DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第5回 LGツインズ

2007年成績 : 58勝62敗6分 公式戦5位

 2006年は投打ともに惨憺たる成績で、球団史上初の最下位に低迷し、イ・スンチョル監督がシーズン途中で辞任するなど屈辱の1年となったため、今季は現代を4度韓国シリーズ優勝に導いた名将キム・ジェバクを新監督に迎えた。長年チームの顔で生え抜きのスター選手だったイ・ビョンギュは日本プロ野球・中日へ進出したが、トゥサンのエースとして活躍しFAとなっていたパク・ミョンファン、元メジャーリーガーのポン・ジュングン、新外国人としてサムソンで活躍した投手ハリッカラ、日本プロ野球福岡ダイエーで活躍したバルデスなどを獲得し、補強も抜かりなく行った。ただ、ここ数年下位に低迷していたこともあり、全体的な選手層の薄さは解消されていない感があった。

 示範競技(オープン戦に相当)では3勝7敗と最下位に低迷し今後が大きく不安視された。4月6日の開幕戦では新しいエースとして期待されたパク・ミョンファンの好投もあり、キア相手に1−0で完封勝ちすると、その後投打ともにかみ合い11日から6連勝するなど上々のスタートを切り、4月は10勝9敗と勝ち越しサムソンと同率の2位につけた。パク・ミョンファンは開幕8連勝と期待にこたえる活躍で、先発投手陣の軸となった。
 5月になると調子を落とし、6日には4連敗で最下位に転落した。13日に勝率5割に復帰すると、17日には3位に浮上し29日までその座を守った。5月も11勝10敗2分けと2ヶ月連続で勝ち越し、首位ハンファと2ゲーム差の4位につけ上位に残った。2006年はこの時期最下位争いをしていたことから考えると大健闘であり、ファンたちも球場に戻り、今季は同じ蚕室(チャムシル)野球場を本拠地とするトゥサンに1度持っていかれた観客動員数1位の座を奪い返した。

 6月になっても勝率5割前後をうろうろし続け、9日には低迷していたサムソンに抜かれ5位に、12日にはロッテに抜かれ7位にまで後退し、13日にはエースのパク・ミョンファンの開幕からの連勝が止められ、チームも4連敗と混戦の上位争いから取り残されだした。だが14日には6位に浮上し、ここから5連勝で19日には4位に再浮上した。だがここから首位を独走しだした対SK戦3連敗など24日まで4連敗で6位にまた後退し、上位定着はならなかった。その後持ち直し6月は12勝13敗と負け越したが、勝率5割以上は何とか守り首位SKと7ゲーム差の4位と、2位トゥサンとは2.5ゲーム差につけ、2位争いに望みをつなげた。
 7月は5日まで4連勝と幸先のよいスタートを切り、オールスター戦前の前半戦は貯金1、首位SKと7.5ゲーム差の4位とここ数年では最高の成績を残し、5年ぶりのポストシーズン進出に期待を抱かせた。26日には5位に後退したものの、29日には4位に再浮上し、31日には3位にまで浮上し、7月は9勝7敗3分けと勝ち越し首位SKは6.5ゲーム差と遠かったものの2位トゥサンと1ゲーム差にせまった。また、活躍を期待され6勝していたものの防御率が5点台と不安定な投球を続けていたハリッカラが退団し、代わりに新外国人投手オクスプリング(元阪神)が入団した。

 7月後半から4チームが2,3ゲーム差内にひしめく2位争いは混沌としていたが、LGは8月2日に4位、3日に5位に後退し、勝率5割前後はキープするものの、サムソン、ハンファ、トゥサンなどを捕らえきれなかった。18日には4連敗で背後に6位ロッテの影が迫ってきていたが、30日までに対ロッテ戦3連勝を含む5連勝でロッテを4位争いから脱落させ、以前5位だったが4位ハンファに0.5ゲーム差と迫った。だが31日と9月2日のハンファとの直接対決で連敗し、その後引き分け1つをはさみ5連敗と4位争いから脱落していった。
 8月は11勝12敗とまだよかったものの、9月以降は懸念されていた選手層の薄さが露見してしまい、上位チームとの直接対決に勝てず、下位チームにも取りこぼし、28日のSK戦に敗れ相手の公式戦優勝の胴上げを見せられると、10月1日のハンファ戦にも敗れ5位が確定し、5年ぶりの公式戦4位以上、ポストシーズン進出はならなかった。9月以降は5勝11敗1分けと息切れして失速し、これまでの健闘が台無しになってしまった。
 
