DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

ポストシーズン速報(2018.11.3)

韓国シリーズ : トゥサン-SK 展望
 
 トゥサンとSKは2007年、2008年と韓国シリーズで2度対戦し、ともにレギュラーシーズンで優勝したSKが韓国シリーズで2連覇を達成し、2010年も含めて4年間で3度の優勝とキム・ソングン監督の下で黄金時代を築いた。時は流れトゥサンがキム・テヒョン監督の下で2015年、14年ぶりに韓国シリーズで優勝し、2016年には連覇を達成、そして2018年までの4年間で3度目(球団通算では6度目)の優勝を狙おうとしている。

 
 トゥサンは2位SKに14.5ゲーム差をつけ、93勝と圧倒的な強さで危なげなくレギュラーシーズンで優勝した。またどのチームにも負け越すことがなかった。その強さの原動力はチーム打率.309、総得点944はともに10球団中1位と、圧倒的な破壊力を誇る打線であった。その中では44本塁打、133打点と打撃2部門で個人タイトルに輝いたキム・ジェファンが不動の4番打者をつとめた。また打率.358を記録した正捕手ヤン・ウィジ、26本塁打・108打点と自己最高の成績を残した内野手チェ・ジュファン、27本塁打の左の大砲オ・ジェイル、走攻守そろった外野手パク・コヌ、ベテランの二塁手オ・ジェウォン、三遊間のホ・ギョンミンとキム・ジェホなど、上位から下位まで外国人選手が不在でも他チームを圧倒した切れ目のない打線が構成されていた。
 これに加えて9月には2015年韓国シリーズMVP(最優秀選手)を受賞した経験豊富な外野手チョン・スビンが軍から除隊され復帰し、さらに戦力が厚くなった。控え選手も豊富でまったく隙がなく、チームの経験値が高いため韓国シリーズでもその破壊力は健在だと思われる。
 

 トゥサンのチーム防御率は4.98で10球団中3位だったが、先発投手陣が打線の援護を受けて勝ち星を積み重ねることができたため、クォリティースタート(先発が6回3失点以内)が1位の73試合も合った。韓国1年目で18勝の最多勝の個人タイトルに輝いたフランコフ、15勝のリンドブロムの外国人投手2名、韓国人最多の15勝のイ・ヨンチャン、10勝の左腕ユ・ヒィグァン、自身初の10勝を記録した21歳の若手イ・ヨンチャンと、2ケタ勝利の投手を5人も輩出した。韓国シリーズではこのうちイ・ヨンハがリリーフに回り、怪我で韓国シリーズ出場選手登録から外れた中継ぎ右腕キム・ガンニュル(65試合に登板)の穴を埋めるかもしれない。
 リリーフの柱はチーム最多セーブ(27)の左腕ハム・トクチュで、中継ぎの層がやや弱いが20歳の若手パク・チグク、37歳のベテラン右腕キム・スンフェ、34歳の左腕イ・ヒョンスンが中心的な役割を果たした。先発が打線の援護を受けて6回までその役割を果たし、7回以降に継投で余裕を持って逃げ切る試合運びが韓国シリーズでも予想できる。また失策数77は10球団中最少と堅守も伺える。
 
  
 2012年以来の韓国シリーズ出場となるSKは、ネクセンとのプレーオフで第5戦までもつれ込む激闘を繰り広げた。特に第5戦は延長10回にサヨナラ勝ちしたものの、先発要員の外国人投手ケリーまで投入してしまった。そのため、韓国シリーズ第1戦はチーム最多勝(14勝)だったアンダースローのパク・チョンフンが先発で予告されている。レギュラーシーズン終盤に調子を落としたが、プレーオフでのリリーフ登板で好投したもう1人の外国人投手サンチェスが、第2戦以降で先発起用される可能性がある。プレーオフ第5戦でエースとしての品格を感じさせる投球を見せたキム・グァンヒョン、そのほかムン・スンウォンなど先発投手陣の質と量ならトゥサンに劣っていない。
 リリーフ陣はレギュラーシーズンだとキム・テフン、シン・ジェウンなど左腕が中心的存在であったが、プレーオフでは22歳の左腕キム・テッキョンが2勝と活躍した。終盤のピンチでトゥサンの強打者たちを抑える重要な役割を任されるかもしれない。


 SK打線は10球団中最多の本塁打数(233)を誇る一発攻勢が武器であり、プレーオフ5試合でも15本塁打と機能していた。しかし韓国シリーズはプロ野球本拠地で最も広い蚕室野球場で4試合戦うこともあり、狭い仁川SK幸福ドリーム球場の3試合でいかに得点できるかが勝敗の鍵を握ると思われる。SKの3度の韓国シリーズ優勝を知る36歳のベテラン外野手キム・ガンミンがプレーオフで3本塁打とMVPを受賞し勢いに乗っている。レギュラーシーズンでチーム最多本塁打(43)のロマックと41本のハン・ドンミンが不調だったが、2人ともに第5戦での本塁打で勝利に貢献した勢いを買い、韓国シリーズでの復調を予想する。だがチーム最多盗塁(25)のノ・スグァンが韓国シリーズもプレーオフに続いて出場選手登録から外れ、攻守両面で不安が残る。

 
 
 10月14日のレギュラーシーズン終了後、トゥサンは3週間後の韓国シリーズへの調整に向けて主力選手たちの多くを日本で開催されたフェニックスリーグに派遣し、試合感覚の維持に努めた。レギュラーシーズン・韓国シリーズともに優勝した2016年も同様の調整を行っていた。チーム状態やレギュラーシーズンの内容を考えるとトゥサンの圧倒的な優位は揺るがないが、2018年ポストシーズン限りで家庭の事情によりSKの監督を辞任すると報じられたトレイ・ヒルマン監督にとっても優勝で有終の美を飾りたいはずだ。熱戦を期待したい。