DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2020年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  韓国シリーズ : キア−トゥサン 展望

 
 2016年シーズンオフ、FA(フリーエージェント)を行使した2016年の首位打者と打点の二冠王チェ・ヒョンウと4年100億ウォンの大型契約を結んだことで、キアは2017年シーズン開幕前、前年の5位から大きく躍進するのではないかと下馬評は例年になく高かった。そしてサムソンの韓国シリーズ4連覇に貢献したプロ野球界有数の強打者チェ・ヒョンウはキアでも不動の4番として活躍し、ヤン・ヒョンジョンとヘクター・ノエシの両先発投手は勝ち星を積み重ね、軍から除隊され本格的に復帰を果たしたアン・チホンとキム・ソンビンの二遊間は以前にもまして攻守に活躍し、キアは4月後半から首位を快走し続けた。また4月にSKとのトレードで外野のレギュラーに定着したイ・ミョンギ、正捕手となったキム・ミンシクの2人を補強するなど打つ手がすべて的確で、8月以降失速したものの、キム・ギテ監督は就任3年目で初の韓国シリーズ出場に導いた。

 
 2009年以来8年ぶりに韓国シリーズ出場を果たしたキアは、前身のヘテ時代から10度の韓国シリーズですべて優勝と無類の強さを誇っている。2014年に開場した光州キアチャンピオンズフィールドで初めて開催されるポストシーズンは、チームの歴史にふさわしい2017年韓国シリーズ第1戦がその記念すべき最初の試合となる(2016年、キアはレギュラーシーズン5位でポストシーズンワイルドカード決定戦に出場したが4位LGの本拠地・蚕室野球場のみの開催でさらにそこで敗退したため、この年の同球場でのポストシーズン開催はなかった)。

 
 キアの優勝の原動力として、チーム史上初となるレギュラーシーズン2人の20勝投手、左のヤン・ヒョンジョン、右の外国人投手ヘクター・ノエシの存在があげられる。2人の合計40勝は、チームが記録したレギュラーシーズン87勝のうち約46%と半数近くを占めている。第1戦はチーム最多の201と3分の2の投球回を記録したヘクターの予告先発が発表され、第2戦にヤン・ヒョンジョンが先発として起用されると思われる。続く先発候補としては外国人投手の左腕パット・ディーン(9勝)、24歳にして一軍の先発ローテーションに定着した右サイドハンドのイム・ギヨン(8勝)などがあげられるが、20勝投手2人と比べると安定感に欠ける。
 キア投手陣はヘクター、ヤン・ヒョンジョンの2人の活躍もあってクオリティスタート(先発投手が6回以上投球し自責点は3以下)は75と10チーム中1位だが、チームホールド数46は同7位、チームセーブ数33は4位とリリーフ陣の成績は決して良いとは言えない。レギュラーシーズン開幕時からキアにいた選手で最も多くセーブを記録したのはキム・ユンドン(11)で、抑えの切り札が不在だったため7月にネクセンとのトレードで2016年の最多セーブ投手キム・セヒョンを獲得し、終盤は抑えとして起用した。中継ぎ陣としては41歳のイム・チャンヨン(元東京ヤクルト)、左のシム・ドンソプとコ・ヒョジュンなどの起用が予想されるが、鉄壁とは言えない。そのため20勝投手2人の出来に命運が託されている。この2人が2度ずつ先発し4勝で優勝を決めるのが理想のシナリオであろう。


 キアの攻撃陣はチーム打率(.302)、得点(906)はともに10チーム中1位だった。打線の軸としては大型契約で移籍してきたチェ・ヒョンウが期待され、4番打者としてチーム最多の120打点を記録した。また外国人野手のロジャー・バーナディーナはチーム最多タイの27本塁打、チーム2位の111打点だけでなくチーム最多の32盗塁を記録し、外野守備でも幾度となくチームの危機を救い、走攻守に最も貢献度の高い選手だったと言える。他にも主に9番として起用されながら打率.370で自身初の首位打者となったキム・ソンビン、二塁の守備だけでなく自己最多の21本塁打を記録したアン・チホン、チーム最多タイの27本塁打で2009年韓国シリーズ第7戦でキアの優勝を決めるサヨナラホームランを打ったナ・ジワン、35歳にして25本塁打と衰え知らずの内野手イ・ボムホ(元福岡ソフトバンク)、同じく35歳のキム・ジュチャンなど、上位から下位まで切れ目のない強力打線が形成されている。リリーフ陣を中心とした投手陣の不安は、この破壊力のすさまじい攻撃陣がカバーする。


 韓国シリーズ3連覇を狙うトゥサンは、レギュラーシーズン終盤に好調を維持しキアを追い詰め、10月3日の最終戦までキアを逆転し1位となる可能性を残したが惜しくも2位に終わった。プレーオフではNCを3勝1敗で下し、キアの待っていた大舞台へと足取りを進めた。

 トゥサン投手陣はベテランの外国人投手ニッパート、左腕チャン・ウォンジュン、技巧派左腕ユ・ヒィグァン、外国人投手ボウデン(元埼玉西武)の先発投手4人がプレーオフで一人も6回を投げ切ることなく降板し機能しなかった。代わりに左腕ハム・トクチュ、キム・スンフェなどのリリーフ陣が好投しNCの反撃を防いだが、韓国シリーズでもプレーオフ同様先発投手陣が早い回で降板することが続くと、疲労が蓄積していくと思われるリリーフ陣も機能しなくなり苦しい展開となってしまう。
 投手陣に不安が残る以上、攻撃陣がそれを補って余りある点数を取らなくてはならない。幸いプレーオフでは第2戦以降3試合連続で2ケタ得点と打線が好調だった。特にプレーオフで5本塁打、うち第4戦でポストシーズン新記録の1試合4本塁打・9打点を記録した左のオ・ジェイル、レギュラーシーズンでも4番として活躍したキム・ジェファンがプレーオフでも3本塁打と好調を維持している。そのほかパク・コヌ、ミン・ビョンホンなどの主力も怖い存在だ。第4戦で負傷交代した正捕手ヤン・ウィジが気がかりだが、代役となるパク・セヒョクも実力は十分だ。しかし準プレーオフなどから登板し続けていたNC投手陣ではなく、疲労を残さず韓国シリーズに向けて調整を続けたキア投手陣を攻略できるかは未知数である。
 
 
 前身のヘテ以来の伝統を受け継ぎ光州キアチャンピオンズフィールドでの初めての優勝を目指すキア、そして近年黄金時代を築き3連覇を目指すトゥサンの対決は、2015年と2016年の韓国シリーズがグラウンド外の問題でやや盛り上がりを欠いていたため、久しぶりに実力が伯仲した頂上決戦となるかもしれない。

(文責:ふるりん