 投手陣について見ると、エースとして期待されたパク・ミョンファンは中盤以降勝てず10勝にとどまったものの、1年を通してローテーションを守り続け防御率も3.19と安定した内容だった。元メジャーリーガーの左腕ポン・ジュングンは故障もあり1年を通して投げられず、6勝どまりで防御率も5点台と期待を裏切ったが、ベテラン右腕のチェ・ウォンホが主に前半戦で活躍して7勝し、若手のチョン・ジェボクも中継ぎに先発に奮闘し6勝するなど、生え抜きの選手たちが健闘した。シーズン途中入団のオクスプリングも、勝ち星には恵まれなかったが安定した投球内容で4勝した。
 リリーフ陣だが、終盤戦では打たれる試合が多かったが右サイドハンドのウ・ギュミンが守護神に定着し、自身初の30セーブを記録した。中継ぎ陣は、右のキム・ミンギが7勝し、シム・スチャンなども奮闘した。またチーム最多の81試合に登板した左のワンポイントのリュ・テッキョンは、自身初の最優秀中継ぎ(ホールド王)を受賞した。
 
 打線では、何と言っても1番イ・デヒョンが自身初の規定打席に達し、打率3割を記録しただけでなく、快足を生かし53盗塁で自身初の盗塁王に輝いた。中軸では長打を期待されたバルデスが、本拠地が広い蚕室野球場だったこともあり13本塁打に終わったものの、36歳のベテランのチェ・ドンスがプロ14年目にして打率3割と自身最高の成績を残し、中盤戦以降は勝負強い打撃で4番に定着したのが大きかった。また生え抜きの主力外野手パク・ヨンテクは3年連続で全126試合に出場し、チーム最多の14本塁打を記録した。また正捕手チョ・インソンは下位打線で存在感を示し、チーム最多の73打点を記録した。
 守備ではショートを守るクォン・ヨングァンにエラーが多く、チーム全体の失策数も8球団中2位と不安定だった。だが、生え抜きのベテランのイ・ジョンヨルが主にセカンドを守り攻守ともに存在感を示し、内野陣を引き締めた。外野ではイ・デヒョンが広い守備範囲を生かしてセンターに定着し、イ・ビョンギュの穴を埋めた。正捕手チョ・インソンは相変わらずの強肩で、投手陣のリードも巧みだった。

 球団別の対戦成績を見ると、優勝したSK、3位ハンファには6勝12敗、2位トゥサン、4位サムソンには7勝10敗1分と上位チームにはすべて負け越した。その反面、6位現代には10勝7敗1分、7位ロッテには10勝5敗3分、最下位キアには12勝6敗と下位チームにはすべて勝ち越していたが、上位チームに勝てなかったことが5位止まりだった最大の原因となっていた。また8球団中最多の引き分け6試合と、粘り強く戦うものの勝ちきれないチームの体質も明らかになった。

 こうしてみると、補強した選手よりも以前から在籍していた選手たちがキム・ジェバク体制になって心機一転し、ここ数年チームに漂っていた停滞感から抜けだし活躍し、8月まで上位争いをする健闘を見せたといっていいだろう。この勢いを来季まで続けることができれば、今度こそ久しぶりのポストシーズン進出に成功するであろう。

 オフにはチン・ピルジュン、マ・ヘヨンなど他球団から移籍してきたが活躍できなかった大物ベテラン選手を切り捨て、来季の外国人選手としてはサムソンで活躍した投手ブラウン(元阪神)、韓国2年目となるオクスプリングの2人と契約し、打撃で存在感を示せなかったバルデスは退団することとなった。投打ともに若手が成長し選手層を厚くすることも、今後のチームの躍進には不可欠である。
(文責:ふるりん)