1月21日、KBO(韓国野球委員会)では理事会が開かれ、リーグ全体の戦力不均衡解消と選手の権益向上のため、かねてから論議されてきた1999年の導入以来20年ぶりにFA制度の改善などを断行することにし、その他にも2022年まで各種の制度変更を実施することを決定した。以下要点を記す。
[2020年より実施]
1. FA等級制
シーズンオフ終了後、一定の一軍登録日数(最短で高卒9年・大卒8年)を満たしFA(フリーエージェント)を取得する資格を得て申請した選手を前所属球団以外の球団が契約した場合、どのような選手であっても補償選手と補償金の譲渡が必要となっていた。近年これが選手の移籍市場を硬直化させていたため、2020年シーズン終了後よりFA資格選手を2020年の年俸によってA、B、Cの3等級に分け、A等級の選手は従来の補償制度のままだが、B等級、C等級の選手は補償がこれまでよりも軽減される。なお2度目のFA資格選手となった場合は自動的に新規のFA資格選手のB等級、3度目の場合は自動的に新規の選手のC等級となる。
2.外国人選手制度
2019年までは1球団につき3名(ただし投手のみ、または野手のみ3名は認められない)まで外国人選手と契約でき、1試合の出場はうち2名のみとされてきたが、2020年シーズンより1試合に3名出場できるようになった。
3.負傷者名簿制度、一軍エントリーの増員
選手が負傷などで試合に出場できない場合、最大30日まで負傷者名簿に申請することができ、登録は抹消されるが登録日数は認められる。また一軍エントリーを従来の27名から28名、出場は25名から26名と1名ずつ増員する。なおシーズン終盤の9月1日以降は5名ずつさらに増員される。
4.シーズンの順位決定、韓国シリーズについて
2019年のレギュラーシーズンは144試合を終えてトゥサンとSKが同じ勝率で並び、直接対決で勝ち越していたトゥサンが優勝となり韓国シリーズへ出場する権利を得た。2020年のレギュラーシーズンでもし2チームが同じ勝率で1位だった場合、ポストシーズン(レギュラーシーズンの上位5チームが出場)のワイルドカード決定戦の前に1位決定戦を行う。なお3チーム以上が同率1位だった場合、該当チーム間の勝敗などで決定する。
韓国シリーズは2019年までレギュラーシーズン優勝チームが最大4試合(第1,2,6,7戦)本拠地で開催できたが、2020年より最大5試合(第1,2,5,6,7戦)開催できる。
5.ビデオ判読(判定)について
試合中に審判の裁量によるビデオ判読(判定)が1回認められていたが2020年より廃止される(両チームのベンチからは2回ずつ認められている)。またビデオ判読は最長5分から3分までに短縮され、3分が経過しても判断できない場合は審判の元の判定がそのまま適用される。
[2021年より実施]
1.最低年俸の引き上げ
新人選手の最低年俸が2700万ウォンから3000万ウォンに引き上げられる。
2.球団公式スポンサーの用品の着用義務
[2022年より実施]
FAの取得期間が1年短縮(高卒8年、大卒7年)に
[2023年より実施]
1.サラリーキャップ制
2021年、2022年の外国人選手、新人選手を除いた各球団の年俸上位40位の平均金額の120%に該当する金額を上限としてサラリーキャップ制を導入。これを1回超過した球団には制裁金が課せられ、2回以上超過すると制裁金以外にも翌年の新人ドラフト指名の順位が下げられるなど不利となる。
2.育成型外国人選手制度
各球団、一軍で3名の外国人選手が出場できるが、それ以外にも低年俸(最大30万ドル)の育成型外国人選手と契約できる。普段は二軍の試合(フューチャースリーグ)に出場するも、一軍の外国人選手が負傷などで登録を抹消された場合などその代役として一軍に出場できる。なお、この育成型外国人選手を除く外国人選手3名の年俸総額は400万ドルまでと上限が設けられる。
(文責:ふるりん)