百貨店など韓国の流通業界の新世界(シンセゲェ)グループは1月26日、プロ野球・SKワイバーンスを買収し、4月3日開幕予定の2021年シーズンからのプロ野球加盟を推進することを発表した。新世界グループのイーマートがSKワイバーンスの株主であるSKテレコムから持ち株を100%買収、本拠地は仁川(インチョン)広域市のままとする。新世界グループでは球団創設の準備を進め、3月中にチーム名やエンブレムなどを発表する予定。
SKワイバーンスは2000年3月に球団創設、経営難で解散したサンバンウルレイダースの後にプロ野球に加盟した。仁川広域市を本拠地とし2003年に初めて韓国シリーズに出場、キム・ソングン監督の指揮下で2007年韓国シリーズで初優勝、2008年、2010年、2018年とこれまで韓国シリーズで4度の優勝を果たした。2002年から本拠地球場として使用している仁川SK幸福ドリーム球場(文鶴野球場)はエンターテイメント制を重視した観客が楽しめる施設が充実したボールパークの先駆けとして、2010年代以降韓国各地で新設されたプロ野球本拠地球場のモデルとなってきた。
SKワイバーンスは2020年、10球団中9位と過去最低の順位に低迷し、2021年シーズンはキム・ウォンヒョン新監督のもと巻き返しを図っていた。SKグループは球団売却の理由として、今後はスポーツの底辺拡大で各種競技が国際大会で成果を残せるように努力したいとあげており、国内最大級の観客動員数を記録しているプロ野球への支援は終わったと考えているようで、財政難を理由にはあげていない。
新世界グループとしては現在のSKワイバーンスの選手、監督などのコーチングスタッフ、フロントなどの職員の雇用は継承するとしている。なお2月1日からの済州(チェジュ)島での開幕前のキャンプは実施される方針。このまま新世界グループによる新球団創設が進めば、SKワイバーンスは2000年以来21年の歴史に幕を閉じることになる。
(文責 : ふるりん)