DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

ポストシーズン速報(10.31)

2022年韓国シリーズ:SSGランダース-キウムヒーローズ、メディアデー開催


 2022年プロ野球ポストシーズンはいよいよ年間優勝を決める韓国シリーズへと入り、11月1日よりレギュラーシーズン優勝・SSGランダース、LGツインスとのプレーオフに勝利したキウムヒーローズが対戦する。気温が上がらない11月半ばからの開催で、全試合室内の高尺スカイドームで行われた2020年と2021年の韓国シリーズと異なり、第1,2戦、第5戦以降はSSGの本拠地・仁川SSGランダースフィールドで開催される。

 韓国シリーズ開幕を前日に控えた10月31日14時より、仁川SSGランダースフィールドにて韓国シリーズ恒例のメディアデーが実施された。SSGからはキム・ウォンヒョン監督とチェ・ジョン、ハン・ユソム、キウムからはホン・ウォンギ監督とイ・ジョンフ、プイーグが出席した。席上で第1戦の予告先発が発表され、SSGキム・グァンヒョン(※ 28試合・13勝3敗・防御率2.13)、キウムアン・ウジン(※ 30試合・15勝8敗・防御率2.11)と発表された。

2022年韓国シリーズメディアデー https://isplus.com/2022/10/31/sports/baseball/20221031192629169.html

 先に4勝したほうが2022年シーズンの年間優勝となる。9回を終えても同点の場合延長戦となり、15回を終えても決着がつかなかった場合は引き分けとなる。SSGは前身のSKワイバーンス時代の2018年以来5度目の優勝、キウムは初優勝を狙う。

(※ 2022年レギュラーシーズンの成績。)

 なお、10月29日のソウル特別市・梨泰院での死亡事故を受け、韓国では11月5日まで国家を挙げての哀悼期間となったため、韓国シリーズでは恒例の始球式、チアリーダーや音響機器による応援活動、火薬による演出などはなく、試合前には犠牲者に対する黙祷が捧げられる。


【2022年 韓国シリーズ:SSGランダース-キウムヒーローズ 日程】

第1戦 : 11月1日   18時半  仁川

第2戦 : 11月2日   18時半  仁川

第3戦 : 11月4日   18時半  ソウル・高尺

第4戦 : 11月5日   14時   ソウル・高尺

第5戦 : 11月7日   18時半  仁川

第6戦 : 11月8日   18時半  仁川 

第7戦 : 11月9日   18時半  仁川 

 

【韓国シリーズ 展望】

 2000年に球団が創設され、2021年シーズン開幕前にSSGグループに譲渡されたSKワイバーンスは2007年、2008年、2010年、2018年と4度の韓国シリーズ優勝に輝いた。SKとして最後のシーズンだった2020年は9位に低迷し、SSGランダースとして最初のシーズンだった2021年は6位とポストシーズン進出まであと一歩及ばなかったが、2022年レギュラーシーズンは開幕10連勝の勢いそのままに最後まで首位の座を譲ることがなく優勝し2019年のプレーオフ以来3年ぶりのポストシーズン、4年ぶりの韓国シリーズ進出を決めた。選手やコーチとしてSKの韓国シリーズ優勝に貢献してきた投手出身のキム・ウォンヒョン監督は、就任2年目にしてSSGとしての韓国シリーズ初優勝を狙う。

 SSGのレギュラーシーズン優勝の原動力はチーム総得点1位タイ(720)、チーム本塁打数1位(138)の攻撃陣だった。35歳でチーム最多本塁打(28本)のチェ・ジョン、33歳でチーム最多打点(100)のハン・ユソムのベテラン2名が打線の核となり、40歳の元メジャーリーガーの外野手チュ・シンス、20歳で一軍に定着し13本塁打を記録した左打者チョン・ウィサンなどが中軸を打った。またチーム唯一の144試合出場を果たしチーム最多の盗塁数(31)を記録した俊足巧打の外野手チェ・ジフン、シーズン途中の7月にクロン(元広島)の代役として契約し攻守ともに元メジャーリーガーとしての実力を見せた外国人選手ラガーレス、24歳で攻守ともに大きく成長した左の遊撃手パク・ソンハンなどがチャンスメイカーとしてお膳立てに回った。また40歳でチーム最年長の外野手キム・ガンミンも経験を生かして大舞台で本領を発揮すると思われる。

