DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  個人通算最多本塁打のイ・スンヨプ(元オリックス)、現役引退

 サムソンのイ・スンヨプ内野手(41)は、2017年シーズンの最終戦である3日のネクセン戦に出場し、1995年からの現役生活を終えた。
 
 左投げ左打ちのイ・スンヨプは高校卒業後の1995年、サムソンへ入団した。高校時代は投手だったがプロ入り後は野手に転向し、新人だった1995年は一軍で13本塁打を記録した。1997年に32本塁打・114打点で自身初の本塁打打点王最多安打の個人タイトル、シーズンMVP(最優秀選手)を受賞した。1999年にはプロ野球史上初のシーズン50本塁打以上を記録した。
 2000年にはシドニーオリンピックに韓国代表として出場し、オリンピック史上初の3位となり銅メダルを授与された。また2002年釜山アジア大会にも出場し優勝を経験した。2003年には現在もプロ野球記録となっているシーズン56本塁打を記録し、この年にFA(フリーエージェント)を行使し海外移籍を図り、2004年より日本プロ野球千葉ロッテに所属した。
 2006年には日本プロ野球・読売へ移籍し、WBC(ワールドベースボールクラシック)に出場し、大会最多の5本塁打・10打点を記録し韓国代表の準決勝進出に貢献した。また2008年の北京オリンピックでは準決勝・決勝で2試合連続本塁打を記録し、韓国代表はオリンピック野球初優勝を果たした。2011年には日本プロ野球オリックスへ移籍したが、同年限りで退団し、2012年からサムソンへ復帰した。
 サムソンでは主力として活躍し続け、2012年韓国シリーズMVPを受賞するなど2014年までの韓国シリーズ4連覇にも貢献した。また2016年にはプロ野球史上初となる個人通算400号本塁打を達成するなど、様々な個人打撃記録を塗り替えていった。そして2017年シーズン、2016年から結んでいたサムソンとの2年契約が切れるため、41歳という年齢もあり現役引退を示唆するようになった。
 シーズン途中の8月から遠征先でささやかな引退セレモニーが開かれ記念品が贈呈されるようになり、10月3日にサムソンの本拠地・大邱サムソンライオンズパークのネクセン戦が引退試合として企画された。イ・スンヨプは試合前の引退記者会見で22年あまりの現役生活への所感を述べ、始球式にはイ・スンヨプの妻がマウンドに上がり、捕手役をイ・スンヨプがつとめた。
 そしてスタンドを埋め尽くした超満員の観客が見つめる中、イ・スンヨプは3番一塁で試合にフル出場し、2本塁打3打点を記録し、8回裏の第5打席が現役最後の打席となり、内野ゴロに倒れたかと思われたが相手の送球エラーで出塁した。9回表にも一塁守備につき、ファンたちの歓声が鳴りやまない中試合が終了し、イ・スンヨプの現役生活が終わった。2017年シーズンは135試合に出場、打率.280、24本塁打、87打点、1盗塁。韓国での通算15年間の成績は1906試合に出場、2156安打、467本塁打464二塁打1498打点、57盗塁(赤字はプロ野球史上最多)。



(次世代のスーパースター候補、18歳の高卒新人ながらレギュラーシーズン144試合に全試合出場を果たしたネクセンのイ・ジョンフと。)


 試合終了後は盛大な引退セレモニーが開催され、20年以上プロ野球界に貢献した偉大なホームラン打者の栄誉が讃えられ、チームメイトから胴上げされるなど新しい門出を祝福された。



 イ・スンヨプの活躍による2008年の北京オリンピック優勝以降、韓国のプロ野球そのものが球団数の増加や野球場の新設などにより大きな変化を遂げていった。今後は北京オリンピック優勝をきっかけに野球を始めた若い選手たちが、イ・スンヨプなどの先人たちが切り開いた道をさらに広げ、プロ野球界の主役としてさらなる発展に尽くしていくことであろう。