DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

SKワイバーンス、21年の歴史に幕を下ろす

 2021年3月5日、韓国野球委員会KBO)の理事会でSKワイバーンスを買収した新世界グループの加入が認められた。2月1日から済州島南部の西帰浦(ソグィポ)で練習中だったSKワイバーンスは、3月5日に最後のチーム内の練習試合を実施、試合終了後にチーム最後のセレモニーを実施し、2000年3月の創設以来となる21年間の活動に終止符を打った。

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 1999年シーズン終了後、当時南西部の全州(チョンジュ)を本拠地としていたサンバンウルレイダースが経営危機に陥り、代わりのプロ野球チームをSKグループが創設することを表明、サンバンウルを解散させて選手の大半を移籍させ、2000年シーズン開幕前の3月にSKワイバーンスが創設された。本拠地は当初首都圏の水原(スウォン)が予定されたが、当時仁川(インチョン)を本拠地としていた現代(ヒョンデ)ユニコーンス(2007年シーズン終了後に解散)が将来のソウル進出のため、1982年のプロ野球創設以来、太平洋ドルフィンスなど前身の球団が本拠地としていた仁川をSKへ譲った。

 こうしてSKはかつて現代の本拠地だった仁川・桃源(トウォン)野球場を使用しプロ野球界に参入するも、1999年に8球団中最低勝率だったサンバンウルを引き継いだことで2000年も8球団中最低勝率(当時は2リーグ制)に終わった。2002年より仁川広域市東部に新しく完成した文鶴(ムナク)野球場に本拠地を移し、2003年にはレギュラーシーズン4位でポストシーズンに初めて出場、韓国シリーズにまで進出するも現代に敗れた。その後キム・ソングン監督の指揮により2007年念願の韓国シリーズ初優勝、2008年には韓国シリーズ連覇を達成した。2010年にも3度目の韓国シリーズ優勝を果たし、2012年まで6年連続韓国シリーズ出場と安定した成績を残した。

 文鶴野球場は最新鋭のボールパークとして投資が続けられ、2010年代以降韓国各地に建設された新たなプロ野球本拠地球場のお手本となった。2016年には外野に超大型ビジョンを設置して話題になった。2013年以降韓国シリーズ進出を逃し続けていたが、2018年、トレイ・ヒルマン監督の指揮により8年ぶり4度目の韓国シリーズ優勝を果たした。だが2019年のレギュラーシーズン最終戦で優勝を逃し韓国シリーズにも出場できず、2020年は9位に低迷、2021年シーズンはキム・ウォンヒョン新監督の下挽回を図っていた。

 2021年1月26日、SKグループがプロ野球以外のスポーツに投資することに方針を転換、かねてからプロ野球進出に意欲的でイーマートなどを経営する小売業の新世界グループへのSKワイバーンスの売却が発表された。プロ野球の球団売却は2001年7月のヘテタイガースからキアタイガース以来約20年ぶりとなった。SKワイバーンスの選手・監督・コーチ陣、フロントの職員などの雇用は保証され、新球団に生まれ変わることになったSKワイバーンスは2021年シーズン開幕に向けての練習に入った。2月23日、SKが韓国での優先交渉権を維持していた元メジャーリーガーのチュ・シンスと年俸27億ウォンで契約し、新球団にとって目玉となる補強がもたらされた。

 順調に2021年シーズンへの準備を進める中、SKワイバーンスはSSGランダースへと名を改め、21年の歴史に幕を下ろすことになった。サンバンウルレイダースは解散となったためSKワイバーンスにチーム通算記録など歴史は継承されていないが、SSGランダースへはSKのチーム通算記録などが継承される。なお、SKはプロ野球界を去るにあたり、韓国野球委員会に野球の発展のため25億ウォンを寄付することになっている。

 

(文責 : ふるりん