DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

ポストシーズン速報(2018.10.18)

プレーオフ : ハンファ-ネクセン 展望
 
 ハンファは2008年から2017年まで10年連続ポストシーズン進出失敗と不名誉な記録が続き、そのうち8球団制だった2012年まで3回、9球団制だった2013年から2014年まで2年連続最下位と、その10年間の間に5回の最下位を経験した。2018年シーズンも開幕前は前年が8位だったこともあり期待値は低かったが、新任のハン・ヨンドク監督のもと心機一転に成功したハンファは上位争いにとどまった。前半72試合は41勝31敗で2位だったが、後半41試合は36勝36敗と調子を落とし3位でレギュラーシーズンを終えた。


 ハンファのチームの特徴としては、10球団中2位の防御率(4.93)があげられる。先発陣は弱かったが、チーム最多登板(69試合)のパク・サンウォン、ソン・ウンボム(68試合・7勝)、イ・テヤン(63試合)と60試合以上に登板した右のリリーフ陣が試合を安定させた。また右のアン・ヨンミョン(8勝)、左のキム・ボムスと50試合以上に登板した中継ぎ陣も貢献した。そしてリーグ最多セーブ(35)を記録したベテラン左腕チョン・ウラムが抑えとして要所を締めた。
 先発陣には大きな不安が残る。チーム最多勝(13勝)でリーグ最多奪三振(195)の外国人投手サンプソンは、不振に陥り9月以降の登板で先発としての機能を果たせなくなっている。そのため準プレーオフ第1戦の予告先発は、7月に契約した外国人投手ヘイルとなった。またポストシーズンのような大一番を任せられる韓国人の先発が見当たらず、23歳の若手キム・ミヌなどの飛躍に期待するしかない。中盤までにリードを奪うことができたら早めの継投でしのいでいくと思われる。
 ハンファの攻撃力であるが、総得点は729で10球団中9位、チーム打率は.275で8位、本塁打数は151で7位とあまり強力でない。だがチーム最多打点(110)で30本塁打、23盗塁を記録するなど走攻守そろった外国人野手ホイング、34歳にして自己最多・チーム最多の34本塁打を記録したイ・ソンヨルと左の大砲が2人そろっている。またここ一番ではベテランの生え抜きの強打者キム・テギュン(元千葉ロッテ)の打撃が頼りになるであろう。
 またハンファは10球団中最多のチーム盗塁数(118)を記録するなど、足を武器としている。その中心が主に1,2番の上位打線を巻かされたチーム最多盗塁(30)のイ・ヨンギュ、チョン・グヌの経験豊富なベテランである。打線の爆発による大量得点が期待しにくい中、少ない得点差を質の高いリリーフ陣で守りきっていく、レギュラーシーズン通りの野球が11年ぶりのポストシーズンでも求められる。

 
 2018年シーズンのネクセンは若手野手の台頭が著しかった。その代表例が2017年の新人王にして20歳で打率.355を記録したイ・ジョンフである。それに刺激を受けてチーム最多盗塁(31)を記録した内野手キム・ヘェソン、攻守に大きな成長を遂げた23歳の外野手イム・ビョンウク、攻守の要に成長した23歳のショートのキム・ハソンなどが中心選手に成長した。それにチーム最多の43本塁打を記録した主砲パク・ピョンホ、8月に契約し攻守に活躍した外国人野手サンズなど、上位から下位まで切れ目のない打線が構成され迫力ではハンファを明らかに上回る。またイ・テックン、ソ・ゴンチャンなど経験豊富なベテラン野手も控えている。
 投手陣に関しては、ワイルドカード決定戦に続いてチーム最多勝(13勝)の22歳の若手チェ・ウォンテが故障で出場できない。そのため第1戦の予告先発は、6月に契約しNC在籍時にポストシーズンでの経験が豊富な外国人投手ハッカーとなった。他にはハン・ヒョンヒィ(11勝)、シン・ジェヨン(8勝)などが第2戦以降に先発登板し、もし第4戦以降にもつれたらワイルドカード決定戦で登板した外国人投手ブリガム(11勝)が先発すると思われる。
 リリーフ陣は中継ぎが右のイ・ボグン、左のオ・ジュウォン、抑えはキム・サンスと経験豊富な選手がそろうが、ハンファと比べると層の薄さは否めない。したがって、決して質が高いとはいえないが先発が6回まで何とか役目務を果たし、7回以降にリリーフ陣を登板させる試合展開が理想的である。


 ファンにとって11年以上待ち続けたポストシーズン。唯一の韓国シリーズ優勝も今から19年前の1999年と過去の話になっている。久しぶりに頂点を争う戦いにできる喜びに満ちたファンの熱気であふれた本拠地・ハンファ生命イーグルスパークは、この準プレーオフでどのような姿を見せてくれるのであろうか。ファンたちは当然この戦いがさらに続くことを願っている。そして久しぶりの大舞台に闘志を燃やすハンファと、伸び盛りの若いチームであるネクセンとの準プレーオフは激戦必至である。