DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

プレーオフ:LG-キウム、第1戦(10月24日)予告先発など

 2022年ポストシーズンプレーオフへと進み、レギュラーシーズン2位:LGツインスと準プレーオフ勝者のキウムヒーローズ10月24日より対戦する。2020年までと同じく5戦3先勝制で先に3勝したチームが11月1日より韓国シリーズでレギュラーシーズン1位:SSGランダースと対戦し年間総合優勝を争う。

 

【2022年プレーオフ:LG-キウム 日程】

第1戦:10月24日18時半 ソウル・蚕室

第2戦:10月25日18時半 ソウル・蚕室

第3戦:10月27日18時半 ソウル・高尺

第4戦:10月28日18時半 ソウル・高尺

第5戦:10月30日14時  ソウル・蚕室

注:延長は15回までで引き分けの場合は翌日以降に再試合となる。

 

 第1戦の予告先発LGケリー(※27試合・16勝4敗・防御率2.54)、キウムエップラー(※33試合・6勝8敗・防御率4.30)と発表され、外国人選手投手の対決となった。

※ 2022年レギュラーシーズンの成績。

 

プレーオフ展望】

 LGとキウム(2019年までネクセン)のポストシーズンでの対戦は2019年準プレーオフ以来となり、過去の対戦成績はキウムが2勝1敗と勝ち越している。特にネクセンとLGがプレーオフで対戦した2014年はネクセンが勝利し、初の韓国シリーズ出場を果たしている、過去の結果はともかく、2022年のLGとキウムはレギュラーシーズンで2位と3位、さらに7ゲーム差と小さくない実力差が数字にも表れている。

 

 LGのチーム総得点713は10チーム中3位で、比較的攻撃力は高い。打線の中心はベテランのキム・ヒョンスで、チーム最多打点(106)、チーム2位の23本塁打を記録した。また自身最高の打撃成績を残したショートのオ・ジファンは25本塁打、87打点、20盗塁と攻走守において非常に重要な存在である。この2人に挟まれる形で主に4番打者を任されてきたチェ・ウンソンは83打点を記録している。この3人にチャンスを提供する1番打者パク・ヘミンはFA(フリーエージェント)でサムソンから移籍し、チーム最多の165安打、24盗塁と期待通りの数字を残した。

 そのほかにも攻守に大きな成長を見せた22歳の内野手ムン・ボギョン、故障がちだったが高い出塁率の外野手ホン・チャンギ、長打力が自慢で13本塁打を記録した23歳のイ・ジェウォンなどの打者がそろっている。だがルイーズ、ガルシアの2名は成績不振でシーズン途中で自由契約となり、キウムのプイーグなどのようにチャンスでの長打が期待できる外国人選手がいないのは弱点といっていい。

 LGの投手陣は防御率3.33と10チーム中1位で、レギュラーシーズンを独走して優勝するかと思われたSSGを終盤まで追いつめることができた。先発投手陣の柱は最多勝(16勝)の個人タイトルを受賞した韓国4年目の外国人選手ケリーであり、プレーオフでも第1戦の予告先発となった。もう1人の外国人選手プルトコも韓国1年目で15勝と活躍した。ほかには21歳で12勝を記録したイ・ミンホ、22歳の左腕キム・ユンシクなどが先発すると思われる。

 LGはリリーフ陣の層も厚い。24歳で初の最多セーブ(42)の個人タイトルを受賞したコ・ウソク、23歳で2度目の最多セーブ(35)の個人タイトルを受賞したチョン・ウヨンの2名が軸となる。37歳でチョン・ウヨンと並びチーム最多登板(67試合)のキム・ジンソン、イ・ジョンヨン、チン・ヘス、キム・デユなど左右がそろい非常に手堅い。

 

 これに対してKTとの準プレーオフで10月22日の第5戦まで決着がもつれ、中1日でプレーオフに臨むキウムは戦力的に苦しい。

 攻撃陣に関しては首位打者・打点の二冠王イ・ジョンフ、長打力のある外国人選手プイーグの2名が好調で、下位打線ではソン・ソンムンが期待通りの勝負強い打撃で勝利に貢献してきた。また準プレーオフでは長打力はなく俊足巧打のキム・ヘェソンが4番打者となり、3番イ・ジョンフ、5番プイーグを橋渡しする役割で活躍した。選手層はLGと比べると厚いとは言えないが、イム・ジヨル、チョン・ビョンウと準プレーオフの代打で活躍した選手や、経験豊富なベテラン外野手イ・ヨンギュなど脇役の存在感も光った。

 攻撃陣は何とかなっても、LGと比べると投手陣のやりくりが苦しい。先発投手陣の柱となり快速球で三振の山を築いたアン・ウジンは準プレーオフ第5戦で先発したため、プレーオフでは10月27日の第3戦以降にしか先発できないと思われる。また、経験豊富な左腕の外国人選手ヨキシュも準プレーオフ第5戦でリリーフ登板するなど総力戦だったため、プレーオフ第1戦では先発させられない。そこで準プレーオフで予想以上の好投を見せたもう一人の外国人選手エップラー(元オリックス)が第1戦の予告先発の大役を担うことになった。

 リリーフ陣もLGと比べると層が薄く、準プレーオフでの疲労が蓄積している。そのためプレーオフでは準プレーオフには出場していない高卒新人イ・ミョンジョン、左腕イ・ヨンジュンを出場させ新陳代謝をはかることにした。必死の継投でリードを守り、左腕の抑えキム・ジェウンにつなぎたいところだ。

 

 LGは2019年から4年連続でのポストシーズン進出となったが、韓国シリーズ進出は2002年が最後と20年間遠ざかっている。優勝となると1994年以降28年間ない。そのためLGには大きなプレッシャーがかかるが、過去のポストシーズンで経験を積んだ選手たちが実力を発揮すれば、キウムという壁を乗り越えてSSGが待つ韓国シリーズへたどり着くことはそう難しいことではないはずだ。一方でこちらも5年連続ポストシーズン進出と経験豊富なキウムも、2019年以来3年ぶりとなる韓国シリーズ進出のため劣勢を跳ね返そうと様々な手を尽くしてくるだろう。秋の夜長で冷え込む季節となってきたが、同じソウル特別市を本拠地とするライバルどうしの熱い戦いから目が離せない。

 

(文責 : ふるりん