 一方チーム防御率(3.87)は10チーム中4位だった。先発投手陣の中心はSK時代からエースとして活躍、MLBセントルイスカーディナルスから復帰した34歳の左腕キム・グァンヒョンで、韓国に復帰した2022年はチーム最多タイの13勝と結果を残した。韓国2年目の右腕フォントはチーム最多タイの13勝、シーズン途中の7月から契約した左腕モリマンドは7勝と、結果を残した外国人選手2名にキム・グァンヒョンを合わせた3名が先発投手陣の三本柱となる。ほかには21歳の左腕オ・ウォンソク、リリーフもこなせる右腕イ・テヤンなどが先発投手の候補に挙がる。

 また先発、リリーフともに起用できる38歳のベテラン右腕ノ・ギョンウンは、ロッテから移籍した新天地SSGで自身最多タイの12勝とレギュラーシーズン優勝に大きく貢献した。一方でレギュラーシーズン終盤にはチーム最多の21セーブの右腕ソ・ジニョン、17セーブの左腕キム・テッキョンがともに不安定な投球を続け抑えの切り札が不在となり、独走態勢に陰りが見えてしまい韓国シリーズに向けて最大の不安材料となった。こうした事情もあり、かつては先発として活躍しこの2名に代わる抑えとして起用されるも結果を残せなかったムン・スンウォン、アンダースローのパク・チョンフン、39歳の左腕コ・ヒョジュンなど経験豊富な選手たちも含めて、中継ぎ、抑えなど継投策は対戦する打者たちを見て慎重に検討していくと思われる。

 SSGは10月8日にレギュラーシーズン全日程を終え、韓国シリーズまでは3週間以上も空いてしまったため、10月23日と27日にトゥサンと練習試合を行い試合感覚の維持に努め準備を万端にした。

 

 第5戦まで行われた準プレーオフでKT、第4戦まで行われたプレーオフでLGに勝利し韓国シリーズに出場したキウムヒーローズはSSGと比べて9試合余計に消化し、韓国シリーズ第1戦まで3日間休息できたとは言え、投手陣を中心に疲労が累積していると思われる。攻撃陣ではプレーオフでMVPと絶好調でプロ野球界を代表する打者に成長したイ・ジョンフ、プレーオフで2本塁打と好調のプイーグが圧倒的な存在感を見せ、キム・ヘェソン、ソン・ソンムン、イ・ヨンギュ、キム・テジンなどの脇役たちも勝利に貢献した。また準プレーオフプレーオフで試合を決定づける本塁打が印象的だったイム・ジヨルがポストシーズンならではのラッキーボーイとなった。第5戦、第6戦ともつれるほど体力的に不利になってくるため、キウムとしては打線の爆発で早めに決着をつけたいところだ。

 投手陣に関してはポストシーズンでこれまで3試合に登板し、レギュラーシーズンと同様に奪三振能力の高さを見せているアン・ウジンが第1戦の予告先発になり、先発投手陣の柱として期待は大きいが、これまでの疲労が隠せなくなり球威が落ちてくると考えられる。第2戦以降ではエップラー(元オリックス)、ヨキシュの外国人選手が先発すると思われるが、SSGと比べると層の薄さが目立つ。プレーオフではリリーフで好投した右腕チェ・ウォンテが先発することも考えられる。リリーフでは中継ぎの20歳の若手右腕キム・ドンヒョク、抑えとして起用された左腕キム・ジェウンが好調で、韓国シリーズでも期待がかかる。

 

 チーム状態ではSSGが圧倒的に有利であるが、短期決戦では何があるかわからない。多くの人命が失われた痛ましい事故で落胆している国民を勇気づけるためにも、新たな黄金時代を開こうとするSSGと、プロ野球界最高の打者イ・ジョンフを擁するキウムとの熱戦に期待したい。

 

(文責:ふるりん