DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

準プレーオフ:キウム-LG 展望

 2019年ポストシーズン・準プレーオフはキウムとLGの対戦となった。レギュラーシーズンでの対戦は9勝7敗とキウムが勝ち越した。

  

 2019年シーズン、ネクセンタイヤからキウム証券へとメインスポンサーが交代したことにより改称されたキウムヒーローズは、就任3年目のチャン・ジョンソク監督のもと、投打ともに戦力がさらに充実しトゥサン、SKとの熾烈な優勝争いをレギュラーシーズンの終盤まで続けた。結局3位だったが、勝率.601(86勝57敗1分)でトゥサン、SKとは2ゲーム差と実力差は小さかった。

 先発投手陣では第1戦の予告先発となったブリガム(元東北楽天)、もう一人の外国人投手で左腕のヨキシュが軸となり、ともにレギュラーシーズンではチーム最多の13勝を挙げている。また韓国人では最多の11勝を記録した22歳のチェ・ウォンテも先発を任されると思われる。第4戦以降では2018年のポストシーズンに出場した20歳の左腕イ・スンホが先発を任されるかもしれない。

 キウム投手陣はリリーフ陣の層が厚い。プロ野球新記録のシーズン40セーブを記録した経験豊富なキム・サンス、ハン・ヒョンヒィ、ユン・ヨンサムなどの右腕、キム・ソンミンなどの左腕の中継ぎが充実している。抑えも右のチョ・サンウ、左のオ・ジュウォンと状況に応じてダブルストッパー体制を取るとみられる。ポストシーズンではレギュラーシーズン以上の細かい継投が必要な場面が多いだけに、キウムはリードすれば優位に試合を進めやすいはずである。

 キウム打線は2019年シーズン、10球団1位の打率(.282)、得点(780)と破壊力十分だった。その中軸は本塁打王(33本)の主砲パク・ピョンホ、打点王(113)の外国人選手サンズであり、その前後を21歳の安打製造機(打率.336)のイ・ジョンフ、俊足強打(33盗塁・19本塁打)のショートのキム・ハソン、ベテランの巧打者ソ・ゴンチャン、意外な一発のあるの捕手イ・ジヨンなどが固め、上位から下位まで切れ目のない打線が組まれている。

 

 

 NCとのワイルドカード決定戦を1試合だけで終えられたLGはレギュラーシーズン4位(勝率.552)で、3位キウムとの差は7ゲームあったが、9月以降も調子を落とさずポストシーズンに出場することができた。

 先発投手陣はともにチーム最多の14勝を記録したウィルソン、ケリーの両外国人投手と、韓国人最多の13勝を記録した左腕チャ・ウチャンが軸となる。準プレーオフでは第1戦のウィルソンだけではなく、第2戦(10月7日)のチャ・ウチャン、第3戦(9日)のケリーもすでに予告先発として発表されている。ケリーはワイルドカード決定戦(10月3日)から中5日の登板となりそうだが、この3名以外の先発投手の人材が弱く、第4戦以降ではレギュラーシーズン終盤で先発に回ったイム・チャンギュやペ・ジェジュンなどの起用が予想される。

 リリーフ陣では、21歳にして守護神に成長したコ・ウソク(35セーブ)が柱となる。19歳の高卒新人チョン・ウヨン、22歳のキム・デヒョンなどの若手や経験豊富な右腕のソン・ウンボム、左のワンポイント要員のチン・ヘスなどの中継ぎ陣はいるが、キウムと比べて層が薄い。

 打線もキウムと比べて長打力は見劣りするが、チャンスメイカーのイ・チョヌンやチョン・ジュヒョンがお膳立てし、4番打者キム・ヒョンスをはじめとしてイ・ヒョンジョン、チェ・ウンソン、キム・ミンソンなどの中軸打者はチームバッティングに徹してつながりを重視している。7月に入団した外国人選手ペゲーロ(元東北楽天)は9月以降韓国に適応して豪快な本塁打を見せただけでなく打点を稼ぎ、相手投手陣の新たな脅威となった。故障を抱えたショートのオ・ジファンの代役としては、ワイルドカード決定戦で活躍した大卒新人ク・ボンヒョクがつとめると思われ、大きな損失はない。

 

 

 戦力的、特に攻撃面ではキウムが優位に立つが、サムソンを韓国シリーズ4連覇に導くなどポストシーズンでの指揮が豊富なLGのリュ・ジュンイル監督の采配が勝負の局面を変えるかもしれない。ソウル特別市を本拠地とする近場のライバル同士の熱戦に期待したい。

 

(文責:ふるりん