ゲーム差、4位LGとは3.5ゲーム差の7位に低迷し、公式戦4位以上に与えられるポストシーズン進出が厳しくなってきた。

 7月になると、4日には6位に浮し5日まで2007年初の5連勝となったが、7日には苦手の首位SKに敗れ7位に後退した。13日には現代を抜きまた6位に浮上し、期待に応えられなかったリオスを退団させ、2007年3人目の外国人野手としてロベルト・ペレス(元オリックス)を3年ぶりに復帰させた。だがオールスター前の前半戦は結局7位で折り返し、後半戦に巻き返しを図ることとなった。
 社稷でのオールスター戦は、逆転2ランを打ちMVPを受賞したチョン・スグンや、イ・デホ、カン・ミンホなど地元ロッテ勢の活躍が目立った。この勢いが続いたのか、28日までに4連勝し6位にまた浮上し、7月は9勝9敗1分と負け越しは免れたが7位に後退して終えてしまった。

 6位争いをしている現代が8月になり調子を落としたこともあり、12日にまた6位に浮上すると、17日までに4連勝し5位LGとの差を詰め4位以上進出に希望が出てきた。だが8月28日から31日まで4連敗し、5位LGとのゲーム差が6まで開いてしまい、4位進出は絶望的となった。結局8月も10勝14敗と負け越してしまった。
 9月以降は現代との6位争いに終始し、9月下旬には最大2.5ゲーム差をつけたが、10月1日ゲーム差はなかったものの勝率で下回り51日ぶりに順位を抜かれた。そして5日の今季最終戦となったサムソン戦に勝ったものの7位が確定した。9月以降も6勝9敗とさえない成績で、今後にあまり希望を感じさせない戦いを続けた。


 投手陣を見てみると、先発陣ではエースのソン・ミンハンが13勝し貫禄を見せた。若手左腕チャン・ウォンジュンも自己最多の8勝を記録したが、不安定な投球内容が目立った。2006年は米国マイナーリーグでプレーしたチェ・ヒャンナムは先発としての活躍が期待されたが、前半戦好投するものの勝ち運に恵まれず、そ後半戦は不振に陥り、9月以降の登板がなく5勝にとどまった。また同じくマイナーリーグ出身で新戦力として期待されたソン・スンジュンは後半戦から先発に定着し5勝をあげ、今後に期待が持てる。
 中継ぎでは兵役から復帰したイム・ギョンワンがチーム最多の65試合に登板し、7勝をあげる活躍だった。速球派の若手右腕チェ・デソンも前半戦は活躍したが、夏場に不振で2軍落ちしたあと1軍に復帰できなかったのが痛かった。抑えのカブレラは22セーブをあげたが、制球難もあり失敗も少なくなく他球団の抑えと比べるとやや見劣りし、オフに戦力外となった。チーム防御率は4.12と8球団中5位で他球団に大きく見劣りする投手陣ではなかったが、継投の失敗などが目立ち数字以上にもろさを感じさせた。
 

 打線では何と言っても、2006年史上2人目の打撃三冠王となったイ・デホが不動の4番として活躍し、打率.335、29本塁打、87打点と圧倒的な成績で他の打者との格の違いを見せ付けた。だがイ・デホの回りを打つ人材が弱く、打撃面でも存在感のあった正捕手カン・ミンホが14本塁打を打った以外は、長打が期待できる選手が少なかった。
 チーム打率は.270と8球団中2位だったが、76本塁打は8球団中7位のチーム本塁打数と長打力不足で、チーム盗塁数は67個と6位で足を使った攻撃も少なかった。チョン・ボミョン、イ・ウォンソク、パク・ヒョンスンなど短打で出塁できる選手はそろっていたが、ランナーを確実に返せる打者が不足していた。7月に入団したペレスは7本塁打を打ったが、調子に波があり常時スタメン出場できず戦力外となった。
 兵役から復帰したキム・ジュチャンがレギュラーとして活躍し、22盗塁を記録し今後に希望を見せた。人気選手チョン・スグンは打撃、走塁共にムードーメーカとして存在感を見せたが、近年は怪我が多く年間を通して活躍できない。
 守備面ではショートのパク・キヒョク以外の内野陣に不安が目立った。また、外野陣は不動のレギュラーと呼べる選手が見当たらず、連携に不安な点が目立った。2007年攻守共に成長を見せていたイ・スンファの負傷による離脱も大きかった。

 チームごとの戦績を見てみると、2位トゥサンには10勝8敗と勝ち越し、4位サムソンには9勝9敗と互角の戦いをするなど健闘したが、優勝したSKには4勝14敗、3位ハンファには6勝12敗、5位LGに5勝10敗3分と大きく負け越してしまったのが響いた。特にハンファには本拠地社稷でまったく勝てなかった。

 シーズンオフには契約期間の切れたカン・ビョンチョル監督との契約を更新しないことにし、新監督を探すこととなった。そして姉妹球団千葉ロッテの仲介もあり、韓国プロ野球史上初の外国人監督となる米国出身のジェリー・ロイスターを新監督してと迎えることになり、球界に衝撃を与えた。メジャーリーグでの監督経験もあるロイスター新監督が、優勝から見放されているロッテをどのように変えていくかが注目されている。
 だが、大胆に外国人監督を起用しても、他球団に決して見劣りはしない戦力がありながら、投打がかみ合うことがなく上位へ進出できないチーム体質、トレードで出した選手が他球団で活躍してしまい、取ってきた選手が活躍しないだけでなく、チーム強化方針が一定しないフロントの見識のなさなどを変えることは至難の技である。また、チームをプレーで引っ張りまとめあげるキャプテンシーのある選手が見当たらない。韓国ナンバー1とも言われる熱狂的かつ圧倒的な応援で知られるファンたちの情熱が報われる日が来るのは、いったいいつになるのであろうか。
(文責:ふるりん)