DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2023年 シーズン展望 第10回 ハンファイーグルス

積極的な補強で3年連続最下位脱出へ 

 2022年はチーム史上最多のシーズン96敗を喫し、3年連続最下位に終わった。さしたる補強をしなかった過去2年間と異なり、LGツインスからチェ・ウンソン、サムソンライオンズからオ・ソンジン、SSGランダースからイ・テヤンと3名のFA(フリーエージェント)選手と契約した。さらにNCダイノスからFAとなっていたイ・ミョンギをサインアンドトレードの形式で補強した。就任3年目の外国人監督であるスベロ監督にとっては3年連続最下位からの脱出、プロ野球タイ記録となる4年連続最下位の回避が第一の目標となる。

【投手陣】

〈先発〉 
ペーニャ、◎スミス、キム・ミヌ、チャン・ミンジェ、ナム・ジミン、ムン・ドンジュ
〈リリーフ〉
キム・ジョンス、◎イ・テヤン、チャン・シファン、ユン・デギョン、チュ・ヒョンサン、△キム・ボムス、△チョン・ウラム、カン・ジェミン

注 : △は左腕

 2022年において外国人投手が十分な成績を残せなかったのが低迷の大きな要因になったため、韓国2年目のペーニャ、新外国人選手のスミス(元埼玉西武)は先発投手陣の軸として機能することが必須だ。韓国人選手では33歳のチャン・ミンジェが最多の7勝と層の薄さが目立った。3年連続最下位脱出のためには、22歳のナム・ジミン、19歳ながら時速150km台後半の速球を投げるムン・ドンジュなど若手の成長が欠かせない。

 先発、リリーフの両方で起用できる経験豊富な右腕イ・テヤンが古巣に復帰し、選手層は確実に厚くなった。抑えとしては37歳の左腕で経験豊富なチョン・ウラムか、まもなく26歳で2023年9~10月の杭州アジア競技大会野球韓国代表への選出を目標とするサイドハンド右腕のカン・ジェミンのどちらかになると思われる。また時速150km以上の速球を投げ高い素質の片りんを見せる高卒新人キム・ソヒョンにも登板の機会が与えられそうだ。


【打撃陣】

〈先発予想〉

捕手:チェ・ジェフン

一塁:△キム・インファン

二塁:△チョン・ウヌォン

三塁:ノ・シファン

遊撃:パク・チョンヒョン

外野:◎△オグレディ、◎チェ・ウンソン、△ノ・スグァン

DH:キム・テヨン 

〈控え〉
(捕手) パク・サンオン、ホ・グァンフェ
(内野手) ◎△オ・ソンジン、△イ・ドユン、△イ・ソンゴン、△ハ・ジュソク

(外野手) ◎△イ・ミョンギ、イ・ジニョン、イ・ウォンソク、△チャン・ジンヒョク、チャン・ウンホ

注 : ◎は新加入、△は左打者。
 打撃陣で最も注目を集めるのはFAとなりLGから移籍してきた外野手チェ・ウンソンである。LGでは2020年から2022年まで80打点以上を記録し、4番打者を任せられる勝負強さが特徴である。他にもFAとなりサムソンから古巣へ復帰した内野のユーティリティプレイヤーのオ・ソンジン、外野のレギュラー定着の可能性もあるイ・ミョンギも加わり、野手の層は確実に厚くなった。新外国人選手オグレディ(元埼玉西武)にも中軸としての働きが求められる。

 生え抜きの遊撃手ハ・ジュソクが飲酒運転発覚による長期の出場停止処分を受け、その穴を埋めるため23歳のチョン・ウヌォン、22歳のノ・シファン、21歳のパク・チョンヒョンなどの若手野手にはまたとないチャンスとなり、結果を残し杭州アジア競技大会野球韓国代表への選出が目標となる。2022年に16本塁打でレギュラーに定着した左の大砲候補キム・インファンは29歳と遅咲きで、才能あふれる若手との激しいレギュラー争いが刺激となるであろう。また示範競技では高卒新人の内野手ムン・ヒョンビンが活躍し、チームにさらなる勢いをもたらす存在となる可能性を秘める。 


【本拠地】
 大田・ハンファ生命イーグルスパーク

 大田(テジョン)は韓国中西部の地方都市で、ソウルから南部への鉄道・高速道路の分岐点と交通の要所にある。1986年の球団創設以来本拠地としてきたハンバッ総合運動場野球場は、プロ野球開催時に「ハンファ生命イーグルスパーク」の名称で呼ばれる。収容人数は1万人台と、近年のプロ野球本拠地としては比較的小さい規模であるが、通路に売店が充実し快適な観戦環境が提供されている。それでも他球団の本拠地と同じ2万人以上収容の新球場の建設工事が、2025年シーズンからの使用開始を目標に近くの敷地で始まった。

 応援ステージは1塁側に設けられ、2008年以降の15年間でポストシーズンに進出したのが2018年だけと下位に低迷し続けているが、ファンたちは惜しみない熱意で応援を続けている。それでありながらも地方のプロ野球本拠地らしいのんびりしたムードが漂う独特の雰囲気を味わってほしい。

[交通アクセス]

Korail、大田都市鉄道1号線大田駅からバス(111-1番など)、タクシーで10分程度。
大田都市鉄道1号線・中央路(チュンアンノ)駅から111番バス、タクシーで5分程度。

 

(文責:ふるりん